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2017/1/29

[][]観れば、秋葉原に行きたくなるアニメ! 『AKIBA'S TRIP』のカルチャーな魅力


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ウレぴあ総研』様で連載をさせていただいているアニソンレビュー企画の第2回が更新されました。


■【連載】特撮ソング界のレジェンドとコラボした『AKIBA´S TRIP』OPテーマ「一件落着ゴ用心/イヤホンズ」絶大なインパクトの発生源に迫る


今回は、『AKIBA'S TRIP -THE ANIMATION-』オープニング主題歌の『一件落着ゴ用心』を取り上げています。イヤホンズ(と特別ゲストの串田アキラさん)が歌うこの曲。上記の記事でも言及をさせていただいた通り、作曲は横山克さん、作詞は只野菜摘さんという名コンビによる楽曲です。


イヤホンズ / 一件落着ゴ用心>


実は、このお二方、「ももいろクローバー(Z)」の『Chai Maxx』や『Dの純情』といった楽曲を手掛けたコンビでもあります。それを踏まえて、この曲を聴いてみると、成る程、音のニュアンスとしては正統派声優アイドルソング(例えば、スフィアなど)よりも、J-POPアイドル……それも、「ももいろクローバーZ」や「でんぱ組.inc」のような良い意味でハチャメチャでミクスチャーロック的な感覚を有したナンバーを持ち味とするアイドルグループの楽曲に近しいニュアンスを感じました。


所謂「ライブアイドル」に関わっているクリエイターとも製作者が重なることも多いアニソン、声ソンの世界。その相互間の距離の近さを考える上でも、『一件落着ゴ用心』は、非常におもしろい楽曲だと思います。


そもそもイヤホンズというユニット自体が、他の声優アイドルユニットとは、また方向性の異なる活動やサウンドが魅力となっていて、今後も目が離せないなぁと思うのです。


……というのが、冒頭に挙げたレビューの追記。ここからは、そんな『一件落着ゴ用心』がオープニングを飾る『AKIBA'S TRIP -THE ANIMATION-』の魅力についてアレやコレやと書かせていただきます!



■個人的に、今期の注目作『AKIBA'S TRIP』!

『AKIBA'S TRIP -THE ANIMATION-』は、今期のアニメ作品の中でも、特に楽しんで観ている一本。


未見の方に内容を簡単に解説させていただくと、本作は、古来から街を守護する善と悪の勢力(劇中では「バグリモノ」と呼称されています)が存在している世界観の中で、主人公とヒロインが悪の組織と秋葉原で戦いを繰り広げる……という比較的オーソドックスかつオールドスクールな「善対悪」のバトルストーリーが基盤となっている作品です。


ただし、衣服を剥ぎ取って素っ裸にすることで相手を消滅させる(或いは、バグリモノに意識を乗っ取られていた人間を元に戻すことができる)という、一風……否、かなり奇抜な敵の倒し方が採用されています。


この「脱衣バトル」という要素が、時にギャグに、時にお色気描写となって作品の独自性を際立たせる……そんなユニークな描写がポイントとなっているアニメなのです。


戦闘シーンの抜けの良さに比例するように、キャラクターデザインもポップで、色彩もカラフル。作中の各シークエンスも全体的にハイテンションな作りで、変に難しいことを考えなくてもシンプルに楽しむことができる、そういう作品だと思います。



■雑多なカルチャーを内包する"アキバ"描写の上手さ

とにかく全体的にポップな『AKIBA'S TRIP -THE ANIMATION-』ですが、その高いテンションに加えて、作品の魅力に繋がっているのが秋葉原の描き方です。


劇中では、実在の秋葉原の街並みが再現され、実在の店舗が数多く登場します。それだけでも見応えがあるのですが、更に、おもしろいのが各エピソードで様々な「アキバカルチャー」が取り上げられ、物語のメインモチーフになっている点です。


主人公とヒロインの邂逅を描き、作品の導入部となる第1話では、特撮ヒーローフィギュアコスプレが、続く第2話では、エアガンなどのミリオタ文化圏のアイテムが重要なモチーフとして登場。


第3話ではオーディオと所謂「ライブアイドル地下アイドル)」、更に、アダルトビデオというカルチャーをテーマに話が展開。第4話では、電波兵器を武器に秋葉原を支配しようとする敵を打破する為に、アマチュア無線が大活躍をします。


フィギュアコスプレ、ミリタリー、オーディオアイドル、AV、アマチュア無線……実に様々なアキバカルチャーが各エピソード毎に描かれ、それを基にストーリーが進んでいく。まさに、秋葉原という街の奥深さ、おもしろさがドラマの中心になっているのです。



■"アキバカルチャー"の猥雑さこそ、本作の魅力!

