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2007-06-12

電脳コイル』で久々に「子ども向けアニメ」を見たと感じた 『電脳コイル』で久々に「子ども向けアニメ」を見たと感じたを含むブックマーク

電脳コイル|磯光雄監督作品 

『電脳コイル』の第1話〜第5話までが一挙放送決定! - ファミ通.com

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電脳コイル 第1巻 通常版 [DVD]

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電脳コイル』なんですけど、最初は正直見るべきかどうか悩んでいました。しかし4話5話を見て確信しましたね、「これは凄いな」と。上のリンクにもある通り今週末に5話まで再放送されるそうなので、今回は未見の方に向けて『電脳コイル』の面白さを伝えてみようかと思います。

さて、タイトルではあえて「子ども向け」と形容してみましたが、馬鹿にしているわけではもちろんありません。視覚・聴覚に訴える映像作品が本来持っている力、いくらでも意味を汲み取れるシナリオの奥深さを最大限に評価してのことなので、大人が見ても当然面白いわけです。というか、大人が見てつまらないような作品を子どもが喜ぶわけないじゃん、と僕は思います。

電脳コイル』の舞台は202X年、由緒ある神社仏閣を有する地方都市でありながら、最新の電脳インフラを擁する大黒市(どこがモデルなんだろう……)。この時代の子どもはみんな「電脳メガネ」を持っていて、それをかけると、いつでもどこでもネットワークに接続することが出来るようになっています。この辺は『攻殻機動隊』っぽい。ただ「電脳メガネ」はメガネなのに何故か触覚にも影響を与えてしまうんですね*1。つまり「電脳メガネ」をかけることによって見えるようになる仮想空間に直接手を触れることが出来るのです。

こうなるともう仮想と現実の区別なんてつきません。「高度に発達した科学は魔法と区別がつかない」と言われますが、まさにそういう感じ。

仮想と現実が地続きになっている、という幻想的な世界観が『電脳コイル』の魅力のひとつであることは間違いありませんが、ただそれだけではなくて、仮想空間でしか通用しない「お約束」を必要としないため凄くわかりやすいという長所があります。ファイアーウォールはブロック塀として、ウイルスレーザービームミサイルとして、ワクチンはお札として、とにかく何でも身近なものに置き換えてしまえます。

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こういう表現がご都合主義的な発想かと言えばそうでもなくて、例えば郵便局ATMがそうであるように、機械に強くない人(言い換えれば機械との「お約束」を知らない人)も利用するとわかっているユーザインタフェースでは音声でアナウンスしたりアニメーションを組み合わせたりと、少しでも「現実の人間」を相手にしているような感覚を与えることに努力が払われています。『電脳コイル』のように子どもから老人までネットワークに繋がっている世界ならむしろリアリティのある描写である、と言えるのではないでしょうか。

ただ、ユーザインタフェースの発達によって仕組みを知らずに使ってるユーザを増やす一方で、そうした人たちにとっては技術がブラックボックス化してしまうわけです。みんな冷蔵庫の仕組みを知らずに使っているのと似たようなものかと。

電脳コイル』においてもそれは同じで、例えば「メタバグ」という何故そこに存在するのかさえわからないようなものが出てきても、それに対してほとんど疑問を感じることなく使われています。おそらく今後は、そのブラックボックス化された技術の探求がストーリィの核になるのではないかな、と。それにしても無駄のない話。

さて、長々と設定の話をしてきましたが、この作品の魅力はもちろんそれだけではありません。等身大の小学生として描かれつつも決してその枠に収まりきらない、生き生きとしたキャラクタたちの姿が描かれています。

例えば主人公のひとり(たぶん)天沢勇子。

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クラスメイトにつっけんどんな態度をとって敵を増やす子どもっぽいところを見せたかと思えば、上の写真のように暗黒街の大物みたいなポーズを決めたりもする、実に魅力的なキャラクタです。その他のキャラクタも賢そうに見えて鈍感だったり、実力があるのにそれを隠していたりと意外性は十分。

他にも魅力はたくさんあるのですが、何より重要なのはそれらの魅力が直感的に理解できること、そして奥深いところで調和し物語に広がりを与えていることだと思います。その2点を評価して僕は『電脳コイル』を「子ども向けアニメの傑作である」と考えているわけです。


