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2012/1/12

[][]「輪廻のラグランジェ」を見て、バックドロップについて学んでみよう!

 

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輪廻のラグランジェの第一話を見ての感想で、エントリを更新。そのタイトル通り、視聴者にとっての物語の入り口、プロローグとなる第一話「ようこそ、鴨川へ!」を見ただけでも、本作で主人公に抜擢をされた石原夏織さんの予想以上の好演っぷりに、日産のデザイン協力によるスタイリッシュなロボットニューウェーヴの匂いを感じさせるセンス抜群のBGM…と、語りどころが色々と。

 

ストレートにそれらのアニメ的な要素についての感想エントリを書いてみるのも良いんですが、やはり、拙BLOGとしては、劇中のプロレス描写にこそ注目をして、アレやコレやと語ってみたい。そんなこんなで、第一話のラストで描かれた、バックドロップについて。

 

 

■「輪廻のラグランジェ」のバックドロップ

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「ようこそ、鴨川へ!」の最後の最後、ハイライトのシーンにレイアウトをされていたのが、主人公である京野まどかの搭乗機、ウォクス・アウラによるド派手な必殺のバックドロップ。しかも、投げた相手をそのまま固めるバックドロップ・ホールド

 

ドーン 登場 リング 上がる はーい ラリアット マット 沈める カウント 1 2 3 まるっ! すかさずレフリーのふり ゴンゴンゴンなるゴングの音…と、思わず、私の好きなエレクトロヒップホップ・ユニット、group_inou「THERAPY」歌い出しのパンチラインに、まどかの決め台詞「まるっ!」をクロスオーヴァーさせて表記したくなるグル―ヴと"プロレス"のダイナミックさに溢れたシークエンス

 

<group_inou / THERAPY>

D

 

バックドロップとは、相手の背後に回り、脇下から顔を出した状態から両手で胴をクラッチし、背筋力を活かして後方に仰け反りつつ、相手をリングに叩きつける投げ技であり、プロレスの華とも言える必殺技。そんなストロング・スタイルのイズムに満ちた大技を細身の「ラグランジェ」のロボットが、しかも可愛い女の娘が乗った状態から繰り出すというだけでも意外性があって十分におもしろいんですが、ビジュアルとしての美しさ、プロレス技としての完成度もここでは評価をしたい。

 

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相手の胴体を掴み、十分な"タメ"を作ってから一気に相手を抱え上げ、マットに沈めた後は美しいブリッジの形をキープし、そのままフォール。カウント、1、2、3、まるっ! で、文句なしの3カウント、フォール勝ち。コレ、後楽園ホールだったら、満員の観客席は大歓声ですよ。

もう、このフォームの美しさですよね。投げた時に、相手が横に逸れることなく真っ直ぐに弧を描き、そして、ブリッジの体勢を美しく保たれている。もしも、これが崩れてしまったら一撃必殺の技としての威力も説得力も半減。

 

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<Noah所属のプロレスラー、森嶋猛による必殺のバックドロップ>

 

日本では、全日本プロレスの"怪物"ジャンボ鶴田に始まり、新日本プロレス永田裕志馬場亡き後の武藤敬司による新体制となったムトー全日本を牽引する若きエース諏訪魔Noahが誇る超重量級ファイター"箱舟の怪物"森嶋猛といったバックドロップの使い手がいますが、それらに勝るとも劣らない見事な「輪廻のラグランジェ」のバックドロップ。この美しさには、惚れ惚れとします。

 

 

■バックドロップについて

ところで、こうした「ラグランジェ」にまつわるプロレス関連の感想をtwitterで投稿していたところ、「ジャーマン・スープレックスとバックドロップの区別がつかない」というリプライをもらいました。なので、ちょっとバックドロップについてのレクチャーを。

 

プロレスを知らない方にはデティールが伝わりづらい部分ではあるんですが、プロレスを代表するジャーマン・スープレックスとバックドロップは違う技。具体的には、投げる際に相手の脇下に頭を入れて背後から胴をクラッチし、後方に投げるのがバックドロップ、そして、相手の真後ろから投げるのがジャーマン・スープレックスです。バックドロップを考案したのは、プロレスの"鉄人"ルー・テーズで、ジャーマン・スープレックスを開発したのは、プロレスの"神様"カール・ゴッチ

ゴッチは、"プロレス"というストーリー、ファンタジーの世界の中で"冷酷なナチス・ドイツの生き残り"という、もう一つの架空のパーソナリティーを生きていて、そこから"ジャーマン"スープレックスという必殺技の名前が生まれた。バックドロップとジャーマンは、これ位異なるもの。

