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2015-11-06

玉川大学教育博物館「静岡聖ハリストス正教会寄贈 山下りん・日比和平が描いたイコン」

(2015年10月17日)

玉川大学教育博物館にて「静岡聖ハリストス正教会寄贈 山下りん・日比和平が描いたイコン」。

山下りんは笠間市に生まれた日本初のイコン画家。工部美術学校にてフォンタネージの指導を受けたのち、ロシアでイコンの技法を学ぶ。帰国後、神田駿河台の日本正教会・女子神学校にアトリエを構え制作、晩年は笠間に帰郷。各地の正教会にイコンが納められている。

日比和平は信仰の篤い家系で幼少の頃からイコンを見て育ち、見よう見真似で描いたイコンで亡命ロシア人を喜ばせた。日本正教神学校を卒業後、函館正教会の伝道師となる。美術については大阪石膏研究所にて学び、豊橋に移ってからも自宅でイコン制作を続け、ニコライ堂や横浜、浜松、札幌、小樽、苫小牧などの正教会にイコンを遺している。静岡の正教会では山下りんとともに設置されたほか、彼女のイコンの修復も手掛けている。

山下りんの作品をこんなに近くで見られたのは初めて。淡いトーンで意外にしっかり入っている輪郭線、眼差しに宿る素朴で純な光にふっくらとしたピンクの唇、ふわふわと揺れるような髪の毛のタッチ、柔らかな薔薇色の肌に落ちるグレージュの陰影、グレイッシュで淡い色調、それらが醸し出す甘いムードと響くような規則的な構成とポーズの生真面目さ、少女のように清らかな感覚。

日比和平は細長く伸びて捻れを加えたマニエリスムの身体に、直線的な襞に強いハイライトを入れた表現主義の衣服を纏う人物像がスタイリッシュ。強いダークトーンの輪郭線で描かれた顔貌をのぞきこめば、確かな筆致で線的な鼻筋と深い眼窩が描かれている辛口の人物像。

定型のストーリーでありながらこれほど違う対照的な二人の作品が一枚のイコノスタスの壁面を飾っていたのは刺激的でもあるし、異なる個性が協調し、一枚の壁面に深みを加えるようにも見える。耐震工事と聖堂縮小によりこれからは個々のタブローとしての魅力に光が当たってゆくようになる。


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written by iHatenaSync

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