宇宙だ(ノッポさんとチビの秋)

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涼しい風に背中を押されて
張り切って突き抜けた

どこまでも広がる草原に
コスモスが揺れていた

ひと休みをしていると
車が一台ちかくに止まった

小さな車から出てきたのは
身長が2メートルくらいありそうな
外国人のノッポさん

あの小さな車に
あの大きな体を
どうやって折りたたんで
収納していたのだろう?

ノッポさんはコスモスを見て
「ここにしよう」と決めたように
車のドアを開けた

そして車から
とても小さな小さな何かを
大切そうに取り出した

そのとても小さな何かが
ノッポさんの足元で
チョコチョコと動きだした

大きなノッポさんに不釣り合いなほど
小さな小さな白い犬だった


黄緑色の草原に
コスモスが揺れる


その中を
ノッポさん
チビの歩調に合わせて
そよそよと
やさしい風のように
散歩をはじめた

その光景が
とてものどかで
とても涼しい空気で
異国の草原を見ているようで


涼しいって
なんて
しあわせなのだろうと思った


ノッポさんとチビの
風のような散歩を思い出すと
今も涼しい風を感じる




Cosmos(コスモス)の 揺れる宇宙を
見上げるも 見つめる者も 涼しき風よ










今夜は

涼しい風に吹かれて

穏やかな気持ちで

おやすみなさい



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