新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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ミステリマガジン700 国内篇

最初の要望は単行本未収録作品の中から選定してくれという話だったそうだが、
さすがにそれは断ったそうだ。
掲載される国内短編はそうそう多くないから、その層の薄いとこから選んでも、
落ち穂拾い的なしょぼいアンソロジーになっちゃうのは、選者じゃなくても容易に理解。
 
なにせ層の厚みはたぁ〜〜っぷりとあるはずの海外編ですら、あの出来だったからなぁ。
まぁ、これは杉江松恋の選定眼(というより私との趣味の違いなんだろうけど)
ということになるのかもしれないけど。
 
こちらもバラエティ豊かな作品を、という選定基準だったせいか、
広義のミステリとしか言えない、ちょっとぼんやりした作品が多かった印象を受けた。
 
そんな中で、ベスト3を選ぶとすれば、
ベストは悩みようがないほど、これで決まりの鮎川哲也「クイーンの色紙」。
自虐ネタというユーモアを効かしながら、シンプルでお見事な謎解き。
第2位は原寮「少年の見た男」にしよう。なかなかにトリッキーな構図を、
ハードボイルドの形式に乗せて、カッコよく描き出してるくれる作品。
第3位は悩むところだが、若竹七海「船上にて」で。
トリックはしょうもないが(特にダイヤの方)、オチが爽快。
 
このコンセプトの程には楽しめなかった感が強いので、採点は6点止まり。