Tully'sにて

隣の席に、スーツを着た中年男性1人と中年女性が2人。
同じ会社で働いているらしく、しばらくは職場における
セクハラ問題について話していた。
別に聞き耳を立てていたわけではなく、男性の声が無駄に大きかったため
嫌でも聞かされるはめになった。閉口。


3人の話題は、セクハラ問題から女性の雇用問題、女性の社会進出、
そして共働き家庭についてと移っていき、しまいには
「近頃の子供達が色々と恐ろしい問題を起こすのは、共働きしている母親が
子供をしっかりと育てられないからだ」
というようなことを言い出した。おい誰か突っ込めよ、と思ったけど
3人ともうなずきあって、超納得の様子。


中年女性の1人にいたっては、
「家で子供を育てるのは女性にとって最も素晴らしいことなのに、
仕事のためにそれをしないなんて信じられない」
とまで言っていた。おまけにこのセリフがいたく気に入った様子で、
この後も何回か繰り返し言っていた。


社会の様々な問題に心を痛める善良な市民であり、そして自分がそうであることを
信じて疑うことなく、自分達の世代と過ごしてきた時代を誇らしく感じている
ちょっとばかしだけ他者への想像力の足りない人々。
僕が恐れる、そんな人々。
いつか、ああなるのだろうか。
いつか、ああなれるのだろうか。


中年男性がお決まりの「昔の父親は家庭では〜」と「学校には厳しい先生が〜」
「子供の躾が〜」といった話をした後、しみじみとした口調で(けれども大声で)
「やっぱり、昔の人は色々と良いこと言ってたと思うよ。
ことわざとか、言いつけってのは、経験則だからね、経験則。
今でも、これは一理あるなって思えることがたくさんあるから」


すぐ隣の席で、一体どれだけたくさんの一理があるのやらと
思いつつ、カフェラテをズルズルと啜っていた。
それにしても、Tully'sのコーヒーはなかなかうまい。
客層はどうかと思う駅前tully'sにて。