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diary / nowadays


2008-04-26-土 There Will Be Blood

[][]『ゴルゴ13』Target.3 傑作・アサルトライフル

 技術の粋を尽くして開発した新式銃の能力を証明するべく、開発者と傭兵兄弟は策を弄してゴルゴとの対決の場を用意する。いち早くそれを察知したゴルゴは、かつて一緒に仕事をした銃職人の力を借りて、独自に設計したバレルを開発させたうえで臨んだ。先進電子機器を搭載した新式銃と、職人の技を加えたゴルゴの驚異的狙撃技術との戦い、勝利するのはいずれか……?

 おお、今回はかなり良かった。あまり日本的な光景を出さなかったのも奏功していますが、何よりゴルゴの並外れた戦略がちゃんと描き出されていて、締め括りもいい。相変わらず基本的におっさんくさいんですが、しかし今回に限ってはそれが格好良さにも繋がっている。

 前回までは鼻についた台詞の呼吸の悪さも、説明、というか解説が主体となったからなのかあまり気になりませんでした。アニメなのに台詞でばかり説明するのはどーよ、という思いもありますが、それを言い出せば原作の時点で説明過剰なのですし、これで充分面白いのですから。

 やっぱり動きに乏しいのも相変わらずながら、それで魅せる技も心得ていた今回は、現時点で一番いい出来でした。このくらいの水準を保ってくれれば、素直に最後まで楽しめそうです。

[][]尺が長いと初回が早い。

 今日も基本的には観る作品は決めていた――のですが、尺が長く、1日で上映回数を稼ぐ必要もあってか初回が9時15分とべらぼうに早いので、携帯電話のアラームを仕掛け、それで無事起きられたら本命、駄目なら第2候補、という具合にスケジュールに幅を持たせてました。が、無事に起きられたので、悠々と電車にて日比谷へ。あまりに朝が早いと話題作でも人出が少なかったりするのですが、さすがに並の話題作ではなかったようで、上映開始30分前の到着にも拘わらず既に場内にはけっこう人がいて、最終的にはかなり席が埋まっていました。

 作品は、20世紀初頭の油田開発で財を成した男の精力と狂気とを時に滑稽に、しかし迫力充分に描き出して、アカデミー賞2部門他多くの賞に輝いた大作ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(WALT DISNEY STUDIOS MOTION PICTURES. JAPAN・配給)。主演のダニエル・デイ=ルイスのあまりの評判に、実物を観られるのをずっと楽しみにしていたのですが、なるほどこいつぁ凄い。粗野で凶暴、しかし異様なカリスマ性があり、観ていて呑みこまれそうな心地がします。話の構成はかなり大胆で雑な印象を覚えるのですが、しかし場面ごとのインパクトが強烈で、観終わったあとも鮮明に記憶に残っている。作品賞などは競合する『ノーカントリー』『つぐない』などにさらわれることが多かったのですが、これも歴史的傑作。なんか今年のアカデミー賞の候補はどれも納得のいくものばかりだった気がします。

 鑑賞後は毎度の如く近くのうどん屋で昼食を摂り、秋葉原に寄って買い物をしてから帰宅。感想をちゃっちゃと書き上げて作業に戻るつもりだったのですが、病気のために外出を控えていた従姉が久々に顔を見せたので話をしたり、テレビ放映されていた『カンフーハッスル』に思わず熱中したりしているうちに遅くなってしまいました。

[]『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

原題:“There will be blood” / 原作:アプトン・シンクレア石油!』(平凡社・刊) / 監督・脚本ポール・トーマス・アンダーソン / 製作:ジョアン・セラー、ポール・トーマス・アンダーソン / 製作総指揮:スコット・ルーディン、エリック・シュローサー、デヴィッド・ウィリアムズ / 撮影監督:ロバート・エルスウィット,A.S.C. / プロダクション・デザイナージャック・フィスク / 編集:ディラン・ティチナー,A.C.E. / 衣装:マークブリッジス / 音楽ジョニーグリーンウッド / 出演:ダニエル・デイ=ルイスポール・ダノ、ケヴィン・J・オコナー、キアラン・ハインズ、ディロン・フレイジャー / 配給:WALT DISNEY STUDIOS MOTION PICTURES. JAPAN

