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2013/5/18

[][]「波打際のむろみさん」中野英明演出回に観る"つながった世界"

 

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やはり、"語りたくなる欲"みたいなものをビシバシと刺激してくれる中野英明さんによる演出術。波打際のむろみさん第6話「竜宮城とむろみさん」は第5話の「ツインマウンテンとむろみさん」に続く中野英明演出回。今回は、中野さんが手掛ける「むろみさん」に関するアレやコレやでエントリを簡易更新!

 

 

■雷雨に怯える犬の名前を見てみれば…

出崎統イズム溢れるエフェクトと各種演出、毎回恒例の板垣パロなど、今回も中野英明さんの色が物語を彩った「波打際のむろみさん」第6話。そんなエピソードの中で、私がちょっと注目をしておきたいのが、この場面。

 

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リュウグウノツカイを釣り上げたたっくん。途端に起こる天変地異。猛烈な雷雨の中で怯える犬のネームプレートを見てみれば、そこに書かれた犬の名前は「ボッスン」。詳しくは分かりませんが、この犬の名前は恐らく中野さんもスタッフとして製作をされていたアニメSKET DANCEの主人公であるボッスンから取っているのではないかな、と。

 

SKET DANCE」といえば、「波打際のむろみさん」の監督である吉原達矢さんやキャラデザ貞方希久子さんも参加をしていたアニメ作品。「むろみさん」では海洋生物のモブキャラとして頻繁にクレジットをされている矢部雅史声優として出演をされており、更には製作元も同じタツノコプロ…と、「波打際のむろみさん」というアニメ作品に非常にストレートに繋がるアニメ作品です。

 

これが、監督である吉原さんのアイデアなのか、中野さんの演出術による意匠なのかは定かではありませんが、「SKET DANCE」ファンとしては何とも嬉しくなる遊び心に満ちたシークエンス

 

 

■次々にリンクをしていく中野英明演出回!

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波打際のむろみさん」の劇中にそっと忍ばせた「SKET DANCE」へのリンク。思えば、中野さんは、自身が手掛けた「SKET DANCE」の演出回でも、他作品へのリンクを劇中にレイアウトしていた。中野英明コンテ、演出回の「SKET DANCE」第74話「フードファイターお宅訪問!」。このエピソードの中では、吉原さんや中野さんがスタッフとしてクレジットをされていたにゃんこい!で自身の演出回である第4話「美しい人」と同じ構図、同設定が散りばめられていたんです。

 

■「SKET DANCE」の「にゃんこい!」感と、川口敬一郎監督作品のクロスオーヴァー感

 

中野英明という演出家を中心に華麗に繋がる「にゃんこい!」「SKET DANCE」「波打際のむろみさん」という華麗なライン。製作スタッフのクレジットやハイテンションなコメディーアニメという作風といった共通点の他にも、ファンならば思わずニヤリとしてしまう絶妙なフックが何とも心憎い。他にも、「にゃんこい!」や「SKET DANCE」には、同じく中野さんが参加をされていた「咲」や「夏目友人帳」の登場人物にソックリなキャラクターが登場をしたりもしていました。個人的な各作品に対する思い入れも込みで、こういう演出は本当に嬉しいもの。これからも、中野さんには各作品を次々に繋げていって欲しい。こういう作り手さんのユーモアと愛が溢れた演出は、いつだって大歓迎ですよね。

 

 

 

<関連エントリ>

■「波打際のむろみさん」中野英明さん演出回 - 脳は揺れても刃牙パロは揺るがない!

 

<関連URL>

■中野英明ムチおとこ伝説〜波打際のむろみさん6話(失われた何か)

 

2013/5/11

[][]「波打際のむろみさん」中野英明さん演出回 - 脳は揺れても刃牙パロは揺るがない!

 

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波打際のむろみさん第5話「ツインマウンテンとむろみさん」。監督、吉原達也さん、制作はタツノコプロシリーズ構成ふでやすかずゆきさん、キャラデザには貞方希久子さんというSKET DANCEをクリエイトしたスタッフ、スタジオが勢揃いをした本作で、遂に登場をした中野英明さん演出回。

 

SKET DANCE」でもキレにキレまくった傑作コメディ回を手掛けた中野英明さんですが、今回の「むろみさん」でもその演出術は遺憾なく発揮をされていました。今回のエントリでは、この「波打際のむろみさん」中野演出回についてアレやコレやと書いてみたいと思います! キャオラ!!

