連休日記
小田原駅で待ち合わせをする。
駅のロータリーへ滑り込んで来た車から、彼は身軽に降り立つと、ドアを開けて私に席をすすめる。後続の車に軽く手を挙げ挨拶をして、箱根を目指す。
空いている道を選び、ターンパイクの料金所で、「お疲れ様」と声をかける。職員の方も「お気を付けて」と笑顔で応える。
ゆっくり景色を楽しむ為に制限速度で走る車は、後続車が現れると路肩に寄って道を譲り、軽いクラクションを鳴らして追い抜いて行く車の窓からは、笑顔の子供達が手を振っていたりもした。
食事処は、やはり混んでいる。並び疲れ待ち疲れた幼い子供達の苛々に大人達も巻き込まれてしまう。彼は、テッシュを小さく裂いて、羽を造ってひょいと落とす。くるくる回る紙トンボは、皆の目を引いて、地面に落ちる瞬間に拾い上げて、泣いている子供に渡す。ぽいっと投げ捨てられても紙トンボはくるくる回って、またみんなの目を引く。
次々に作られた紙トンボは、くるくる舞い、苛ついた空気は和んでゆく。メモ用紙で折られた紙の船や、騙し船、風船も登場して、ちょっとした教室になる。
いい男だなぁ、やっぱ。
でも今日のドライブは、彼と奥様と二人のお子様に私は混ぜてもらっただけだ。
愛しているかも知れない。でもこの家族を全部愛している私がいる。
御土産に奥様から頂いた蓬餅は、美味しいけれど少し苦かった。