工藤洋先生の新刊「パイ×クラ」発売! 改めて、作品の魅力を自分なりに考えてみる

tunderealrovski2009-11-13

 
大ファンの成年漫画家さんである、工藤洋先生の新刊「パイ×クラ」を購入しました!
 

<工藤洋 「パイ×クラ」 (ティーアイネット)>
 
白と淡い蛍光色を基調とした明るい表紙が目を引く一冊。前単行本である「SURVIVAL GIRL」に比べると、装丁にもよりポップさが増し、この作者さんの明るい作風がより強調されたようで、かなり気に入っています(前作の表紙も大好きなんですけどね)。
 
表紙、タイトルの通り、今回もおっぱいが大きくて、可愛い女の娘たちの姿を存分に堪能できる、珠玉の作品集となっています。とはいえ、私が工藤先生の作品を愛して止まない理由は、決してそれだけに止まりません! 今回のエントリでは、自分なりに工藤漫画の魅力を交えつつ、「パイ×クラ」の感想文を書いてみたいと思います。
 
 

■可愛らしくて、でも実はパワフルなヒロインたち

そもそも、エロ漫画は男性の性的な欲望をファンタジックに描いたものです。ですから、そこで描かれる男女の姿や物語性は、基本的にそのほとんどが男性の目線が中心となって構成されているように思います。
工藤洋先生が描かれる成年漫画も、一見するとそうした男性的な欲望に忠実に描かれているように見えます。
 


 
こんな感じで、工藤先生が描かれる女の娘は、一言で言ってとてつもなく可愛いわけです。
最高に可愛らしいルックスで、おっぱいも大きく、そしてセックスに関しては献身的で、処女性もある。男性読者の「こんな女の娘いたらいいな」を形にしたような、魅力的な工藤漫画のヒロインたち。そして、そんな娘が、ある日突然自分のトコロに転がり込んできたら…という設定の元にシナリオは展開されていきます。
 
一見すると、男性にとっては「棚ボタ」的で、読者にとっても、漫画に出てくる男性キャラクターにとっても、ひたすら「オイシイ」展開が続きます。勿論、エロ漫画なんですから、それでいいわけです。だって、ファンタジーなんですもの。おっぱい最高じゃないですか! 巨乳最高じゃないですか! 可愛い女の娘とエッチなことができれば言うことないじゃないですか! …勿論、それでも、エロ漫画としては十分成立をするわけですが、工藤先生の漫画には、そこに更にユニークな試みが加えられているように思います。
 
というのも、男性的な欲望に極めて忠実な物語のそのほとんどで、その実、女の娘がかなり力強く描かれているのです。工藤漫画のヒロインたちは、パワフルに活き活きと描かれており、性に対して明るく、オープンで、どこまでも貪欲です。そして、時にはその飽くなき性への好奇心とパワーの前に、男性が屈してしまう描写すら出てきます。
 


 
「おっぱい」に対するフェティッシュな欲望に加えて、力強さやたくましさを加味されたようなヒロイン陣には、男性のエロに対するファンタジックなリビドーを、その大きな胸で受け止めた上で、更に相手を振り回してしまうような力強さが存在します。
男性のストレートな性的欲望に答えながらも、一方で女性の力強さを描くことができる、とてもおもしろい漫画家さんだと私は思うんですよね。
 
 

■作品内における、嘘や虚飾のない男女の姿

元々、オフビートなシナリオ展開の中で、女性の逞しさみたいなものを描くのが抜群に巧い漫画さんだなぁと思っていたのですが、その傾向はこの2冊目の単行本「パイ×ズリ」の中で、更に特化された印象を受けました。
 

 
 
複数の女子生徒によって処女喪失のために身体を提供するハメになってしまった男性主人公の悲劇(喜劇?)を描く「今夜、地球の片隅で」。棚ボタ的に可愛い女の娘をゲットしたハズが、最後は彼女たちの底なしの欲求に振り回されてしまう「真夜中の豊問者」「It's Only Love」のような短編作品。
 