追記:ブクマで指摘されましたが「「電脳メガネ」はメガネなのに何故か触覚にも影響を与えてしまう」というのはめがっさ不正確な記述でした。とりあえず触れることは出来るっぽい。けれど「触れた」という感覚はないらしい、というのが現在与えられている情報から推測できる最も正確な記述でしょう。適当なこと書いて申し訳ありません。ご指摘いただいたid:gohshiさん、id:sea_sideさん、ありがとうございました。

*1:必ず追記を読んでください

MM 2007/06/14 06:04 例えば男の子達が直進君やら追跡君やらの武器を発射する描写。あれは男の子の夢ですね。ロケット花火を思う存分撃ち放ってみたい!という様なw
他にも秘密基地願望も満たしてくれますし、まさに子供の夢想が具現化した感じ
女の子の友情も描かれるみたいですし女の子の視聴にも耐えうるんじゃないでしょうか?
久々に面白そうなアニメだと思いました。1話からちゃんと見るべきだった..サヴァイブみたく再放送してくれないかな?

tukinohatukinoha 2007/06/14 09:27 確かにそうですね。大人の存在が希薄に感じますが、それは子どもが大人に抑圧され保護される存在としてではなく、自分の世界を作り上げる自立した存在として描かれているためかもしれません。秘密基地なんてまさに「子どもの世界」ですよね。
とりあえず今週の土曜日に5話まで再放送されるそうなので、そちらをご覧になってはいかがでしょうか?1年くらい経てば『CCさくら』や『サヴァイヴ』のように再放送ヘビーローテーションの中へと組み込まれると思いますが。

STST 2007/06/14 21:30 私も同感です.
キャラクターもなかなかいいですが,私が特に面白いと感じたのは仮想現実がもたらす現実への依存とでもいいましょうか.
メガネをはずすことによる現実.メガネを掛けて見える仮想現実.それもまた子供たちとそこの土地での現実である.現実では仮想現実は仮想であるが故に一人の世界に陥りがちですが,この子供たちは仮想空間を共有しあい,遊んでいる.メガネという線引きはあるものの重なり合った二つの現実という世界観にとても興味がそそられます.
近い将来,このようなことが私たちにもおこるかもしれないという予感がSFとは違った感覚を覚えさせてくれます.見ていてわくわくする作品です.

tukinohatukinoha 2007/06/15 00:56 森博嗣氏が以前「仮想現実はいずれただの現実になります」と書いていましたが、僕がこの作品から受ける印象はまさにそれです。仮想現実から干渉されると同時に、仮想現実のルールを作り上げる立場にも座ることになる。このようなあり方は共有された現実のそれと全く同じだと言えます。
ただ、技術的な問題はともかくとして、そういう「現実」に人間が適応するにはまだ時間がかかるでしょう。だからこそ『電脳コイル』は新しく、見ていてわくわくするんじゃないかな、と思うのですが。

MM 2007/06/17 18:13 ありがとうございます。おかげで1話から全て見る事ができました。
予想以上に基本をしっかり押さえた作りにビックリしました。最近はここまで基本を押さえた作品は少ないなと。
こちらに書かれている「久々に「子ども向けアニメ」を見たと感じた」に更に共感しました。
最近のアニメだなと思う所は登場人物の一番の主力(キーマン)が女の子だらけという所くらいでしょうか。個人的には弟くん(アキラ)の存在感がもう少し大きければ良いなぁと(昔ならこの弟くんが主役だったかなぁと)
それでは

tukinohatukinoha 2007/06/17 20:31 お役に立てたのなら幸いです。『おジャ魔女どれみ』を見たときも同じように感じましたが、ためらいなく明確なメッセージを主張できるのは「子ども向け」と呼ばれるジャンルだけではないかな、と。

