ブログトップ 記事一覧 ログイン 無料ブログ開設

俺の邪悪なメモ このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

お知らせ
バイオレンスでホラーな自主制作コミック『黒の女王』
第4話までを特設サイトで公開中!

自主制作コミック「黒の女王」


2009-11-28

ゼロ年代は韓国映画萌芽の時代

立て続けに2本、韓国映画に打ちのめされた。

劇場で観た母なる証明DVDで観たチェイサー


f:id:tsumiyama:20091128113827j:image


どちらもどんよりしたサスペンス映画なのだが、大傑作なのは間違いない。

両作品に共通するのは、安易な予定調和を拒否し、人間という存在の深淵を捉えようとしているところ。決して気軽に楽しく観れる映画ではないが、その反面、見応えは抜群。見終わったあと「これが映画だ」とつぶやきたくなる、そんな2本だ。

というわけで、今回は、韓国映画スゴい!」って話。


今年はゼロ年代(2000年代)最後の年ということで、映画ブログ破壊屋さんと男の魂に火をつけろ!さんでゼロ年代ベスト映画の投票を企画している。

ぼくもブログを始めたことだし、映画の感想なんかもちょこちょこアップしてるので参加してみようと思い、結構真剣にベスト映画を選んでいる最中だ。

悩ましいことこの上なく、今のところ"ベストワン候補"の映画が80本くらいあって、「これ全部同率1位でいいよ!」って感じ。まあそこを10本に絞って、無理矢理順位をつけるのも楽しかったりする。

で、このぼく的な"ベストワン候補"の作品はやっぱり日本映画とアメリカ映画が多いのだけど、数的には少ない韓国映画が異常な存在感を示してもいるのだ。

具体的には以下のような作品たちだ。


丁度8本。これに先の2本を加えて、ゼロ年代のベストテンにしても全然おかしくないくらいのラインナップだ*1

軍事政権が長く続いた韓国では、商業資本による映画作りが始まったのは90年代からだという(wikipedia:韓国映画)。それ以前の映画は、もっぱら政府資本で国内向けに作られており、ほとんど輸出もされていないようだ。

きっと、ゼロ年代というのは韓国映画が世界に向かって芽吹き始めた時期なんだろう。日本に入ってくる作品の数はまだ少ないけれど、その中には「映画史に残る」といっていいくらいの作品がいくつもある。特に内容がハードで、人間性の根本を問うような重いテーマの作品の優秀さが目立つ感じだ*2

海外の映画祭でも評価され始めており、今後、韓国映画の存在感はどんどん増していくだろう。カンヌパルムドールや、アカデミー外国語映画賞を受賞する作品の登場も時間の問題かもしれない。

黄金期が遠く過ぎ去りテレビ局主導のウンコみたいな映画が興行成績の上位を占めている邦画の状況を考えると、すでに日本は韓国の後塵を拝してるとすら思えてしまう*3


ところが、ネットでは韓国のことが嫌いで、十把一絡げに韓国文化全体を無価値のもののように蔑んだりバカにしたりする人たちがいる。そういう人たちの意見を目にする度に、ここに挙げてるような映画を観た上でいってるんだろうかと思ってしまう。

そういえば、『グエムル』が『機動警察パトレイバー 廃棄物13号』のパクリだって(一部で)騒がれたこともあった。韓国国内にもそういう意見があると聞くけど、正直、正気を疑った。どう見たってこれらは別の映画だからだ*4。そりゃ似てる部分がゼロではないけど、両方の作品を頭からお尻までちゃんと観れば、普通はそういう感想は抱かない。

グエムル』はこの映画でしか表現できないことを表現しているオリジナリティ溢れる大傑作だ。もちろんこの作品が好きじゃない人もいるだろうけど、執拗にパクリだといってバカにするのは、感情的な理由でとりあえず批判したいだけだとしか思えない。


日本と韓国の間に色々デリケートな問題があるのは分かるし、それが原因で韓国に複雑な思いを抱く人いるのも分かる。でも、それとこれとは話が別だ。どんな国で作られようと、良いものは、良い。

もちろんぼくは全ての韓国文化に精通してるわけじゃないし、韓国映画にも「なんじゃこりゃー?!」ってのがないとは思わない。でも、このゼロ年代韓国が素晴らしい映画を何本も世に送り出したという事実は確かだ。それだけで韓国という国の文化に敬意を払うには十分だと思うのだ。まあ、めぼしい何かがなくても他国の文化に敬意を払うのは当然かもしれないけど。

もし、スマイリーキクチみたいな人のドラマの「韓流」イメージで、韓国映画トンデモな恋愛映画ばかりだと思っている人がいたら、ぜひこれらの映画を観て欲しい。きっと目から鱗が落ちると思う。


来年、そして2010年代にはどんな韓国映画が作られるのか、とても楽しみである。




<蛇足>

一応、念を押しておく。

ぼくは、このエントリで以下のことは書いてない

こういう書いていないことに関して、アグレッシブなコメントを書き込もうと思った人は、ぜひもう一度、エントリを読み返して、紹介した映画を全部観た後で、動画ファイルナビゲーター(3次元)か同人WORLD!!(2次元)あたりから旅立ってスッキリして眠って欲しい。



※エントリでふれた韓国映画(『母なる証明』のみ、書籍へのリンクです)

*1:今日の時点で未見の『グッド・バッド・ウィアード』や『ほえる犬は噛まない』、『マラソン』あたりも、観たら傑作なんだろうと思う

*2:ぼくがセレクトした作品はみなそういう傾向の作品だ

*3:日本映画全てを否定しているわけじゃない。ゼロ年代、素晴らしい日本映画だって何本も作られた。ただ、実写邦画の歴代興行成績1位が『踊る大捜査線2』だったり、今年の邦画興行成績1位が『ROOKIES−卒業−』になりそうだという事実にはめまいがする

*4:ついでにいえば『グエルム』の方が100倍くらい面白い