 

 

■「波打際のむろみさん」でも飛び出す板垣パロ

中野演出回といえば、画面分割に止め絵、激しい入射光…等を駆使した出崎オマージュな演出術を多用することでお馴染みですが、それと併せてこの演出家さんのクリエイティビティーの大きな特徴となっているのが、板垣恵介先生の漫画をパロディーにしたシークエンスの数々

 

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勿論、「波打際のむろみさん」でも中野さんの板垣先生へのリスペクト、愛は止まらない。エンドクレジットが流れる中、富士さんに詰め寄られるたっくんの脳は揺れに揺れる。この時のたっくんの脳の揺れ方たるや、列海王に顎部への六連撃を食らったピクルの如し。未曾有の震盪、恐らくは数千回ッッ。

 

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<板垣恵介「範馬刃牙」第12巻 (秋田書店) P.160>

 

肉体へのダメージだけでなく、臓器へのダメージを重視した格闘理論から頭部への打撃…からの脳震盪のシーンを幾度となく描いてきた板垣漫画。特に刃牙シリーズでは、脳震盪によって戦況が大きく変わる戦いも数多くあった。中野さんの板垣作品へのイメージの中でも、この脳が揺れるシーンというのは"板垣的なもの"として定番になっているのでしょう。「SKET DANCE」の自身の演出回でも脳が揺れるシーンを繰り返し挿入をしていました。

 

 

■中野英明演出回では脳は揺れ続ける!

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過剰なまでの出崎演出やゲスト声優として登場をした古谷徹さんのツッコミの冴えっぷりが大きなインパクトを残した第9話「円太やります!」やタガの外れまくったギャグと板垣パロが暴走をする「フードファイターお宅訪問!」…中野さんが演出を手掛けた「SKET DANCE」では、必ずキャラクターの脳が揺れるシーンが描かれていました。

 

この中野さんの板垣先生への愛。そして、脳へのこだわり。中野さんの頭部をCTスキャンで撮ったなら、脳の皺が鬼の形になっているのではないかと思う程の"刃牙脳"っぷりには感服。勿論、「SKET DANCE」の後に繋がる「波打際のむろみさん」でも、シッカリと脳を揺らし、板垣的な格闘技観を15分間のコメディアニメに忍ばせてきた。この圧倒的な熱量! 中野さん…アチィねえ。冷房は動いているねえ(東京ドームに勤務をしている清掃員さんの表情で)。ちっはーる! ちっはーる! …違った! なっかーの! なっかーの!

 

中野英明演出回…脳は揺れても、刃牙パロは決して揺るがない。この中野さんの板垣作品への愛を一体どうやって表現すれば良いのでしょうか? 私は悩み続けている……この世には…………言葉が少なすぎる。あまりにも少なすぎる。『愛する』という言葉以上の愛する表現が存在しない。

 

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<第6巻 P.16>

 

と、思わずビスケット・オリバの名台詞を引用したくなる程の中野さんの板垣作品への愛。"オマージュ"という表現の一つの理想形が、ここにある気がしますよね。本当に良いものを観せていただきました。「波打際のむろみさん」のファンとして、また、イチ「刃牙」ファンとして、中野さん…貴方のその板垣愛(イタガキラブ)に…

 

 

 

 

 

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<第12巻 P.153>

 

謝々ッッ(ありがとう)

 

 

■まとめ

波打際のむろみさん」でもやっぱり登場をした中野さんの板垣パロ。「SKET DANCE」や「にゃんこい!」の中野演出回で毎回ゲラゲラ笑わせてもらっていた人間としては、子宮から出てきたばかりの範馬勇次郎助産婦に「俺を取り上げろ!!!」と猛烈に主張したが如く、ピックアップをしろと言われた気がしたのでエントリにさせていただきました。…が、実は板垣漫画も出崎演出もタツノコプロに関しても、本当にコアに好きな人に比べたら全然アマチュアな自分。多分、中野さんの演出術と板垣ネタに関しても、まだまだ知識と認識が追い付いていない部分があると思います。詳しい人だったら、もっともっとディープに語れるんでしょうね、この辺は…。

 

そんな人たちが、今回の「波打際のむろみさん」中野演出回について、BLOGtwitterで言及をした時…俺は勝てるのか!? この廊下を戻る時…俺は…歩いて…歩いて帰れるのか!?(妄想の中で巨大な蟷螂と戦いを繰り広げながら)

 

<餓鬼レンジャー / ラップ・グラップラー餓鬼>

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<関連エントリ>

■「SKET DANCE」の「にゃんこい!」感と、川口敬一郎監督作品のクロスオーヴァー感

 

<関連URL>

■2012年テレビシリーズアニメ話数単位10選と虎王(subculic)

■波打際のむろみさん3話で押さえておきたい3つの面白いポイント(失われた何か)

■今期は画面分割アニメが熱い!それと「戦う山伏」ことRDG (まっつねのアニメとか作画とか)

 

2013/4/8

[][][]「波打際のむろみさん」主題歌「七つの海よりキミの海」を読み解く

 

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いよいよ、放送が始まりましたね! テレビアニメ波打際のむろみさん!!

 

本作は個人的に物凄く思い入れがある作品でして、テレビ放映の前から一人で盛り上がっていたんですが、そんな膨らみまくった期待にもシッカリと応えてくれるおもしろさ!

このアニメについて色々と語りたいことはあるんですが、今回のエントリでは一先ず主題歌の「七つの海よりキミの海」についてアレやコレやと書いてみたいと思います!