アキバ」がブームになった際に、マスメディアの取り上げ方がアニメ文化(と、メイド文化)に偏りがちだったことに加えて、2000年代以降に急激にアニメショップが増加した為、現在では、どうしても「二次元の街」といったイメージが強い秋葉原ではありますが、そもそもは、電気街であり、そこから雑多な趣味や文化が入り交じる街だったハズです。


アニメやゲーム、漫画は言わずもがな、AVやエロ本、アダルトグッズなどの生々しい三次元のエロがあり、ライブアイドルがいて、ミリタリーショップが立ち並び、高級オーディオの専門店があって、門外漢には用途不明の無線の機器が店頭で売られている。


そういった様々な文化を各話毎に切り取り、ポップなストーリーに絡めて描いてみせる、これが『AKIBA'S TRIP -THE ANIMATION-』のおもしろいポイントだと思うのです。


自分みたいな秋葉原に対して余りディープな知識を持たない(ちなみに、自分が一番アキバに出入りしていた頃は、アキバに対して「エロゲーの街」というイメージがありました)人間でもこれだけおもしろいのですから、ディープにアキバに入り浸っている方なら、もっともっと深い部分で楽しむ、或いは、共感できる作品なのではないかな、と。



■そんなこんなで、アイドルファンにオススメしたい本作!

そういう風に考えてみると、『AKIBA'S TRIP -THE ANIMATION-』は、非常に間口の広い作品という言い方ができるかもしれません。まさに、アキバに集うあらゆるファン、マニア層に観ていただきたい作品なのです。


中でも、自分がオススメをしたいのがアイドルファンアイドルファンにこそ、本作は観ていただきたい! ……というのが、冒頭の『一件落着ゴ用心』のレビューにも繋がるのですが、本作でメインキャラクターを演じているイヤホンズによる楽曲が本当に素晴らしいのです。


イヤホンズ / サンキトウセン!>


こちらも、イヤホンズの新曲。本作では、各話毎にエンディングが変化するというギミックが仕掛けられているのですが、イヤホンズは自身の名義と、更に、彼女たちが演じる劇中アイドルグループ「まにあ〜ず」という二つの名義で、この曲を歌い分けています。


こちらも曲の進行毎にラップに演歌……とメロディがドラマティックかつダイナミックに変化する楽曲。やはり、今時のJ-POPアイドルの楽曲におけるミクスチャー的な音作りとの近似性を感じさせます。アイドルファンが聴いても楽しめる、アイドルファンにこそ聴いていただきたいアニソンです。


思えば、アイドルユニットのメンバーが揃って主演を務めているという点でも、「アイドル映画」「アイドルドラマ」の王道を突き進んでいますし、本作もまた昨今、人気を集めている「アイドルアニメ」としてカウントしてみるのもアリじゃないかと思うんですね。



■おまけ

本作の主人公、伝木凱(でんきがい)タモツくん。「直ぐに興味が移り変わる」「しかし、一度、興味を持ったものには徹底的に向かい合う情熱の持ち主」「あらゆるオタク知識に対して、一定以上のリテラシーを持つ博識っぷり」「散財の豪快さ」「異常な程の身体の頑丈さ」というキャラクター造形に、どこかで既視感が……と思ったのですが……。

















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多分、この人のことを思い出したんだと思います。


2017/1/26

[][]『小林さんちのメイドラゴン』小林さんちの隣に住んでいる谷菜さんが気になる


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京都アニメーションの新作アニメ小林さんちのメイドラゴン』。クール教信者先生の同名漫画をアニメ化した本作は、「京都アニメーション」と「クール教信者」という組み合わせの意外性に、放送開始前から興味を惹かれていた作品です。


実際に観てみると、所謂「人外ヒロイン」がトリックスターとして活躍するコメディとして、とてもおもしろく、毎週、楽しんでいます。


そんな『小林さんちのメイドラゴン』ですが、本作で、一瞬にして自分の心を掴んだキャラクターがいます。可愛らしいドラゴンな美少女キャラクターが魅力の本作ですが、その中でも、自分が気になって気になってしょうがない登場人物というのが……。


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谷菜さんです。


そんなこんなで、今回のエントリでは、『小林さんちのメイドラゴン』の谷菜さんについてアレやコレやと!



