溺れる女


お勧め度:★★★(75点)
POINT:映像美・キャスト・繊細さ

アンドレ・テシネ監督がジュリエット・ビノシュを見出した「ランデヴー」(85)から12年の時を経て、再び組んだ映画がこの映画でした。「ランデブー」は観たことがないのですが私はジュリエット・ビノシュが大好きなのでこの映画も観ようと思ったんですよね。彼女って奥深い素敵な瞳をしているんですよ。「ポンヌフの恋人」以来、その魅力にハマってます。「イングリッシュ・ペイシェント」でアカデミー受賞女優を獲得したのは記憶に新しいですよね。彼女がシナリオを読む前から出演を決めたテシネ監督の最新作が、本作「溺れる女」です。
  ビノシュ演じるアリスは年下のマルタンの積極的なアプローチにより、彼と恋に落ちてしまう。彼女はヴァイオリン演奏者で決して裕福な暮らしをしているわけではない。ゲイの親友であるマルタンの兄と一緒に暮らし、生活の設計をたてていた。そこへ家出をし、転がりこんだのがマルタンだった。彼はそのルックスでモデルの仕事に就き、苦労なくお金を稼ぐようになる。そして、それが自信に繋がり、アリスの心を射止めるのだ。アリスは本作のタイトルである「溺れる女」とは程遠い。「恋に溺れる」わけではない。現実的に彼との恋を受け止め、自分の奥にある熱い心に忠誠になることを知るだけ。むしろ溺れているのはマルタンである。「苦悩」という海に溺れているのである。そんな彼を救う為にアリスはマルタンへの愛を支えに強く行動する。大人の女性の恋を学ぶ作品でした。
 フランス映画ならではの美しい映像と音楽のように進み、繊細で心に問いかけてくるストーリー展開は時間の流れを緩やかにしてくれます。その独特さが苦手な人も多いですよね。