ネコタ斑猫ネコタ斑猫 2007/06/19 22:29 はじめまして。
電脳コイル、うちの小学校四年生と二年生の男子どももはまりました。大変良質なアニメであると思います。斜め見していたお母さんもこちらの記事を読んでその世界観を理解することができました。ありがとうございました。
自分はこのアニメの存在を全く知らず土曜日に子どもたちと一緒にザッピングしていて第一話途中放映中に立ち止まったのですが、その色彩感覚、作画、新しいのに腑に落ちる表現の数々に「これはすごいアニメじゃないか」と驚きそのままビデオをセット。世界観の全体像がわからないうちにエピソードとバーチャルな生理感覚とで引っ張り込まれる心地よさは「ドロヘドロ」以来です。ああおもしろい。
なお、大人が面白いと思わないものでも子どもは結構食いついちゃいます。テレビ東京でやってるロックマンとか。そういうすれ違いがあるからこそ、「お母さん、今日ビデオにとった電脳コイルまた見ちゃったよ、だって面白いから」といわれると、もうしびれるほどに嬉しくなっちゃうのです。
あと、子どもの生活圏に大人がどのくらい見えてるかというと、
学校 生徒:先生 少なくともクラス単位では35:1
放課後のお遊び 子どもたち:遊びに行った先の大人 3:1くらい?
近所 大人は背景
家 子ども:常にいるお母さん 1:1くらい?
で、結構現実的にも大人というのは彼らの生活圏には僅少であることをお母さんの立場から参考として付記しておきます。
子ども世界には子どもだらけです。それで大変正解なのです。

tukinohatukinoha 2007/06/19 23:31 こちらこそ大変参考になりました。
憶測で物事を書くとダメですね……。論を組み立てるのに都合の良い「子ども像」を勝手に作りあげてしまったようです。
少しだけ言い訳をさせてもらうと、子どもの頃の自分にとって一番嫌いだったのは「子ども騙し」でした。オーバーな表現にしたり、わざと話を単純にしたりと、子どもだからと舐められているような気がしたんですね。そういうのに対する反感をずっと根に持っていて、そこから「子どもには本物を見せるべきだし、ちゃんと理解できるはずだ」という考えが生まれています。
あと、自分が「ど」が付く位の田舎出身だというのも影響しているかもしれません。コミュニティの一員として振舞うことが求められる以上「大人の世界」と無縁ではいられなかったので。

ネコタ斑猫ネコタ斑猫 2007/06/20 20:55 何度もすみません。
なるほど、所属していたコミュニティによっても生活圏でのオトナ率は異なるでしょうし、また時代によっても異なると思われます。tukinohaさまのお話を聞いてトトロのような世界を思い出しました。あすこでは子ども密度が非常に希薄で、大人の絶対量が多い。現在私が住む地域はオトナの共働き率が多く、子どもたちはいつも子どもたち同士群れ集って遊んでいます。学校に行けば誰かがいる。逆にうちなぞは片親で働きに出ているので家に帰っても誰もいない。遊びにいく先も片親でなくとも親が働いていて或いは用事ででかけていて(介護だったりします)おもてなししてくれるのはおねえちゃんだったりします。そういうのがそこそこ人口密度の高い地域の現在の公立小学校の子ども日常だということは言えると思います。これが私立になると多分お母さんが常時家に居て塾やカテキョを基準にした全く違う日常を送っているんでしょうけれども。
私も子どもだましは大嫌いです。子どもだからこそ極端な話今の世界がどうなっているのかをきちんと教えてやりたい。何がどこまでできる世の中なのかを教えてやりたい。オーバーな表現や話の単純化については漫画アニメの一手法と捉えているのでわりと不問なんですが、困るのは先に商品ありきの構成です。デジモンはかなり見てたんですが前回のシリーズは先ずデジモンのおもちゃありきのかなりアレな出来でした。ロックマンも先ずはゲームの世界観ありきで登場人物が薄っぺらくてかないません。とはいえ同じ時間帯に放映しているさるげっちゅ! のアニメは同じくゲームの世界観頼りであるはずなのに登場人物にそこそこ奥行きがあり脚本に心意気が感じられてなかなかだったりします。グレンラガンも一家で見ておりますが、理屈を超えた絵面での説得力やアニメの持つ熱さやらを子どもらに教えるためにはちょうどよい教材です。自分らが子どもの頃にはそういうものを無心に見ておりましたから。因みにうちの課題漫画は金色のガッシュ! です。あんなにすばらしい子供向けの漫画はない。同じ時代に在れたことを幸いだと思っております。
自分も自分の子どもとそこから見える世界を通じてしか子どもをとらえておりません。いずれ電脳コイルは、昔子どもだったオトナにも、現在進行形の子どもたちにも、等しく強く訴えてくるすばらしいアニメだといえると思います。
長くなってごめんなさい。