エクストリームな音楽性を志向する谷菜さん

谷菜(やな)さんは、第3話で小林さんたちが引っ越した先のマンションに住んでいる隣人です。その奇抜なヘアースタイルが先ずは目を引く谷菜さん。個性的なルックスに相応しく、音楽をやっているバンドマンだそうです。


しかも、その音楽性は、ゴリッゴリのヘヴィメタル。しかも、顔面を白塗りで歌う、かなりハードコアヘヴィメタルです。


遮光カーテンで室内を真っ暗にし、サタニックな装飾品なども見受けられる谷菜さんの部屋。白塗りのメイクといい、恐らく、谷菜さんがやっているのはヘヴィメタルのサブジャンルの中でも、取り分け過激なサウンドとアティチュード(精神性)で知られる「ブラックメタル」なのだと思います(もしかしたら、そこにデスメタルの要素も含んだ「ブラッケンドデスメタル」かもしれません)。


■テレビアニメに出てくるヘヴィメタルバンドは何故、白塗りなのか?


ブラックメタルに関しては、上記の拙エントリにて(極々簡単ではありますが)解説をしておりますので、ご参考にしていただければと思います。


劇中の描写を見る限り、コープス・ペイント(ブラックメタルバンドのメンバーが行う白塗りのメイク)でステージに立っているっぽい谷菜さん。そのメイクや音楽性に反して、ヘアスタイルは80年代のLAメタルやヘアメタルを思わせるド派手でカラフルなものですが、それは、まぁ、ご愛嬌というヤツでしょう。


Celtic Frost / Into The Crypts Of Rays


もしかしたら、鋼鉄音楽史(ヘヴィメタルヒストリー)の最初期に、コープスペイントを導入し、そのエクストリームな音楽性や実験性で、後続のブラックメタルバンドに多大な影響を与えるも、何故か、後期に軟派なヘアスタイルとファッションへと方向転換し、LAメタルのようなポップなサウンドにアプローチした謎のアルバム『Cold Lake』(当然、ファンから大顰蹙を買い、その後、余裕で廃盤。今に至るも再発されない迷盤中の迷盤)をリリースしたCeltic Frostをオマージュしている可能性もありますが、まぁ、シンプルに漫画やアニメヘヴィメタルを描くのに「白塗り」と「極彩色の派手な髪型」が記号として非常に分かりやすいかったんだと思います。谷菜さんのキャラデザに関しては。


<iron Maiden / Speed of Light>


登場するや否や、一瞬にしてメタルファンのハートを鷲掴みした(Iron Maidenの名曲Speed of Light』のMVに出てくるエディみたいな感じで)谷菜さんですが、更に、気になるのがその生活力と経済力についてです。



■日本でエクストリームメタルをやるのは……キツイんです!

ヘヴィメタルが文化的に根付いており、ブラックメタルデスメタルなどのメタルアルバムがヒットチャートを賑わし、国民的な人気を誇るバンドが数多くいるヨーロッパ諸国と違い、なかなかメタルが浸透し難い日本という国で、ブラックメタルのような音楽性でバンドを続ける、ましてや、商業的な成功を収めるのは、なかなかに困難な道のりです。


日本国内でのアルバムセールスやライヴの動員数と、海外での評価や人気が比例していないどころか反比例している国内のエクストリームメタルバンドも沢山います。残念ですが、過激派ヘヴィメタルはまだまだ国内で大成功を収める程の商業ベースに乗れてはいないのです(しかし、それでも優れた音楽性を持つバンドは数多くいます。繰り返しになりますが、音楽性のクオリティとセールス数が比例していない。そこがまた、国内エクストリームメタルにまつわる環境の厳しくももどかしいところなのです……)。


しかしながら、この谷菜さん、小林さんと同じマンションの同じ階に住める程の安定した経済力と確かな生活力を有しています。


小林さんといえば、「住人が増えて、部屋が手狭になったから」という理由で、「すぐに不動産屋さんに相談に行き」しかも「今、住んでいるマンションの近所で」という条件で、「3LDKのより広いマンションに引っ越しをできる」程の経済力を持つ人物です。


