コロボックル論争 -明治時代(『日本の人類学』)

日本における自然人類学の歴史について,個人的な覚え書きです.
ストーリーの構成や内容は [1] を参考にしています.
(よくまとまった読み応えのある本ですので,機会があればぜひご覧になってみてください.)
間違いや誤植などあるかもしれませんので,十分にご注意ください.

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■コロボックル論争
日本の先住民はどのような人々かという問題についての論争.
以下のふたつの説の支持者のあいだで,1986年から20年以上にわたり論争が続けられた.

・北海道および本州の先住民(石器時代人)はコロボックルである,とする坪井らの説(コロボックル説)
・コロボックルは架空の人々であり,日本の石器時代人はアイヌである,とする白井や小金井らの説(アイヌ説)

北海道にみつかる石器や竪穴住居がアイヌの手によるものであることが明らかになるにつれ,アイヌ説が優勢になっていった.1913年の坪井の死とともにコロボックル説は衰えた.
この論争を通じて,遺物を通して古代の風俗習慣を考察する意義が痛感されるようになり,賛成や反対するために新しい発見がいくつも行なわれた.

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参考
1 寺田和夫. 1981 (初版), 『日本の人類学』, 角川書店, 東京.