現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

お盆です。で、終戦記念日です。


13日(水)
終日、畦畔の草刈り。


14日(木)
午前中、畦畔の草刈り。
お昼前に弟夫婦が帰省してきたので、駅まで迎えに行き、墓参りをして、その後、飲む。ビールと日本酒。
飲み過ぎたのか、弟夫婦が帰ってから、記憶がなく、気がついたら夜中の12時だった。やれやれ。


15日(金)
雨が降ったりやんだり。


居間に降りていったら、子どもたちが、田中誠監督「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を観ていたので、途中から観る。野球部の話だし、こんなことはありえん、というツッコミも入れだしたら切りがないが、原作の小説は200万部売れたそうですね。「真摯に、ひたむきに。」真摯に、ひたむきに、頑張る若者の姿はほんとうにいいものですな。真摯に、ひたむきに、頑張るオッサンの姿はどうなのかしらん?


そういえば、しりあがり寿+祖父江慎『オヤジ国憲法でいこう!』(イーストプレス)読了。
   第1条 個性ハ必要ナシ
   第2条 友達ハ大切ナモノニアラズ
   第3条 恋愛ハロクナモノデナシ
   第4条 真理ヤ理想ハ幻想ナリ
   第5条 ヤングノ敵ハ隣室ニアリ
この本は、高橋源一郎氏がラジオ番組で紹介し面白いよー、と言ったら、途端にアマゾンの書籍ランキングを急上昇したということが話題になっておりました。これは若者向きの本ですが、読んで、笑えました。要するになんというか、そんなに悩む必要のあることはこの世の中に、そんなにはない、ということですね。ええ、ヤングはすぐ悩んでしまいますからね。裏返せば悩んだりしているうちはヤングということかしらん?


そういえば葉室燐『随筆集 柚子は九年で』(文春文庫)読了。なるほど、大人な文章です。
「桃栗三年柿八年」はよく聞くフレーズですがそれに続くフレーズがいろいろあって、地方によっても違うそうだが、
   「桃栗三年柿八年柚子は遅くて十三年」
   「桃栗三年柿八年梅は酸いとて十三年」
   「桃栗三年柿八年枇杷は九年でなりかねる」
   「桃栗三年柿八年梨の大馬鹿十八年」
などと言うそうであります。これらはみんな「実」の話なんだそうですが、「花」に関しても、
「桃栗三年柿八年柚子は九年で花が咲く」
なんて言うそうで、このフレーズを五十歳になってから本格的に時代小説を書き始めた葉室燐は好んだんですな。じっくりと時間をかけて、あきらめることなく努力を重ねれば、いつかきっと花が咲くはずだという、そういうことなんでしょうな。
しかしまあ、すでにヤングではない百姓は、必ずしも努力が報われるわけでもない、ということもよく判っているわけで、一年遅れて、十年目で直木賞を受賞した葉室燐は、もちろん報われた方になるわけですし、すばらしい花が咲いたわけですし、実を結んだことになるのでしょう。受賞作『蜩の記』はなるほど読みごたえのある小説でした。


報われることもあるし、報われないこともあるのですが、それでもすでにヤングではない百姓は、十年という努力の時間の長さや重さを、少し理解しているつもりでもあります。


今年は私が就農してから十年目になります。私が柚子なら花は咲いてもまだ実はつかないという時期になるのでしょうか。
そういう個人的な事情とはまったく関係なく、田んぼでは稲が穂を出し、知らない間に花を咲かせ、垂れてきて、一番最初に植えた「コシヒカリ」は、ポッと黄色くなりはじめました。人事にばかり気がいくのは、ヤングなら仕方がないのでしょうね。ですが、ちょっとまわりを見渡せば、この残暑のなかでたくさんの花が咲いています。ヒマワリ、アサガオ、ユリ、サルスベリと有名でわかりやすい花も咲いていますが、無名というわけではもちろんないのですが、雑草扱いされまたほとんど誰にも名前を知られていない花々も、今、私たちのまわりにたくさん咲いています。たとえば、ヤマモモソウとか。


考えてみれば、それがたとえ地味な花でも、虫や鳥(風も?)は、ちゃんと気がついていて、実を結ぶように媒介してやっていますね。小さな花を咲かせているのに気がついてやれないのは、人間だけかしらん?


今年、就農10年目の辻井農園の田んぼの稲、じっくり、ゆっくり登熟中です。おいしいお米になりそうですよ。ぜひ、ご予約いただいて、新米をご賞味ください。





と書いて、今日15日は、結構な雨量になっているのではないかと、グラフにしてみたら、先日の台風11号の時より一日で見ると、たくさん降っているのですね。


それと画像は草刈りの時にみつけたキアゲハの幼虫。えーっとね、食べている葉はセリの葉だと思います。昔、ニンジンの葉にアゲハの幼虫がたくさんいたのを憶えているのですが、田んぼの畔で草刈りをしていると、このキアゲハを僕はよく見かけます。セリの葉にいるのですが、水の湧く田んぼの畔には、たいていよくセリが生えてきます。