敷金礼金に加えて、引越し費用も掛かり、何かとお金が必要になる転居をアッサリと出来てしまうのです。SEの仕事は激務のようですが、キチンと貯蓄ができ、いきなり広いマンションに引っ越しても毎月の家賃に困らないだけのお給料はいただいているのでしょう。


というか、そもそも、トールとカンナという食い扶持がいきなり二人も増えたにも関わらず、養っていける小林さんは本当に凄いと思います。そりゃ、トールも惚れるわ……。



生活基盤がシッカリしているメタラー、谷菜さん

さて、話は谷菜さんに戻ります。先程、書いたように、ある程度の金銭的な余裕を感じさせる(少なくとも、谷菜さん初登場のアニメ版第3話までは)小林さんの生活ぶりですが、谷菜さんも、そんな小林さんと同価格帯のマンションに住める生活力を有しているのです。


もしも、小林さんと同じ間取りだとしたら、対面キッチン付きの3LDK。勿論、風呂、トイレは別です。更に、「(第2話での描写から推測するに)商店街やデパートなどが徒歩圏内にあり、買い物などの生活の便も良い旧小林さんのマンション」から然程、離れていない立地なのです。


物凄く簡単に言うと、谷菜さんは、結構に良いマンションで暮らしています。


しかしながら、過激ヘヴィメタルで財を築ける程、サウンドやアーティスト性が商業音楽シーンに受け入れられていないのが、この国の現状です(哀しい……)。谷菜さんが、バンド一本で食っているとは、ちょっと考えづらいものがあります。


となると、谷菜さんは、「安定した収入を得られる仕事があり、生活の基盤を整えつつ、エクストーリムメタルの道を極めようとしている」と考えられます。


これは、表現者として、とても潔く、物凄くカッコ良い生き方です。


そんなカッコ良いブラックメタラーの谷菜さんですが、あのヘアスタイルですから、会社勤めのサラリーマンというのは、ちょっと考えづらいところです。もしかしたら、本職は、デザイナー……とかだったりするんでしょうか?


或いは、自身のメタルスピリッツ溢れるサウンドをアイドルソングなどに落とし込み、ヒット曲を作ってしまう程の凄腕のコンポーザー作曲家)なのかもしれません。coalter of the deepersのNARASAKIさんみたいな。


ももいろクローバー / ピンキージョーンズ

(メンバーが教会に火を着けたり、神父を撲殺したりするタイプの超過激派ブラックメタルも好んで聴いているというNARASAKIさん作曲のアイドルソング。メロディは超ポップですが、このギターのラウドさとディストーションの掛け方よ……。♪チャパ! チャパ!)


……まぁ、でもコンポーザーなら、ちゃんと防音設備のあるマンションを選びそうですし、騒音で小林さんを困らせることもないでしょうから、この線は薄いかもしれません。……ヘスタイルや部屋の内装を見る限り、独特の美意識やセンスがありそうですし、デザイナーとかでしょうか、やっぱり……。


その見た目のインパクトと同様に、とにかく謎が多い谷菜さん。メタルファンとしては、恐らく、話の本筋とは全く関係ないであろう谷菜さんから全くもって目が離せません。


ブラックメタルをやってるっぽい谷菜さん、しかし、割りと良い感じのマンションに住んでいる谷菜さん、仕事は何をやっているのか分からない谷菜さん、家族とか彼女がいるのかも気になる谷菜さん(いるとしたら、金銭的にもっと凄い)、レコードデビューは果たしているかどうか、その辺の情報も欲しい谷菜さん……。


谷菜さん、ありとあらゆる意味で気になり過ぎます!


ちなみに、このエントリを筆者は、原作を未読の状態で書いています。原作のエピソードで、より詳しい谷菜さん情報が出ている場合は、その旨をご連絡、ご指摘いただけると非常に嬉しく思います。


2017/1/22

[]『亜人ちゃんは語りたい』第2話「デュラハンちゃんは甘えたい」の素晴らしさを必要以上に熱っぽく語りたい!


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2017年の冬アニメ亜人ちゃんは語りたい』の第2話「デュラハンちゃんは甘えたい」が、物凄く好みのエピソードでした!


