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2013/12/23

[]「のんのんびより」の"上手く"て"旨い"食事シーン

 

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大好きなアニメのんのんびよりに関して、忘備録を兼ねてのメモ書き的な簡易エントリでBLOGを更新。「のんのんびより」を観ていて、ふと気になったのが食事シーンの多さ。このアニメにおける食事シーンについて、ちょっとアレやコレやと考えてみたいと思います。

 

 

■「のんのんびより」の食事シーンについて

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のんのんびより」は食事のシーンが非常に多いアニメだ。学校給食に駄菓子やかき氷、駅スタンドのキツネうどん、晩御飯のカレーライスに皆で作ったケーキ…と実に多種多様、バラエティー豊かな食べ物が次々に画面に登場し、一話に一度は食事のシーンが描かれている。決して贅沢ではないし、洗練もされていないものの、素朴でなおかつ温かみのある「のんのんびより」に登場をする食べ物の数々…は、この作品においてかなり特徴的なトピックの一つであると言えるだろう。

 

食べ物の登場数、食事シーンの多さに比例して、主人公である少女達の食欲も旺盛だ。中でも、ほたるんと食べ物の関係性はなかなかにおもしろい。個性豊かな友人たちに囲まれ、ツッコミ役に回ることの多いほたるんだけど、食べ物が絡むと非常にコミカルな一面を見せてくれる

 

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例えば、れんちょんと二人でウサギ小屋に閉じ込められるシーンでは、「母親の作ってくれた晩御飯のシチューが食べられない」と猛烈に取り乱していたし、大好きなコマちゃんがくれた飴や越谷家特製のおにぎりに対しては、コマちゃんへの愛情も相まって普段のキャラが崩壊することも厭わず凄まじい執着心を見せてくれた。

 

心身共に、大人びているほたるんだけど、食べ物絡みのシークエンスでは、年相応の少女性を見せたりと、この辺りのキャラクター描写はなかなかに秀逸。"食事"という人間の生活に決して欠かせない行為を作劇、キャラクター造型に活かす上手さが如実に現れたシークエンスの数々だ。

 

 

■食事で描き出す季節性とロケーション

そんなキャラクター性を"立てる"ことに加えて、「のんのんびより」では食事のシーンや食べ物の描写が幾つかの特別なニュアンスを作中に加えることに大きく貢献をしているように思う。

 

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先ず一つが季節性。「のんのんびより」は少女たちが田舎の町で過ごす一年間をゆっくりと追い掛けた作品だが、その季節感を表すのに食べ物が上手く作中で使われている。夏休み回の冒頭でれんちょん達が食べていた学級菜園の西瓜や秋の干し柿作り、大晦日の年越しソバ、真冬にカマクラの中で食べる豚汁…なんかは、まさにその時々、四季折々の抒情と季節感を感じさせてくれる食べ物のチョイスと言えるだろう。こうした食べ物が画面に数多く登場することで、観る側に作中での季節の移ろいを強く意識させてくれる。

 

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そして、もう一つが"田舎"という舞台のロケーション性。都会では味わえない食べ物や特徴的な味付け、調理法によって作られた料理が、この作品の"田舎"というちょっと特殊なロケーションを更に強調する。例えば、採れたての山菜をふんだんに使った給食に田舎のオヤツの定番であるブルーベリー、或るいはミニトマト(これまた田舎の定番の風景である野菜の無人販売所で購入)の入ったお味噌汁などなど。第一話で、ほたるんが食べた給食のデザートの桜餅なんかも、こうしたロケーション性の高い食べ物の一つだと言えるだろう。都会っ子のほたるんのカルチャーショックと戸惑いを吹き飛ばし、彼女をのんのんとした日々に迎え入れてくれるきっかけとなった桜餅…そう考えてみると、「のんのんびより」というアニメは、食べ物の描写によってそのスタートを切った作品でもある。とにかく、食べ物の扱い方が上手いのだ。

 

 

■食べ物で描くキャラクターの心情や関係性

このように、食べ物、食事シーンを季節性やロケーションの強調、基盤として劇中に用いるのが抜群にテクニカルな「のんのんびより」だけど、食べ物を使って暗喩を行ったり、キャラクター同士の関係性を描くのも非常に巧みである。

 

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例えば、れんちょんの一夏の出会いと別れを描いた第4話「夏休みがはじまった」では、冒頭の西瓜に塩をかける描写に、後にれんちょんに訪れる別れのセンチメンタル…でも、それはしょっぱいが故に人生の素晴らしさを更に引き立ててくれること…を暗示させている。このシークエンスなんかは、食べ物を作劇に用いる手法として、特に印象的な演出術だな、と本当に感心をさせられる。

 

また、食卓を囲んだり、食事を共にすることで、キャラクター同士の親密さを描くのも上手い。主人公であるれんちょん達、仲良し四人組はよく一緒に食事をするし、家族の描写でも頻繁に食べ物が画面に登場をする。そんな中でも、幼き日のれんちょんが面倒を見てくれた駄菓子屋にボーロ菓子をプレゼントする…シーンは、特にハートフルで心に響いたシーンの一つだ。

 

 

■まとめ

季節感、舞台のロケーション、キャラクター同士の繋がり…と、「のんのんびより」に登場をする食べ物には、様々な意匠が託されているように思う。また、素朴な料理の数々が本作のイメージングにも大きな影響を与えていることにも注目をしておきたい。

 

圧倒的に美しい背景、可愛らしいキャラクターに加えて、食べ物の描写や食事シーン一つ取ってみても、そこには様々な演出的な意図が込められているように感じられる。そして、どの料理も凄く美味しそうに描かれているし、それらを口にする少女達の幸せそうな表情も良い。

 

のんのんびより」の食事シーンは、"上手い"し"美味い"。アニメの食事シーンを考える上で、非常に意義のある作品だと思う。

 

米 2013/12/23 14:08 面白く読ませていただきました。塩の暗示に関してはなるほど目からうろこでした。うがった観方になるかもしれませんが、そうなると新幹線ごっこでれんげが販売した「全部青い汁」はひかげの青さ・若さの暗示なのかもしれませんね。

tunderealrovskitunderealrovski 2013/12/25 11:23 >米様

コメントありがとうございます! そして、拙BLOGで楽しんでいただけたようで何よりです!

夏休み回での社内販売のシーン…その解釈はおもしろいですね〜。ひか姉が、都会風を吹かそうとして背伸びをして失敗をするあのシーンは、あのエピソードでの一番の笑いどころでしたよね!

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