 
或いは、アパートで共同生活をしている人間不信の女性たちに、主人公が与える性の快楽と肉体の結びつきによって治癒を施していく連作「ふぞろいと初恋」といった本作の収録作品には、この漫画家さんが描く男女の姿と、セックスのあり方が端的に現れているように感じられます。
 
その中で描かれる、男性の欲望や女性の逞しさには、虚飾を排した、嘘の無い姿が描かれているように思います。そして、そこには、漫画の中で男女の性愛を描くことについての、ある種の誠実さのようなものが私には感じられるのです。
 


 
例えば、漫画の中でヒロインたちに振り回される男性主人公たちの姿は、ちょっぴり情けなくてダメダメですが、本音で女の娘たちと交わっていく姿には、誰しもが共感を覚えると思います。ストレートに戸惑ったり、翻弄されたり、どこか醒めた様子だったりといった主人公たちの性格と態度も、やはりそこには嘘はない。
そんな主人公たちが、ヒロインと出会った上で生まれる、どこかコミカルで不思議な男女の化学反応。それも、工藤作品の大きな魅力であるように私は思います。
 
 

■まとめ



 
最高に可愛くて、おっぱいが大きくて、しかもエッチな工藤漫画のヒロインたち。
私たち男性読者の欲望にストレートに答えてくれる彼女たちの姿は、実はそういった欲望を手玉に取り、逆に相手を振り回してしまうようなパワーとエネルギーに満ちています。
エロ漫画の世界で、そういった女の娘の姿と、女の娘たちに振り回されながらも虚飾や嘘のない姿をさらけ出して、本気で彼女たちと交わる主人公たちを描く、工藤先生の漫画が私は大好きです。
 
工藤先生の新作「パイ×クラ」。そして、処女単行本である「SURVIVAL GIRL」。この二冊を、エロ漫画好きの方に、そして巨乳好きの皆さんには、心の底からお勧めをしたいと思います。
 
パイ×クラ (MUJIN COMICS)

パイ×クラ (MUJIN COMICS)

Survival girl (MUJIN COMICS)

Survival girl (MUJIN COMICS)

 
 

■おまけ

今単行本でも、おっぱいに対するこだわりの描写の数々は、益々パワーアップしているわけですが、その中でも特におっぱい好きの自分のツボに入ったのがコレ。
 


 
胸の谷間で思いっきり深呼吸。
揉む、吸う、挟むとかに加えて、匂いを嗅ぐっていう、おっぱいに対する徹底したこだわりですよね。この辺りの嗜好は、ホント分かりますね、おっぱい好きとして。
 


 
「今夜、地球の片隅で」に登場するヒロインの名前が、泉家、吉田、井上で、それぞれフォークソングのアーティストから名前をとっているのかな〜とか。ちなみに、主人公の名前は「町屋町郎」で、これはINU町田町蔵(現:町田康)からの引用? 劇中で、サザンの歌を口ずさんでいたりとチョイチョイ音楽ネタが出てきたりとか、キャラクターが着ている服装が凝ってる辺りとか、この方が持ってらっしゃるこういうポップ・フィーリングみたいなものも、自分は好きなんですよね〜。
 
 
 
<関連URL>
■工藤洋『パイ×クラ』(ヘドバンしながらエロ漫画!)
「ヘドバンしながらエロ漫画!」さんによる「パイ×クラ」レビュー。コチラをご覧いただければ購入の際の参考になると思います。

コンビニ誌のラブコメ的なお気楽さと抜き重視作品としての快楽肯定感を整理整頓されたコンストラクションの中で上手く融合させ、決して粗雑さではなく快楽と幸福への明るい欲望の率直さでグイグイと押しまくる展開が心地よい作品群と言えるでしょう。

とかっていう言い回しはやっぱ素敵だな〜と。あと、「にゃんこい!」の可奈ちゃんの爆乳は最高です!
 
<関連エントリ>
■強くて、たくましくて、おっぱいが大きな女の子 − 工藤洋「SURVIVAL GIRL」
■エロ漫画家さんが描くギャグ漫画は何故おもしろいのか?