東北大学総長宛て要請書「労働契約法18条に基づく無期雇用への転換を」

東北大学職員組合から情報を聞いて、全大教加盟組合の仲間として下記の要請書を提出しました。

労働契約法18条の趣旨にのっとり、貴学が有期雇用の職員の無期雇用への転換を進められることを要請します

2016年12月8日
国立大学法人東北大学総長 里見 進 殿

2012年の法改正で導入された労働契約法18条「有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換」の規定は、日本の労働現場でみられた一時的、臨時的なものではない恒常的な業務への対応に有期雇用を濫用する状況を是正し、本来のあり方である「期間の定めのない労働契約」(無期雇用)への転換を促進することを趣旨としたものです。

実際にも、2015年12月に独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表した「改正労働契約法とその特例への対応状況及び多様な正社員の活用状況に関する調査結果」によれば、民間企業の多く(フルタイム労働者について57%、パートタイム労働者について63%)が労働契約法18条による無期転換又は法を上回る取扱い(5年未満で無期雇用に転換、又は採用段階で無期雇用により雇い入れ)を行うとしており、民間企業で法の趣旨に沿った無期雇用への転換が進みつつあります。逆に「有期契約が更新を含めて通算5年を超えないように運用していく」とする民間企業は、フルタイム労働者、パートタイム労働者ともにわずか6%ほどに留まっています。
ところが、国立大学法人においてはこのように民間企業ではごく少数にとどまる「有期契約が更新を含めて通算5年を超えないように運用していく」とするものが多数あります。このことは、国が設置する公共機関・教育機関でありながら法令遵守の精神を欠き、脱法を試みているとの批判を招きかねないものであり、憂慮すべき状況であると考えます。

また、どの国立大学においても、学内の多くの職場で人員削減や新規業務の増大により常勤教職員では賄えなくなった業務を恒常的に有期雇用の職員が支えている現状に鑑みれば、有期雇用職員との雇用契約雇用契約開始後の年限のみを理由に打ち切り、いたずらに交代させるような運用が不合理であることは明らかです。有期雇用の職員も含め、すべての教職員の持てる能力、知識・経験を最大限に活用してこそ、人類社会と日本社会の進歩と発展に資する国立大学の役割を果たすことができると考えます。

このたび、全国大学高専教職員組合に結集する私どもの仲間である東北大学職員組合からの情報により、貴学が有期雇用の職員約3,200名のうち大部分を「有期契約が更新を含めて通算5年を超えないように運用」するために順次雇い止めにする方針について、社会情勢の変化を理由に見直しを表明されたことを知りました。

貴学が、国立大学協会の会長校という立場からも、労働契約法18条の趣旨に基づく有期雇用職員の無期雇用契約への転換を率先して進め、法令遵守と人材の有効活用の両面において、他の国立大学法人の模範となることを強く願うものです。
貴学が、東北大学職員組合をはじめとする学内教職員の声と、国立大学法人が法令と教職員の雇用を守る社会的責務を果たしながらよりよい業績を挙げることに期待する世論の声に真摯に耳を傾け、労使の闊達なコミュニケーションの中で、有期契約が5年を超えないようにする運用を改め、法にのっとった有期雇用の職員の無期雇用への転換に踏み出されることを強く望みます。

以上

東京海洋大学品川職員組合 執行委員長 亀谷 茂樹

学校教育法・国立大学法人法改正法案に反対し、今国会での廃案を求める声明

 2014年6月18日 東京海洋大学品川職員組合執行委員会

 国立大学法人東京海洋大学で働く教職員で組織する私たち東京海洋大学品川職員組合は、このたび政府提出法案として第186通常国会で審議中の「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」が下記の点で日本の大学、特に国立大学の運営及び教育・研究に重大な悪影響を及ぼすおそれがあるものと考え、ここに同法案に反対の意思を表明するとともに、今国会における同法案の廃案を求めます。

      記

1.学校教育法の改正案においては、教授会が《重要事項を審議する》審議機関から《学長の求めに応じて意見を述べる》諮問機関に変質させられています。
 教授会が審議に基づき学長に意見を述べても、学長がこれを尊重せず、独断で教育研究組織の改廃、教員の配置・任免・懲戒といった重要事項を決定することが法的に公認されるものとなっています。
 しかも、6月17日の参議院文教科学委員会での質疑における下村文部科学大臣の答弁では、改正法成立の暁には文科省内に有識者会議を設置して学長が教授会に意見を聴取すべき事項、聴取すべきでない事項のガイドラインを策定させ、このガイドラインに適合させるよう、全ての大学に教授会の審議事項に関する学内規則・内規等の規程の見直しを促すとしています
 学問の自由(憲法23条)の制度的保障としての大学の自治には、教授会自治を通じた教員の身分保障、また教授研究の自由の保障が含まれるほか、どのような事項を学長が自ら判断し、どのような事項を教授会の審議に委ねるのかについて大学が自主的に定めることも当然含まれるべきものです。改正法案の文言及び大臣答弁で示されている改正法成立後の運用方針は、明らかに大学の自治を大きく損なう内容を含んでいます。

2.国立大学法人法の改正案では、各国立大学法人におかれる学長選考会議が学長選考にあたり事前に選考基準を公表することを義務付けるとしています。
 この義務付けの立法趣旨として国会審議で文部科学省が述べているのは、各国立大学の《ミッション》の達成に資する人物を学長選考会議が自ら選考できるよう、選考基準を定め公表させるというものです。
 しかし、昨年から今年にかけ実施された文科省による《国立大学のミッションの再定義》作業が、各国立大学に「学内資源配分の大胆な見直し」による学部学科、研究科等の改廃を実質的に強要するものとなっていることからも明らかなように、《ミッションの達成に資する人物》を選考せよ、という改正法の立法趣旨は、事実上、文科省の意向に忠実な改革を強力に実行する人物のみを学長にせよと述べているに等しいものです。

(本声明に関するご連絡先)
東京海洋大学品川職員組合(執行委員長 小暮)
電話 03-5463-0400(組合事務所内線2179)
電子メールアドレス s_union[at mark]m.kaiyodai.ac.jp
ホームページ http://d.hatena.ne.jp/tumsat_s_union/