アニメ作品で描かれる猫と人のコミュニケーション色々

 

 
♪陽のあたる〜坂道を〜 自転車で駆けのぼる〜
 
…こんにちは! つじあやのです!!(The Clashの「ロンドン・コーリング」のジャケットみたいな感じで、ウクレレを地面に叩きつけてぶっ壊しながら)
 
今更ながら、改めて猫の恩返しの主題歌「風になる」は名曲だな〜と思います。♪教えてよ人は何故〜 探し続けるの〜(それは、プロレスラー鈴木みのるのテーマ曲「風になれ」!)
 
<鈴木みのるテーマ曲 / 風になれ>

 
風になっれ〜!
 
…いつもの如く、書き出しからアニメの話をしたいのかプロレスの話をしたいのかよく分からなくなりました。こんな仕上がりですが、アニメが好きです。どのくらい好きかというと川田利明くらい好きです。お願いですから、アニメの話をさせてください!
 
猫の恩返し」好きです。どのくらい好きかというと、鈴木みのるくらい好きです。ジブリのアニメ映画の中で一番好きかもしれません。
 
そして、「猫の恩返し」が好きなので、猫と人間の交流を描いたアニメ作品も好きだったりします。で、そういったアニメを観ていると猫と人のコミュニケーションの描き方、会話の描き方も色々なパターンがあることに気が付きました。そんなこんなで、今回のエントリではアニメにおけると猫と人の繋がりについてアレやコレやと書いてみたいと思います!
 
 

■「猫の恩返し」の吉岡ハルの場合


 

ルーン: 「大変、危ないところを助けていただき、誠にありがとうございました。お怪我はございませんでしたか?」
 
ハル: 「え? あ…あの…」
 
ルーン: 「失礼とは思いますが、今は急いでおります故、お礼はまた改めて」
 
ハル: 「と…とんでもない…」

 
猫の恩返し」では、序盤で猫が人間の言葉を喋るシーンが描かれます。この後、主人公のハルは猫の世界に行くことになり、そこで徐々に猫化をしながら冒険を繰り広げることになるんですが、その始まりは猫が人間にアプローチをし、慇懃な態度でコミュニケーションをとってくるところからスタートしています。
 
猫が人語を解し、そして話す。動物が人間の言葉を話し、本来ならば言語では意思の疎通を取れない者同士が会話によって繋がる。非常に"ファンタジー"を感じる光景であり、「猫の恩返し」で言えば、ハルが暮らす日常と猫達が暮らす非日常が繋がる瞬間として、"喋る猫"という存在が物凄く物語の中で上手く機能をしているなぁ、と思います。
 
こういう喋る猫の存在っていうのは、私の世代だと、やっぱりセーラームーンであり、ちょっと懐かし目のみかん絵日記といった作品。最近だと、「スィートプリキュア」のハミィやセイレーンも、こうした"喋る猫"の系譜にいるキャラクターであり、ファンタジーとしての"王道"を感じる設定、キャラ描写ですよね。
 
 

■「GJ部」の綺羅々・バーンシュタインの場合


 

猫: 「にゃーにゃー」
 
綺羅々: 「にゃ?」
 
猫: 「にゃにゃん にゃーん にゃーん にゃーん」
 
綺羅々: 「にゃーにゃーにゃにゃ にゃーん」

キョロ: 「何、話してたんですか?」
 
綺羅々: 「今日も、異常、なし。報告」
 
キョロ: 「綺羅々は日本語より、猫語の方が得意なんですね」

 
"喋る猫"とは真逆で、アニメでは猫の言葉を話す人間のキャラクターも多数登場をします。
 
例えば、GJ部では猫と喋れる女の娘、綺羅々が登場をしますが、この娘は猫と話す時に猫語を喋ります。猫と人間。お互いに「ニャーニャー」と鳴き声で会話をする。この場合は、先ほどの「猫の恩返し」とは反対に、人間が猫の言語文化に言葉を合わせているわけですね。
 
