ギャラクシーエンジェル

Broccoli Best Quality ギャラクシーエンジェル

Broccoli Best Quality ギャラクシーエンジェル

フォルテ以外のシナリオをクリア。フォルテとはさすがに恋愛できないので*1、これで終わりにしました。
仕様として気になったのは、①中盤以降ヒロインがひとりに絞られ、独自の物語(ADVパートでの恋愛エピソード)が本筋と並行する形で挿入されるので、ヒロインシナリオを複数楽しむためには繰り返しプレイをしなければならないというのに、既読スキップができない。②章仕立ての進行で、サブタイトル画面がこまめに挿入されるのはうざったいし、その都度セーブが行えるのにローディング時間が異様に長い。③同じSLGパート・まったく同じ戦闘を何回も繰り返さなければならない。ある程度はやむを得ないとしても、ヒロインごとに(物語内容に沿った)特別の戦闘があってしかるべきだったでしょう。
物語として気になったのは、①「サクラ大戦」に「宇宙」をつけただけのベタベタな恋愛ドラマは、最早人を馬鹿にしているとしか思えない。②選択肢の内容が浅薄で、正解が見え透いていて、白々しい応答をする主人公と、軽々しく好感度アップの効果音を鳴らすヒロインがくだらなさすぎる。③アニメの面白さ・ノリの良さに馴染んでいると、「友(愛)情・正義・勝利」という生真面目さがヘンに不真面目に映ってしまって、もはや出来の悪いパロディにしか思えない。
フォルテはわからないけれど、ヒロイン別シナリオで印象に残ったのは、ヴァニラ編ですね。彼女独特の無表情・無感情さ、自信のなさ・謙虚さが恋愛的な内気さを素直に裏打ちしていて、好意が露骨じゃない分気になって仕方がなくなる感じ。舞踏会でタクトにラストダンスを誘われて、でも自信なさ気にスカートを摘むその手を、彼が持ち上げるアニメシーンが妙に印象的でした。
アニメ版の毒っ気を恋愛に置き換えるというテーマ(試み)を、すんなり受け入れることが叶えば、これはこれで楽しめる作品なのかもしれません。
それとは関係なく、シミュレーションパートは意外と楽しめました。紋章機は自動で敵を見つけ出して戦ってくれるけれど、だからって指示を出さないでいるとあっという間にエルシオール(旗艦)は撃沈。つまり、ずっと飛び続けなければならない紋章機は、護衛はできても前衛にはなれません。旗艦を守るために防衛ラインを敷くというような、戦略SLGに常套の戦術を取れないことがかえって、紋章機へのこまめな指示出しを要請し、リアルタイム進行に伴う緊張感もあって、適度に難しく、だからけっこう楽しい。
それでいて、ビームやミサイルが入り乱れる紋章機たちの華麗な戦いぶりを、フリーのカメラワーク(視点移動)で鑑賞したり、彼女たちの個性味溢れる発言を気にかけられる余裕はちゃんと残されていて、「ちょっと手間のかかる簡易戦術シミュレーション」という絶妙の中途半端さが、僕には好ましく感じられ、かつアニゲーとしては申し分ないといえます。
ADVパートでの(主人公の振る舞い[選択肢選択]による)ヒロインたちの好感度によって、SLGパートで紋章機自体の能力が増減し、SLGパートでの戦い方・戦果がヒロインたちの好感度に影響する、ADVパートとSLGパートの連携仕様は手堅いものがあるし。例えば中盤以降、ヒロインが1人に絞られるとその子の能力は格段に上るわけです。物語が進めば進むだけ好感度は鰻上りなわけですから。その子の操る機体が攻撃系であれば、彼女の機体を前面に出すことで戦闘がかなり楽になります。
けれどヒロインがヴァニラ(回復系の機体)だったりすると、ある意味戦闘は苦しくなるわけですよ。回復できるといってもそれは紋章機だけ、エルシオールは修理できないし、他のヒロイン機(攻撃系)の能力はあまり増えないから、ターゲットをいつまでも撃退できないでいる(ヴァニラ機には攻撃系の必殺技がないのも大きい←ヒロインになると必殺技を撃つためのゲージが上りやすい)。ヴァニラ編のSLGパートで何回、エルシオール撃沈の憂き目にあったことか…(僕が下手なだけなんですけどね)。
だから、ヒロイン別の戦闘パートを用意できないのなら、ひとりのヒロインが選ばれることで、上手くいくようになる部分と、上手くいかなくなる部分を明確にしておけば良かったですね。たとえばミルフィーユがヒロインになったら、敵艦が突然原因不明で動かなくなったり、ありえない方向から敵勢力が出現するようになるとか。ランファの場合は移動速度や近接戦闘能力が格段にアップするけれども、目の前の敵しか目に入らなくなる(恋は盲目)とかね。
選ばれたヒロインたちの個性と、紋章機の機体性能に応じてこちらの戦い方が自然変化していくような、いかざるをえないような能力・性能設定の多彩さと、能力値の増減をもっとダイナミックにやっても良かったのではないかなと、思いました。
そんなわけで。まあ、続編の「ギャラクシーエンジェル Moonlit Lovers」をさっそくプレイしてみようかと。僕の大好きな「人を馬鹿にしたようなベタベタな恋愛ドラマ」を堪能すべく、ね。

*1:「さっき言ってた、『自分ひとりなら別にいい』ってのはナシだ。自分のことを大事にしない人間に、他人のために戦う資格はない。あたしは、そう思ってる。自分を軽くあつかうってことは、自分自身を信用してないってことと同じだよ。例えばの話だ。お前さんに、もし万が一のことがあったとき、誰も悲しまないと思っているのかい? その人を悲しませない責任が、お前さんにはある。自分を信用していないヤツが、その責任に応えられると思うかい?」
 フォルテのセリフ。こんなくだらない物語に置いておくにはちょっともったいないと思ったので。