白黒学派

Monochrome School

K's Ark 2005

5月21日、渋谷公会堂。これまでスタンディングライブしか行ったことのないKimeruにとってはじめての座席会場となる。正直、若干の不安はあったが、それは杞憂に終わった。全体としては大成功のライブだっただろう。

ただKimeruといっても、まだ認知度の高い歌手とはいえない。どのような経緯で今に至るかを、足早にではあるが確認しておこう。そもそもKimeruデビューのきっかけは2001年に行われたオーディション。彼は郵便局員の身でありながら、そのオーディションにエントリーし見事合格。「テニスの王子様」のED1「You got game?」でデビューを果たす。二枚目「Make You Free」は「テニスの王子様」のOP3となり、これである程度の認知度を得られたものの、やはりアニソンという領域から外れることはなかった。しかし、地道なライブ活動と「テニスの王子様 ミュージカル」に不二役として出演したことでファン層を拡大化させ、今回の渋公ライブが実ったわけだ。歌詞や曲調については、T.M.Revolutionこと西川貴教や、かろうじてシャ乱Qつんくに近い立ち位置の歌手ではある。だが、実際のKimeruを知るとその位置づけでは測れない変な魅力がある。

チケットは即日、いや数分で完売だったはずで、会場前にはずらりと並ぶ客列。ここに単純計算で2300人が並んでいることになる。一時間押しての開演となったが、「DECIDE」がはじまると、会場はすぐに一体となった。続いて「ミラーボール」では、天井に隠されていた巨大なミラーボールが姿を現すや、会場の熱気は一気に5度は上がっただろう(ちなみに「アとイとダとゼッ」のかけ声がずれていたような気がする)。この曲には歌詞に合わせた振りが用意されていて、この仕掛けがさらに観客の一体感を倍増化することはいうまでもない。そして「Prism」「OVERLAP」と快調に曲目を進めたあとは、恒例のぐたぐだMC。局所的にはキャバ嬢のようなかたりくちも、完全に芸風として確立されてしまっている。

続いて「テニスの王子様 ルドルフ戦不動峰戦」とも関わりの深い「OATH IN THE STORM」ではお茶目な蹴りを披露し、「CHAIN OF MIND」、バラードの「endless pain」、再びぐだぐたMC。「K's Ark 2005」というライブ名のあいまいな説明に続き、最近のおすすめとして謎の月光浴の話。メンバーとの掛け合いもいい意味でゆるゆるに進み、新曲「Pink」「The Pleasure of Love」、「KEY OF LIFE」と続く。そして恒例のかけ声からはじまる「Be Shiny」では舞台に立てたれた5本のパイプから目算3mもある炎を放射。「You got game?」では、2階まで届く銀テープが発射され、客席の熱気も最高潮に。開演が押したのも納得がいく豪華な舞台設定だった。そして「beat a path」に続き、「feel my soul」では観客と一緒に熱唱。アンコールは、会場では仮の名前が付けられていたものの公式的には曲名未定の「新曲」「Song for you」。締めはやはりデビュー曲の「You got game?」であった。

今年の夏には「Kimeru-Land」と題されたツアーも予定されている。相変わらずセンスのないネーミングがまたファン心をくすぐってやまない。