綺羅々は、引用した台詞でも表現をされている通り、人に対しては無口で喋るのが不得意な女の娘。話す日本語も、やや拙い。そんな娘が、猫が相手では雄弁になるというギャップがここではおもしろいわけですが、そんなコメディ感覚と同時に「猫の言葉を喋れる不思議な人」というキャラクター性も強調されている。これは、なかなかに上手い設定だな、なんて思わされます。
 
 

■「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」の春日部耀の場合


 

猫: 「ニャーン」
 
耀: 「これが空から落ちてきたの?」
 
猫: 「ニャン!」

 
せっかくなので、「GJ部」と同じく1月から放送をスタートしたアニメ問題児たちが異世界から来るそうですよ?も、ここでは猫と人のコミュニケーションの描き方が特徴的な作品として紹介をしてみたい。
 
動物と心を通わせることができる少女、春日部耀が登場する「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」から、第一話冒頭で耀が猫と会話をするシーンをピックアップ。耀は猫に対して人間の言葉で問い掛け、猫は耀に鳴き声で返答。お互いに喋る言葉や音は違えど、意思の疎通ができている。
 
耀の動物と喋れるという能力は、劇中でギフトと呼ばれる超能力による賜物なわけですが、もはや日本語や鳴き声といった共通言語を使わずともコミュニケーションが取れるというのは、確かに人知を超えた超常の力を強く感じる描写ではあります。
 
こうやってザックリと見ていくだけでも、猫と人の繋がり方は色々。猫が人間の言葉を喋る場合。反対に、人間が猫の言葉を喋る場合。或いは、人間の言葉と鳴き声でコミュニケーションを取る場合。そして、最後は言葉や鳴き声といった"音"すら使わず、猫と話す作品を。
  
 

■「にゃんこい!」の高坂潤平の場合


 

タマ: (どうするんでさぁ?)
 
ノワール: (どうするのよ?)
 
ニャムサス: (どうするつもりだい?)
 
潤平: 分かった、分かった。何とかしてやっか。
 
ミッチー: (ニャ! じゃ、じゃあ…! ありがとうございます! 潤平さん!! ミッチー嬉しいです〜!)
 
潤平: くっつくな!

 
呪いで猫の手助けをしないと猫になってしまう呪いを受けた高校生、高坂潤平くんが主人公のラブコメ作品にゃんこい!」。呪いのせいで、潤平くんは猫の言葉が聞こえるようになってしまいますが、このアニメの中でおもしろいのが、猫の言葉が潤平くんにだけ聞こえる"声"として、ノローグで描写をされていること。いわばテレパシーみたいな描き方なんですよね。ちなみに、潤平くんが猫に話し掛ける時は、声に出して日本語で話さなければならないようです。
 
潤平くんの猫の言葉を理解できる能力も、やはり、一種の超能力と言えるでしょう。しかも、どうやら、相手の声を聞くことはできても、コチラからは口から音を出して言葉にしないと相手とはコミュニケーションが取れないらしい…ということが分かる全くもって不完全な超能力。受信はできても発信はできないという一方通行のテレパシー。モノローグに対してダイアローグで交わされる猫と人間の会話。このやや不公平気味なコミュニケーションがもたらすバランス感覚のお陰で、猫のお願いごとに振り回される主人公という物語の軸と高坂潤平というキャラクターも、より躍動感が増してくる。
 
このユニークな猫との会話を観るだけでも、「にゃんこい!」は、アニメにおける猫と人のコミュニケーション描写を考える上で、必須の作品。自分が本作の大ファンだからという贔屓目を抜きにしても、やっぱり愛猫家の皆さんにはオススメをしたくなるアニメですね。
 
 

■番外編「スケッチブック〜full color's〜」の猫達の場合


 
猫と人のコミュニケーション色々。番外編として、この作品も推しておきたい。「スケッチブック〜full color's〜」には、沢山の猫達が登場をしますが、この子達は人間の言葉を話すことはできないんですが、その代わりに何と字が書ける
 
アニメで描かれる猫と人のコミュニケーション。その形や方法論は本当に様々です。