新・三つの棺−「幻影の書庫」日記

2018-06-12

[]折りたたみ北京

モスクワ出張中に読んでいたのが本書。共産圏繋がりで。

 

ふだん全く触れることの無い中国SFの秀作揃いのアンソロジーとして、

大いに価値のある、読み応え十分な良書だと思う。

 

比較普遍的作品であっても、やはりどことなく中国らしさを

感じさせるものばかり。

直接的に近現代中国の抑圧を想起させる作品も見受けられるし

(そう読むなって言われても、そう読めてしまうのはしょうがないよね)、

そうでなくても舞台が猥雑でオリエンタルな街並みとして、

脳内で展開されてしまうような作品が多い。

ファンタジーであっても、宇宙であってさえも。

 

中でもやはり、巻末に配置されている劉慈欣の二作品が、

ずばぬけて素晴らしい。

 

ある意味どちらもバカSFと称することも出来そうな

とびっきりの奇想SFなんだけど、

軽薄味なんて一切感じられない、重厚と言い切っても構わないくらい

スケール感とみっちりとした密度で描かれた傑作。

 

ベスト3のワンツーフィニッシュは、

この「円」と「神様介護係」に間違いなく決まり

「三体」が出版されたら、読まなくっちゃいけないよなぁ。

 

第3位は作品としての読みやすさも、中国ならではのテーマ性も

だって感じられる馬伯庸「沈黙都市」かなぁ。

 

次点として、

味わい深さとペーソスユーモアの結合、夏笳「童童の夏」、

イメージの奔流に翻弄される糖匪「コールガール」の

作品を選んでおきたい。

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