なので、おもしろかったところをまとめておきたいな、と思ったのですが、一回、こういう感情っていうのを文語体じゃなくて、口語体で、それこそ『タマフル』のRhymester宇多丸さんの映画評のコーナーじゃないですけど、思いとパッション! それだけで、一気にガーッ! と書いたら、どんな具合になるんだろう? なんてふと思い、今回のエントリでチャレンジしてみました。


以下、かなり長目ではありますが、自分の気持ちと感想をまとめてあります。


そんなわけで、今回のエントリでは、『亜人ちゃんは語りたい』の第2話についてアレやコレやと!











あ、


自分がライターとして参加をさせていただいている『ウレぴあ総研』様で、アニソンの魅力を語る連載企画が始まりました。


■【連載】人気脚本家と作曲家が手を組んだ『亜人ちゃんは語りたい』OPテーマ『オリジナル。/TrySail』を語りたい


第1回目は、『亜人ちゃん』オープニング主題歌の『オリジナル。』をピックアップさせていただきました。本エントリと併せて、読んでいただけると大変に嬉しいです。



■『亜人ちゃんは語りたい』町さんの存在感にビビる!

本作、『亜人ちゃんは語りたい』。私、原作漫画は未読でございました。ただ、「オープニング主題歌の作詞が岡田麿里さん、作曲がクラムボンのミトさん」「キャラクターデザインが『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』の川上哲也さん」「更に、音楽が横山克さん」というね、私的にヒットするポイントが山盛りでございまして、放送前から絶対にチェックをしておこうと目星を付けておいた作品でございます。


で、いざ始まりました。一番ビックリしたのがですね、オープニング『オリジナル。』の素晴らしであるとか、横山さんの劇伴の良さ、川上さんのキャラデザの可愛さ、そういう作品を形作る各要素っていうのが、自分好みの作品だったんですけど、やっぱりね、何が一番ドカンと来たかというと、ヒロインの一人である町京子さん! この娘の存在ですね。


亜人ちゃんは語りたい』をね、観てない人の為に説明しておくと、亜人……人外ですよね、ヴァンパイアとか雪女とか、そういう"人"たちが人間と共存している世界観の中で繰り広げられる学園ドラマです。『モンスター娘のいる日常』であるとか、最近、アニメ化される作品も増えてきて、人気が出ている「人外ヒロイン」作品の系譜にあるアニメかな、と思うんですけどね。


そういう亜人ヒロインの中で、町さんというデュラハンの娘がいる、と。もう、この娘は、キャラデザの一枚絵とかYoutubeティザームービーの時点でね、首が胴体から離れているんですよ、デュラハンなんで。


それを観て、原作を知らない自分がこの娘を目にした時に思ったのが、「多分、この娘の首が落ちちゃうのが笑いになるんだろうな」と。あるじゃないですか、『究極超人あ〜る』のR・田中一郎とか、『Dr.スランプ アラレちゃん』の則巻アラレとかね。ああいう、ギャグ漫画、ギャグアニメで首が取れちゃうキャラクター。肝心なところで、首が取れて周囲が「あ〜っ!」ってなってそれがおもしろい、みたいな。


なので、町さんもそういうキャラクターなんだろうなって思って観るじゃないですか。そしたら、全然違うんですよ。そもそも、頭部が胴体に付いてることがなくて、ずっと手に持っているキャラクターなんです。だから、アレですよね、ちょっと例えが古いですけど、『マジンガーZ』のブロッケン伯爵みたいな感じです。ティム・バートン監督の『ビートル・ジュース』に出てきた幽霊夫妻の旦那の方とかね。


そういう感じなもんで、彼女を巡るドラマっていうのは……勿論、その特殊な体質故の笑いの要素もあるんですよ。こう、祖父母の家に遊びに行って、駅のホームで別れを惜しんでいたら、頭だけ新幹線に乗り遅れちゃって、身体と離れ離れになったりとかね、そういうコメディもあるんですけど、これね、町さんが主役になる第2話!



■現代を生きるデュラハンを描く想像力に驚愕!