 

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<横から相手を抱え上げるのがバックドロップ、真後ろから抱えるのがジャーマン>

 

プロレス技には、それぞれにヒストリーがあり、その中でもバックドロップは、長い長い歴史を持つ伝統的な技。そんな技をアニメの中に持ち込み、そして美しく描き切ってみせた「輪廻のラグランジェ」のプロレス描写に、私は独特の美的評価と歴史のおもしろさを見出します。

 

そして、もう少しだけ、バックドロップについてのガイドを兼ねた「ラグランジェ」評を。

 

プロレスとは日々進化をしていくスポーツでありエンターテインメントであり、そして戦いの場。昨日までは一撃必殺の技だったものが、今日は打ち破られ、そして、明日には更に強力な新技が生まれてくる。元々は、一発で相手から3カウントを奪えたバックドロップ・ホールドもやがては、平凡な"繋ぎ技"となり、相手からフォールを奪うためにどんどん過激に進化をしていった

 

その結果、相手を投げる角度はどんどん急角度となり、90年代の半ば頃には"垂直落下式"と呼ばれる超急角度でのバックドロップが誕生。その結果、"殺人医師"スティーブ・ウィリアムスミスター・バックドロップ="Mr.BD"の異名を取った後藤達俊らの技を受けたレスラーが極度の脳震盪状態になり、試合後に病院に搬送されるなどのアクシデントが数多く起きています。

 

中でも、後藤達俊が、馳浩をバックドロップで心肺停止状態にまで追い込んだアクシデントは伝説として語り継がれる、過激化していくプロレス界を象徴する"事件"の一つ。後藤は、この技で「相手を殺しかねないバックドロップを持つ男」として箔を付け、以降、マスコミやファンも、後藤のバックドロップを"殺人バックドロップ"呼称し、更に必殺技としての説得力を増すなど、アクシデントもエンターテインメントとして受け入れるプロレスの幅を見せつけることになるのですが、それにしたって、こうした過激化するプロレスのスタイルに警鐘を鳴らす動きは現在まで続いています。

 

そうした中で、「輪廻のラグランジェ」は基本中の基本とも言える、相手の胴をクラッチし、抱え上げ、美しく弧を描いた後に完璧な形で相手を固める、まさに基本に忠実なオールド・スクールの中のオールド・スクールとでも言うべき"バックドロップ・ホールド"を物語の第一話、そのラストに持ってきた。また、相手の受け身が素晴らしいんですよ! 技が映え、なおかつ自身のダメージも最小限に抑えられるようなバンプ(受け身)をとっている。

 

こうした攻防は、現実のプロレス界とは逆の方向を向いているものなのかもしれないけれど、だからこそ、自分のようなプロレスファンにも新鮮に映ったし、改めて、バックドロップが持つ必殺技としての説得力と、そのビジュアルの美しさを気付かせてくれたんです。

 

こういうプロレスに対する目線を持った「輪廻のラグランジェ」という作品を、私は今後も応援してきたいと思います!

 

 

■まとめ

輪廻のラグランジェ」のバックドロップが素晴らしかったという話に絡めて、プロレス技のディティールやヒストリーについてアレやコレやと。まぁ、ほとんどプロレスの話なので、「ラグランジェ」で検索を掛けてきたプロレス嫌いな方には申し訳ない感じになっちゃたんですが、こういうシークエンスの一つ一つについて、ミッチリ語ってみるのも良いのではないでしょうか?

 

ちなみに、今回のエントリは、「まごプログレッシブ:Part2〜Scenes From A Memory〜」の管理人であるSIZさんに、BLOG挑発された話を振っていただいたのをきっかけに書かせていただきました。SIZさん、ありがとうございました。書いてる本人が一番、楽しかったです(笑)。

 

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というわけで、次回は従姉妹さんが、まどかに掛けていたコブラツイストについて熱く語ってみたいと思います!(もう、いいよ!!)