2007年アメリカ作品 / 上映時間:2時間38分 / 日本語字幕:松浦美奈

2008年04月26日日本公開

公式サイト : http://www.movies.co.jp/therewillbeblood/

日比谷シャンテ・シネにて初見(2008/04/26)


[粗筋]

 始まりは、場末の鉱山。発破を用いた発掘作業中に金塊を発見したダニエルプレインヴュー(ダニエル・デイ=ルイス)はやがて、それを元手に石油掘鑿を始める。困難に見舞われながらも、パートナーのフレッチャー(キアラン・ハインズ)と息子のHW(ディロン・フレイジャー)と共に着実に成功を積み重ねていった。

 そんな彼のもとを、ひとりの気弱そうな青年が訪ねてきた。ポールサンデー(ポール・ダノ)と名乗る彼は、自分の生まれ故郷リトル・ボストンの地下に石油が眠っている可能性がある、という情報ダニエルに売り渡す。HWを連れ、鶉狩りの名目で現地を訪れたダニエルは、そこが極めて土壌が貧しく、耕作から収入を得ることの出来ない土地であることに勘づき、石油の痕跡を発見すると躊躇なく買い占め工作に走る。

 計画は順調に進んでいったが、ひとりだけ、ダニエルを患わせる存在がこの土地にはいた。ポールの兄弟、イーライ(ポール・ダノ/二役)である。最初にサンデー一家の農場を直接買収にかかったときから値段の吊り上げを図り、ダニエルの支援を当てに建てた教会を一気に地元に浸透させ、無神論者であるダニエルにことあるごとに取り入ろうとする。当初から彼の言動に偽善と虚飾の匂いを感じ取っていたダニエルは距離を置き、すり寄ろうとすると軽い嫌がらせであしらう、ということを繰り返した。結果的に、ダニエルとイーライとのあいだには静かな確執が生じていく。

 そんなある日、掘鑿中の櫓のひとつで、突如ガスが噴き出すという事故が発生した。この出来事が、ダニエルの思惑に意外な影を落とすこととなる……


[感想]

 昨年末から今年にかけての映画賞は数人、大本命と呼ばれる候補者が現れたが、その中でも特に、総ナメと言われる勢いで賞を獲得していったのが、『ノーカントリー』のハビエル・バルデムと、本篇で主人公を演じたダニエル・デイ=ルイスであった。アカデミー賞においては、同じ主演男優賞候補に挙がっていたジョージ・クルーニーがオープニング映像のなかでダニエルを名乗り、既に彼の受賞を疑っていないコメントをして笑いを取ったことを記憶している方も多いだろう。

 それほど大きな話題となった彼の演技を目にする機会をずっと楽しみにしていたが、確かにこれは疑いようのない名演であった。

 まず冒頭、ひとりきりで坑道に潜り、発掘している場面だけでも驚異的に惹きつけられる。続く、初めて油井を掘り下げる場面での穏やかだが重々しい表情、そして油田候補地買収交渉の場での貫禄のある佇まいと、巧みに連携していく編集によって畳みかけるように描かれるダニエルの変遷の異様なまでの力強さに、瞬く間に呑みこまれてしまう。厚く渋みのある低音、ひょろりとした体格は、さながらスクリーンを覆うが如く映ってしまうほどだ。

 意外であったのはもうひとり、そんなダニエルに対して終始反感を示し、取り入って自らの欲望をも満たそうとする伝道師イーライを担当したポール・ダノもまた好演していたことである。自らの言葉に陶酔し、優れた宗教家を自認しながら、根底では名誉欲や物欲に支配されている。その魅力と醜さとを、実に見事に体現している。より強大なダニエルの前にあっては小物に過ぎないが、人間嫌いゆえ他人と深く関わろうとしないダニエルの存在感を強調しているのが、小さなカリスマである彼であることは間違いない。

