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現代田んぼ生活 辻井農園 このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2018-04-06 桜が満開と荒起しと畔塗り

気がつけば、五日分。春の農作業がはじまって、夜がずいぶんだらしくなってしまって、起きているのか寝ているのか、わからない状態に(笑)。


2日(月)

新年度はじまりの朝食を食べていたら、奥歯の詰め物がポロリととれてしまった。いやはや。何も固いものは食べていないのだが・・・。泣けるぜ。今までお世話になっていた歯医者さんが廃業されたので、さて、どこにいけばいいのか?とりあえず近くの歯医者さんに電話したが、痛くて我慢できません!と訴えれば診てもらえるのかもしれませんが、「詰め物がとれました!」と訴えても「予約が一杯で・・・」とすぐには診てもらえない。やれやれ。

長男は終日荒起し。僕は午前中は畔塗りをし、午後は苗代の準備。

夕方、電話でやっと診てもらえることになった歯医者さんに。しかし、なんだな。初めての歯医者さんは緊張するな。


3日(火)

終日、長男と僕と二人でトラクタ二台で荒起し。あっという間に桜が満開になる。


4日(水)

午前中は荒起し。午後は今年から作らせてもらうことになった田んぼで、畦畔沿いの石拾い。荒起しをしているときに、畦畔にたくさん大きな石がゴロゴロとしていることに気がついたのだ。これでは畔塗り機でまともに畔塗りはできません。鍬で大きな石を掘り起こしながら、石を取り出していく。たぶん隣の排水路を掘るときに出てきた石をそのまま畔に塗り込んでしまったのではないかな?うーむ。

その後、畔塗り機の爪を新しいものに交換。

夜、少しだけ雨が降る。久しぶりの雨になったが、あまりにも少なすぎる。


5日(木)

終日、畔塗り。畦畔ブロックが畔になっている圃場にも畔塗り機で土を寄せて畔をつくる。ま、一回ではしっかりした畔はできないのだが・・・。ま、来年にはいい畔になると思います。その後、長男に畔塗り機の使い方を教授する。うちの畔塗り機はリターン機能がついていて、バックで隅まで畔塗りができるようになっているのだが、前進での作業はすぐに上手になったが、このバックのコツをまだつかんでいないようで苦労している。ま、でもこういうものは慣れですから。僕も最初の一年、二年は苦労した記憶が・・・。


夜、ネットラジオカープスワローズの中継を聞いたりする。

そういえば、娘が朝、「お父さん、あのね、桜がちょっとピンクに見えるようになってきたら、散りはじめるんやで。満開になったときはわりと真っ白にみえるけど。」などと教えてくれた。そう言われれば、そうかもしれない、と思い当たる気もする。


6日(金)

朝の散歩で桜並木を歩いたら、盛大に散りはじめていた。花の命は短くて・・・。曇りがち。午後からは雨の予報。


午前中は精米など。

早めに昼食をとり、お昼から出芽機を長男と組み立てる。朝、お隣の若き百姓のKちゃんが「ツジイさん、もう播種さあるんですかぁ?」と声をかけてくれたのだが、「おうよ、明日にでも催芽機に入れようかと思てるんやけど。」と言うと、「この浸種の籾、ちょっと芽が出かかってませんか?」などとおっしゃるのである。「ええ?まさか?」などと浸種してある種籾を観てみると確かに催芽しかかっているような・・・。水温は15℃であります。うーむ。五月ならこういうこともあるのだが、4月初旬の最初の浸種からこんなことになるとは。それにしても・・・。というわけで、明日、播種するのか、催芽機に入れるのか、ちょっと思案中。水温を28度くらいにあげれば、芽が出るのが揃うような気がするのだし・・・。困るなぁ。いや、この三月末から四月の気温がいかに例年より高かったかということの証左ではありますな。さてさて。

