特捜部Q

特捜部Q ―檻の中の女― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕

特捜部Q ―檻の中の女― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕

 デンマークのミステリー小説『特捜部Q』シリーズの第1作目の『檻の中の女』を読みました。主人公はコペンハーゲンの刑事(警部補)カール。ある事件がきっかけで捜査の第一線から外されたカールが配属されたのは「特捜部Q」という部署。しかし部署とは名ばかりで、カールをクビには出来ないから仕方なく新たに作った部署で、過去に迷宮入りした事件をもう一度洗い直すのが主な任務ですが、実質的には閑職。この部署に属している刑事はカールだけで、あとは雑用係が1人いるだけ。
 そんなカールが、過去に迷宮入りした事件であらためて捜査し直すことにしたのは、ある女性国会議員の失踪事件。何も手掛かりが無いように思えたこの事件ですが、調べていくうちに不可解な点がポツリポツリと浮かび上がってきます。そして、この部署の雑用係でファイルの整理やコピーをとったりするために雇われたシリア移民のアサドが、これがなかなか優秀な人材で、時にはカールよりも優れた推理能力を発揮して事件の解決に大きく貢献します。
 
 600ページ弱の長編で、よく考えてみるとミステリーとして新しい何かがあるというわけではありませんが、人物描写等が上手いからなのか、翻訳が良いからなのか、最後まで退屈することなく読み進むことが出来ました。暫く間をおいてからシリーズ2作目も読みたいです。

 尚、この小説は映画化され、DVDも発売されましたがAmazonでは在庫切れのようですし、TSUTAYAにもありませんでした。また第2作目も映画化され、日本では東京、大阪、兵庫にある3館のみで上映され、そのうちの2館では既に上映期間が終了しています。そのうちDVDも出るでしょうから、気が向けば観てみたいです。