伊坂幸太郎「SOSの猿」

エアコン販売員の青年が引きこもり少年の悪魔祓いをする「人の話」と、サラリーマンが株の誤発注事件の真相を究明する「猿の話」が交錯する半紙でした。珍しくファンタジー色の濃い作品になります。もちろん二つの話の交錯による伏線の回収が一番の盛り上がりポイントになります。
伊坂幸太郎の作品に登場する悪って、あくまで明確な悪であって身近にいるあいつが出来心で持った悪意みたいな卑近さがないから、その辺が少し不満だったりします。本人が書いたことだけど、100パーセントの悪なんてないからね。まあそれをやると、読後感がめちゃくちゃ悪くなるのですが。
ちなみにこの程度のファンタジー要素には特に思うところもありません。猿が出てくるくらい、別に普通じゃない? みんな何をそんなにカリカリしてるの?
SOSの猿 (中公文庫)

SOSの猿 (中公文庫)