 しかし、全体の話運びは決して整っているとは言い難い。その時代の出来事の描写があとにどう繋がっていくのか、どう繋げたかったのか、という意志が全般に不透明なままで、ワンシーンワンシーンが切れ切れに感じられる。実際には心理的な伏線が巧みに鏤められているのだが、インパクトの凄まじい場面があまりに多いために、ガタガタした印象を与えてしまうようだ。

 だがそれでも、個々の場面の迫力の凄まじさ、その分量という点では、これほど見所の多い作品も珍しい。不協和音を活かしたBGMを背に、ほとんど台詞なしに繰り広げられる導入部。分岐点となる事故の静かな激しさ。その後登場する新しい人物との絡みで描かれる、ダニエルの弱みと増幅される心の闇。直後にイーライの教会で繰り広げられるひと幕はそれ自体が戦慄を誘うが、それまでの前提があってこそのインパクトであり、このひと幕がクライマックスの狂気を裏打ちしている。ガタガタな印象を齎しながらも牽引力を損なわないのは、エピソードの力強さと、奥に流れる意識に揺らぎがないせいだろう。むしろ、あまりに情熱が籠められすぎ、業の域にまで達した場面が多いがゆえに、歪さを生じている。

 それぞれの映像美も出色だ。荒涼とした土地で行われる石油の掘鑿と、そこで繰り広げられるドロドロとした人間模様が美しいはずはないのだが、構図と特徴的な色彩設計によって、息を呑むような美しさを演出している。本編はアカデミー賞において主演男優賞の他に撮影賞を獲得しているが、それも頷ける。

 原作自体がそういう趣旨で執筆されたこともあって本編には、資本主義に凝り固まった思考に対する皮肉と警句が漲っている。資本主義が誘発する欲望が塊となって生まれたモンスターのような主人公ダニエルプレインヴューこそが最大の象徴だが、イーライを筆頭に、周囲の人々も多かれ少なかれ金銭に取り憑かれた者ならではの滑稽さ、醜さを随所で露呈する。そうして辿り着く心の荒廃は、現代だからこそいっそうリアルに感じられるとも言える。

 まさに作られるべくして作られた傑作であるが、しかしそのガタガタとした構成と、あまりにアクの強すぎる主人公像ゆえに観る者を選ぶことも否定できない。とは言え、ダニエル・デイ=ルイスの間違いなく映画史に残る名演を目の当たりにするためだけにでも劇場に足を運ぶ甲斐はあるだろう。


[]本日のお買い物

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 1は普通の店舗に今日立ち寄って、2は@TOWER.JPに予約注文してあったのに、諸般事情から何故か同じ日に手許に届いてしまいました。1は珠玉の仕上がりを見せた第3期シリーズ待望のDVD1枚目。初回盤は例によってボックスつきですが、ちゃんとOVA版も収めるスペースを用意してくれているのが嬉しい。2は妙な外国人キャラケイトアニメ版オリジナルの彼女が本格参入するエピソード2話収録。……こっちはボックスつけないのかなー。

 3はすべてオリジナルのキャラソンばかり集めた新作CD。こーいうのは地雷率も高いのですが、1クール目に限りすっかりお気に入りとなったので購入。全体によく出来ていますが、しかしとりわけ素晴らしいのはアニメで徹底的に膨らまされた『先生と二宮くん』の歌を収録していること。先生、なんでそんなに楽しそうなんだ。

 他にも諸々買いたいものがあったのですが、今日はとりあえずこれだけ。

[][]本日の見出し


Jonny Greenwood - There Will Be Blood (Music from the Motion Picture) - There Will Be Blood

 実は今日はこれも買おうかどうか迷ってました、本日鑑賞した映画サウンドトラックより。結局買わなかったのは、意識して不協和音を盛り込んだ音楽の完成度、映画に対する馴染み方は尋常ではなかったんですが、単体で聴くとなんか打ちのめされそうだったので。特に引用した、作品と同じタイトルを冠したこの曲など、iTunesStoreで試聴できる部分だけでも寒気がします。こーいうのも好きではあるんですが。

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