 

 

■超強烈なアニメソング「七つの海よりキミの海」

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アニメに先駆けて、イベントなどで公開をされていた「七つの海よりキミの海」。「波打際のむろみさん」の主題歌であり、「むろみさん」に声優として参加もされている上坂すみれさんのデビュー曲でもあるこの曲ですが、販売フォーマットのインフォメーション等は早くから公開をされていたものの、どういうわけだか作曲者と作詞者のクレジットはなかなか表に出てきませんでした。

 

上坂すみれさんが大ファンであるという戸川純さんを意識したであろう打ち込みのメロディーに、スカっぽい裏打ちのツービート、そして一転してサビ前のBメロではデスメタルのようなヘヴィーなギターリフが轟き…というポップでキュートでありながらも、どこか"毒"のようなものを感じさせるアヴァン・ポップなこのナンバー。

 

"アイドル声優"さんのデビュー曲だと高を括っていては怪我をする。初聴した時のインパクトたるや、例えるならばDEVOやXTC…それこそ戸川純率いるヤプーズのような、ポップながらもアヴァンギャルドに捻くれたテクノポップバンドによる名曲の数々を聴いた時の衝撃に匹敵しました。カラフルでありながらも鋭い感性を併せ持ったアニメソング。その歌詞の如く、大変だ、大変だ、もう一回言うぞ、大変だ! と言いたくなるほどの超個性派な楽曲ですよね。

 

どなたがクリエイトをされた楽曲なのか、ずっと気になって仕方がなかったのですが、作曲に神前暁さん、作詞に畑亜貴さんのお名前をOPで確認し、激しく納得。このお二方といえば、「もってけ!セーラーふく」や「涼宮ハルヒの憂鬱」挿入歌の「恋のミクル伝説」などを手掛けた黄金タッグですからね、そりゃ、斬新かつインパクト大な楽曲ができあがるというものです。

 

 

■楽曲に溢れる神前さん"らしさ"

畑亜貴さんのペンによるリリックもそうなんですが、クリエイターさんの名前を知ったところで、"グッ"と曲の輪郭とサウンドの特徴もハッキリとしてきます。作曲者が神前さん…というのを意識して聴いてみると、この「七つの海よりキミの海」も神前イズム溢れる楽曲だな、などとウンウンと首肯をしたくなる。

 

アニメやゲームの世界で、様々な楽曲をクリエイトをされている神前さんですが、その音楽性の特徴の一つになっているのが金管楽器の存在。神前さんは、元はといえばトランペッター。この「七つの海よりキミの海」でも、ラッパ吹きらしいトランペットのファンファーレが楽曲を上手くデコレートしている。その高揚感を更に盛り上げるスカパンク的なビートに関しても、「WORKING!!」OP曲の「SOMEONE ELSE」やアイドルマスターの楽曲群…といったアニメ、ゲーム音楽の世界にアジャストをさせた優れたスカコアナンバーを作り上げてきた神前さんらしい楽曲構成だな、と思うんです。

 

 

■楽曲に溢れる上坂すみれさん"らしさ"

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勿論、そんな神前サウンドに合わせて、歌い手である上坂すみれさんの個性も本作からは強く感じられます。ソ連、ゴスロリ…といった強烈なトピックの数々が先ずは目を引く上坂さんですが、ファンならばその豊かな音楽的語彙の数々にも注目をしておきたいところ。

で、「七つの海よりキミの海」が創られる時に、そういった上坂さんのキャラクターというのもメロディーにも大きく寄与をしていたのだと思うんです。

 

先日、「むろみさん」の舞台である福岡市で行われたイベントで、司会者であるキングレコードのスタッフさんが仰られていたのですが、この曲は上坂さんが愛して止まないバンド、ミュージシャンのエッセンスを盛り込んだ楽曲だそうなんです。その時に、司会者さんの口から出ていた具体的なバンド名が戸川純のゲルニカ筋肉少女帯

テクノポップ感溢れる打ち込みの音とアヴァンな構成はゲルニカ。メタリックなギターのルーツは、橘高文彦さんがバンド内での存在感を増し、急激にメタル濃度が上昇し始めた頃の…「月光蟲」をリリースした辺りの筋少といったところでしょうか?

 

イベントの動画なんかで、あの曲のフルレングスを聴いた方ならご存知でしょうが、後半では上坂さんの愛するソ連民謡のメロディーも顔を出してくる。要は、上坂さんの大好きなもの全部入りなんですよね、あの曲って。作り手さんの音楽的センスと上坂さんのキャラクター、そして自身が愛するものに対する情熱が奇跡的なバランスでミクスチャーをされた楽曲「七つの海よりキミの海」。今月末のCDリリースが今から楽しみな曲です。

 

 

 

<関連エントリ>

■「もってけ!セーラーふく」は、最高のミクスチャーロックだった

 

<関連URL>

■上坂すみれ、“乙女*ムジカ”初ゲストに大槻ケンヂが登場(BARKS)