 

 

 

<関連エントリ>

■「バカとテストと卍固めとドロップキックと…」 - 「バカテス」に出てきたプロレス技まとめ

■アニメ版「まよチキ!」第一話に見た現在進行形のプロレスLOVE

 

wataruwataru 2012/01/13 13:58 「ロボット同士の戦闘で、主人公がブリッジして相手を投げる」というと、
名作『機動警察パトレイバー』のイングラムVSグリフォンの
最終決戦が思い出されます。
本作『輪廻〜』では第一話での披露でしたが、『パトレイバー』では様々な因縁に
終止符を打つシーンでの使用ということで、その趣はいささか異なりますが、
「パイロットが女の子」という共通項もあり、なかなか感慨深いものがありました。

『パトレイバー』は、ロボット物としては珍しく「投技」や「重心移動」などの
話がチラホラ出てきますので、もしよろしければ、お暇なときにでも
こちらの考察もしていただければと思います。

闘栗鼠狩闘栗鼠狩 2012/01/13 15:34 カトゆー家断絶から来ました。
タイトル見て、アンタだろ、って思ったらやっぱりそうだったw
個人的にはアジャ・コングさんのバックドロップもなかなか良いと思うのだがどうか。

tunderealrovskitunderealrovski 2012/01/14 19:35 wataru様、コメントありがとうございます!
『機動警察パトレイバー』は、私も幼い頃に大好きでアニメ版を熱心に観ていました!
そうですね〜『パトレイバー』に関しても、いつか個別でエントリを書いてみたいです。
ロボの設定をリアリティー重視で描いた結果、武道的な要素も出てくるんですよね、パトレイバーって。
「重心移動」とか、『格闘技通信』の技術考察を見てるみたいで、いまでも痺れます(笑)。

tunderealrovskitunderealrovski 2012/01/14 19:37 闘栗鼠狩様、コメントありがとうございます! というか、またアンタか!
あと、最近ようやく「闘栗鼠狩」さんの読みが「とおりすがり」であることに気が付きました!(遅!!)
私は、女子プロに疎いので、アジャ・コングというと裏拳のイメージしかなかったんですが、バックドロップも凄いんですね。今度、映像を漁ってみます!

ラティーノヒートラティーノヒート 2012/01/14 23:06 バックドロップのシーンを見たときから記事を書いてくれないかと期待していましたが
書いてましたね。この記事を読んでバックドロップについて詳しくなれた気がします。

140字プロレス140字プロレス 2012/01/15 00:28 やはりラグランジェの記事書いてくれましたか!嬉しい限りです。
バックドロップと言えば、ジャンボ鶴田ですね私は。ぶっこ抜いたあとにスウっと重力が消えたかのような、刹那から超高角度真っ逆さまが私の理想のバックドロップです。果たしてそれを描くアニメは現れるのか?追い求めたい、プロレスとアニメが好きだから!

tunderealrovskitunderealrovski 2012/01/15 07:50 ラティーノヒート様、コメント感謝です!
今後も、アニメや漫画とプロレスをクロスオーヴァーさせたエントリは色々と書いていきたいと思います(笑)。
そして、そのハンドルネームを見たら、この決め台詞を言わずにはいられません…ビバ・ラ・ラッサ!

tunderealrovskitunderealrovski 2012/01/15 07:54 140字プロレス様、コメントありがとうございます!
ジャンボを超えるバックドロップの使い手は、現実のプロレス界でも未だに現れませんからね〜。是非とも、アニメの世界でも超世代軍ばりの奮闘っぷりで、あのジャンボの豪快さを超えるバックドロップを描いて欲しいと思います!
あと、「ラグランジェ」のプロレスは、まどかちゃんがコブラを受けた後に、ちゃんと腰を押えていたのもポイント高いなと思いました(笑)。

おどかみおどかみ 2012/01/26 12:36 すいません、あれはどう見てもジャーマンだと思います。
ヘソの辺りでクラッチしている手やブリッジもジャーマンのものだし。

少し気になったプロレスファン歴ウン十年の戯言です。

tunderealrovskitunderealrovski 2012/01/27 11:59 おどかみ様、コメントありがとうございます。
件のシークエンスですが、私も最初はジャーマン・スープレックスだと思いました。
ただ、観返してみるとロボの頭部が相手の"左"わきに入り、そして、身体も相手の"左側"から抱えて投げている(ロボットのデザインが非常に細身なので、ちょっと分かりづらいんですが…)んですよね。ですので、ここではバックドロップと判断をしてエントリを書かせていただきました。
軌道やブリッジの美しさは、確かにジャーマン・スープレックスのそれに近いニュアンスを受けるんですけが…
だけど、そこにはやっぱり微妙な差が、
 
例えるならば、ウラカン・ラナとフランケンシュタイナーのような…
ヘッドハンターAとヘッドハンターBのような…
バラモン・シュウとバラモン・ケイ位の微妙な差があり、そしてキッチリと書き分けられているように思います。
 
ちなみに、ヘッドハンターズはムーンサルトプレスをする方が「ヘッドハンターA」です。

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