しかし、Kちゃん、うちの浸種の様子まで観察してくれているとは!感謝です。


昨晩の夕食時に、畔塗り機のバックでの作業がうまくいかない、と言っていた長男に、「うん。荒起しや畔塗りの精度は、もちろんとても大事なんやけど、それは稲作の環境づくりであって、本当に、一番大事なことは、これからはじまる稲の観察なんやで。観察力。観察して、状況に応じてしかるべく対応する、という。うちのじいちゃん(私の父です)はな、そのへんがすばらしくてな。僕が気付かんところに、ちゃんと目がいっていて、田んぼ毎に、ああせなあかん、こうしたほうがええ、どうの、こうの、と考えてやんたんや。」すると奥さんも「じいちゃんは、もう80年くらい田んぼを観てやんすさかいなぁ」と。長男は「うーん」と一声唸って席を立ったのでありましたが(笑)。


農業をしていて、一番のライバルはお隣やご近所の百姓仲間です。それぞれに得手不得手もわかりますし、人柄もあって、米づくりのありようもそれぞれ。同じ土地、同じ気候、同じ環境で、安全で安心して食べられる米をたくさん収穫できるように競争というか、ま、上品な言葉でいえば、切磋し琢磨するということになります。お隣の田んぼは気になります。田んぼは隠せません。オープンですからね。失敗したこともうまくいっていることも、田んぼの状況はすべてオープンになっています。失敗を隠すことができないので、積極的に失敗を披露することになります。失敗を披露して笑ってもらおうという関西人気質はありますが、本気で笑う百姓は、まあ、いませんね。みんな失敗を共有して、自分が同じ失敗をしたくないからです。僕もそうですが、みんな失敗から経験値を積んでいきたいのです。ですから隣の百姓の失敗を本気で笑う百姓はいません。大前提が隠すことができない、フルオープンだというのは、それがありがたくもあり、また、ツライこともあるのですが。

ま、どこかの国のように公文書でも都合の悪いことは隠してしまえ、ないことにしてしまえ、という気持ちは、気持ちとしてわからなくもないですが、正直に裸になった方が、はるかに楽に生きられることは間違いないですね。


そういえば、六代目の笑福亭松鶴さんが桂枝雀さんとの対談で夫婦円満の秘訣を聞かれて、こんな風にこたえていました。「男は裸にならんとあきまへん。なにもかも正直に。おなごはんにたいして赤裸々に、とにかく赤裸々に、正直にすべて、全部を話すのがええんです。ところが、おなごはんの裸はあきまへん。思たことを全部話すんやなくて、ちょっとここに(胸に)もっとく。そういうことがね。ちょっと夫婦の、秘訣、ちゃいまんのやろか。」というような話。

ええ、おなごはんの話は、どうかわかりませんが、男にとってみたら、自分の失敗をみんなが共有してくれて、半ば、からかいつつも同じ失敗はしないでおこうと思ってちょっと緊張してくれるだけでも、なにか、心動くものはありますわな。それは仲間の失敗話を聞いて、同じ失敗はしないでおこう、という気持ちの裏返しです。


そういえば選抜は負けてしまったが膳所高校のことも書きたかったのだが、ゲームは観ていないので、書きづらい。最初の方はデータ野球が当たって相手チームもビックリしていたらしいが。うーむ。

大リーグではイチロー大谷翔平の活躍の便りが聞こえてきてほんとにうれしい。ま、とくに若い人の活躍はね。


秋起こしでも、春の荒起しでも、田んぼの土を起こすことを、昔は「田打ち」とか「田を打つ」とかいいました。このあたりでは「田を鋤(す)く」といいます。トラクタのロータリーを使っても「田を鋤いてくる」などと、今でも百姓は普通に使う言葉です。鋤という農具は、今でもうちの作業所にあり、これまた現役の農具なんですが、今でいえばスコップのようなものですね、たぶん。僕の祖父は父が小学生の時に亡くなっていますが、祖父は冬の農閑期に鋤の金属の刃の部分に木を削って柄をつける仕事をしていた、と父からよく聞かされています。

そんなこんなで、荒起ししていると、ときどき思い出す一句。


     生きかはり死にかはりして打つ田かな      村上鬼城