tukinohatukinoha 2007/06/20 21:56 トトロなんてメルヘンチックなものじゃなくて、老人と子どもしかいない枯れた世界です。ただ、狭いコミュニティなだけに、道ですれ違う人が大抵顔見知りでした。だから「大人は背景」という風にはならなかったですね。その割りにはお互い名前を知らなかったりするのですが。
もちろんそういうのが面倒で仕方なかったので、出来るだけ大人の目が届かない場所で遊ぶようにしていました。あ、それだとどこの子どもでも大差ないということか。
ちなみにうちの地元は「アニメ砂漠」と呼びたくなるくらい本数が少なかったので、家族でアニメを見る、という時点で羨ましい話です。せいぜい『名探偵コナン』くらい。
「子どもだまし」の話ですが、昨今は深夜アニメもタイアップ物が増えたせいなのか、大人しか見ないのに子どもだましな作品が多いなと感じます。その反面『おジャ魔女どれみ』のようなオリジナル作品に素晴らしいものが多かった。
散々『電脳コイル』を子ども向けアニメとして持ち上げておいて今更ですが、子ども向けのベストオブベストは『おジャ魔女どれみ』ですね。今見てもメチャクチャ面白くて、その度に「本当に良いものは何時見ても良いのだ!」という思いを強くします。

はちはち 2007/09/12 13:52  NHKのアニメってけっこう出来が良いものがあるんですね。以前、放送していた“プラネテス”には、かなりはまって何度も見てしまいました。私にとって、そう遠くはない近未来という舞台設定が“電脳コイル”にも当てはまり、物語の世界に没頭することができているのだと思います。
 さて、このアニメを見ていて非常にうれしく思うことがあります。皆さんのコメントの中にもありますが、子どもの世界が生き生きと描かれているということです。インターネットや携帯などは、昨今、子どもが使うと犯罪に巻き込まれたり、いじめや架空請求など思わぬトラブルの元になってしまう恐れがあるというイメージが定着しつつあると思います。また、子どもたちを取り囲む環境はといえば、弱者を脅したり容赦なく痛めつけたりする犯罪が増加しているため、子どもたちは外で目一杯、暗くなるまで遊ぶことすらできない状態になっているのが現実です。
 ところが、この大黒市に住む子どもたちは、電脳メガネを使って生き生きと活動しています。部屋でこもることなく、インターネットや携帯電話を駆使しながらも友達とふれ合うことができています。そうした意味で、電脳メガネが創り出す仮想空間という世界は、子どもたちにとってももちろんのこと、我々大人にとっても大きな可能性を秘めている非常に興味深いものだと感じました。子どもが巻き込まれる事件が多発する中、明るい未来に対する大きな夢と希望を与えてくれるアニメであると評価します。
 アニメの今後の展開も楽しみですが、アニメが発しているメッセージもより多くの人たちに汲み取ってほしいと感じるところです。電脳メガネ、仮想空間…SFのような発想ともとれますが、実際に携帯電話はSF映画のスタートレックで登場し、当時の人々の憧れとなったものが現実化したと聞きます。全ては叶わぬものと侮るなかれ…

tukinohatukinoha 2007/09/13 09:01 確かに最近のマスコミ報道を見ていると、インターネットや携帯電話に対して、トラブルの種や犯罪の道具としてネガティブなイメージを植えつけて、子どもをそこから遠ざけようとする傾向が見られます。
ただ、そういった道具って本当は子どもや高齢者のような、肉体的経済的にハンデのある人たちにとってこそ役に立つものなんですよね。『電脳コイル』の世界というのは、技術がそれを必要とする人のために使われている、明るい未来なのではないかと思った次第です。
もっとも、人間の柔軟性はプログラムと大差ないので、それを受け入れるまでに大分時間がかかりそうですが。

DJ ARTHURDJ ARTHUR 2015/02/26 02:39 こんにちは。私は小学生3年生の頃に、電脳コイルをリアルタイムで見ました。
最近見返すと、昔わからなかった沢山のことがこの物語の中にはあったのだ、と理解しました。
小さい頃は、ストーリを見ているのではなく、ヤサコやイサコたちが戦ってたりするのが面白い!という風に見ていたのですが、
木ではなく森を見るように、ちゃんと見てみると非常に深いメッセージがあるのだと驚きました。
私はまだ、あと少しの間は子供なのですが、私がほんとうの大人になったとき、
こんな未来になっていたらおもしろいだろうなと期待します。