これが本当に凄くてですね、あの、こっちはさっき言ったみたいに、『究極超人あ〜る』みたいなギャグを予想してたわけじゃないですか。そしたら、違う、全っ然、違う! この娘がね、日常生活を送る上での苦労であったりとか、それをどう乗り越えてきたかっていうのを語るシーンがあるんですね。


例えば、お風呂に入る時もね、布で作ったホックに頭を乗っけて、身体は湯船の中で「う〜ん!」みたいなね。ちょっとそういうセクシーなシーンも入れつつ、「もしも、デュラハンが現代社会にいたら、こういう風に風呂に入るんだろうな」っていうのを納得させてくれるような、そういうシークエンスがあるわけ。


更に、ビックリしたのが、町さんが食事をするシーンで、ハンバーグかな? 夕食のハンバーグか何かを食べてるんですけどね。頭を胸の辺りで、あの『時計仕掛けのオレンジ』で、主人公のアレックスが人格矯正の為に頭を固定されて、延々、戦争とか暴力の映像を見せられるシーンあるじゃないですか。あんな感じで……っていうと、ちょっとイメージがよろしくないですけど、頭が落ちないようにですね、頭部を胸の辺りでベルトみたいなもので固定して、それでハンバーグを口に運んで「う〜ん!」っていう。あの、町さん、声を演じているのが篠田みなみさんなんでね、こう「う〜ん!」みたいな台詞が物凄く似合うんですけど。


私はね、あのシーンを観て、本当にビックリしてですね! っていうのが、「そこ、首の上に頭を乗せるんじゃないのかよ!」っていうね。でも、考えてみたらね、さっき書いたみたいに、町さん、生まれた時からデュラハンです。なんで、ずっと自分の頭を抱えて生きてきてます、と。そう考えると、彼女にとっては日常生活で何をするんでも目線であるとか、距離感であるとかは、その位置が極々自然なんだろうっていう、これも凄い納得がいくというか、あの、「よく、そこに想像力がいったな〜」っていう驚き!


「そうだよね、彼女にとっては、逆に首の上に頭があるっていうのは不自然なことなんだよね」っていうさ〜。もう、何だ、アレ!? 原作者さんもアニメ版のスタッフさんも、皆、作った人たちに対して、「凄いな!」っていう。


寝る時もね、身体は普通に布団に入って寝るんですけど、頭は犬小屋みたいな、ちょっと小さい……けど、ちゃんと屋根がある家の中に入れて寝るっていうね、そういうシーンがあって。「あぁ、夜中に起きた時に寝ぼけて、自分の頭を踏まない為の対策なんだろうな」みたいな、ちょっと想像力を巡らせてみたら、一個一個の描写に整合性があるという、そういう秀逸なシークエンスが色々とあるんですよ。


しかも、第2話、これらのシークエンスが出てくるのは、もう序盤も序盤でごいます。でね〜こっからが更に凄かった!



■「デュラハンあるある」のイマジネーションにリスペクト!

中盤から、町さんが高橋先生……この人は、亜人のことを色々と調べている高校の男性教師なんですけどね、この人が町さんの身の上話みたいなのを色々と聞くのが第2話の序盤の展開。亜人に対面で話を聞いていくっていうね、ちょっと「明るく楽しい『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』」な感じで。伝わりますかね? 何か、そういう絵を想像して欲しいんですけど。


そこから、高橋先生とね、疑似デートに出掛けるって流れになるんですよ。「将来的に、彼氏ができてデートに出掛けた時に、どういう困難が想定されるか?」っていうのをフィールドワークで調べようという名目で、高橋先生が町さんの頭を持って……もう、絵が物凄いことになってるんですけど、「じゃあ、二人でデートだ!」っつって。それで、町さんの身体はお家でお留守番するんですよ。


そしたら、出掛けた時に頭を自分で持ってるんじゃないから、他人に持ってもらっているから、どうしても揺れちゃって、ちょっと酔って気持ち悪くなっちゃったり、それ見て「あ、そういや三半規管って耳の奥にあるんだよな」とか、人間の身体の作りを再確認できたり。


あと、同性に残った身体の部分をセクハラされたりとか、頭がね、無いから、見えないから、それを良いことに乳首当てゲームをされたりとか、トイレに行きたくなって困ったりとか、そういう「ちょいエロ」みたいなものを挟みつつの凄い秀逸な「デュラハンあるある」が続くわけ。


まぁ、「デュラハンあるある」ってキーワード、私、これから一生使うことないと思うんですけどね。何だよ、「デュラハンあるある」って。でも、これもさっきの食事のシーンとか就寝のシーンみたいに、「デュラハンがホントにいたら、こういうトラブルあるんだろうな」って納得できるシーンが続くんです。


逆にいうと、当たり前ですけど、デュラハンなんてこの世にはいないわけで、ここも「よく、そんなの思い付くな……」っていう製作者サイドのイマジネーションに対して、もうね、超リスペクトですよ、私は!



悪人がいない世界観に、心を震わせる……!

それから、ここが私の感動クライマックスなシーンなんですけどね、あのね、悪人がいないんですよ。悪意が全然、画面の中に入ってこない!


ここが凄く良いなと思ったところで、高橋先生が町さんの頭を持って街中を歩いていても、誰も変な目で見たりとか、そういうのがないわけ。「お前ら、どんだけデュラハンに対して、リテラシーが高いんだよ!」って思うくらい、周囲が二人のことを自然に受け入れてるわけですよ。


普通、男の人が女の生首持ってたら、とんでもない大騒動になるわけじゃないですか。完全に、猟奇殺人犯か、そういうパフォーマンスの人なのかな? っていう。「前衛とか現代美術の人がマネキン持ってパフォーマンスやってるのかな?」って、どっちかでしょ? 多分、リアクションとしては。でもね、劇中では周りの人がノーリアクションなんですよ、良い意味で。


一方で、これはコメディのシーンなんですけど、お留守番していた町さんの身体を見てね、町さんのお友達でひかりちゃんっていう……あ、この娘はヴァンパイア亜人です。ひかりちゃんの妹さんが、家に帰って来たら首のない胴体が家の中を歩いているから「ひぃっ!」っていう。「まぁ、そりゃそうだろうな」っていうリアクションをするわけです。


だから、チグハグっていえばチグハグなんですよね。街中にいる人々……まぁ、アニメっぽく「モブ」って表現しましょうか。モブたちは、町さんの頭部と一緒に歩いている高橋先生を見ても全然違和感を抱かないんだけど、妹さんは、首から上がない胴体を見てビビるっていう。「これ、ちょっとデュラハンに対する周囲のリテラシーとか、認知度みたいなものの基準が分からないなー」とも思うわけ。


そこが、さっき書いた「デュラハンあるある」みたいな描写における真の迫り方、フィクションではあるんだけど、凄く想像力がフルに働いていて真に迫ってるな〜っていう感心の仕方とはニュアンスが大きく異る部分で。


でも、それが全然嫌じゃなくて、「何か、リアルじゃないなー。何か、キャラクターに感情移入できないなー」みたいな、そういうフィクションに対するネガティヴな感情には全然、繋がらなくて。凄く思ったのが、「あ〜優しい、凄く温かい世界だな〜」っていう、そういう思いをですね、抱いたわけです、私は。



■"悪意"の無さに感動を覚えた第2話!

このエピソードは、高橋先生とかひかりちゃんとか、町さんの周囲にいる人たちの優しさを描いた話なんですね。それは、全編を観ていただければ分かるわけですけど。つか、是非とも観ていただきんですけど。


だから、極端な話をすると、そこでね、あの〜これ、ストーリーの紡ぎ方として、凄く陳腐な表現ではありますけど、まぁ、その疑似デートのシーンでですね、周囲の人たちが町さんに対して悪意のある目線であるとか、アクションを起こしてくる、で、それらから高橋先生が町さんを守る、或いは、そういう悪意で傷付いた町さんの心を癒やしてあげる、そういうドラマツルギーもありなわけじゃないですか。そうすると、まぁ、守った側のキャラクターの善性みたいたものが非常に分かりやすく強調されるわけなので。


でも、そういうのをやらない、描かない。フレームに入れないっていうね。それが、凄く良いなと思った。そういう……まぁ、そういう「他を落として、メインの登場人物を上げる」みたいなね、そういうのはストーリーなりキャラクターなりを描写する上で、メジャーな方法論ではありますし、そういうことをやってても、おもしろい物語、魅力的なキャラクターって一杯ありますしね。


でも、『亜人ちゃんは語りたい』では、それをやらずにね、ああいう温かい、優しい物語を描くっていうね。それがね……もう、非常に良かった! 本当に良かったなと思って。


これね、ホントにこのエピソードについては、もう褒めたい部分、一杯あるんですけど。各キャラクターの魅力みたいなものと一緒にね、いや、でも、やっぱり一言で言ったら本当に良かった!


あと、町さんのキャラクターっていうのが、やっぱり、アニメーションで観ると、また凄くおもしろい、非常に動かし甲斐のある存在だと思うんですよ。例えば、目線であるとかね、身体の動かし方とかね。あのデートの前にね、鏡の前で着ていく服を悩むシーンとかあるんですけど、そのシーンとかもおもしろくて、これも「あ〜よくこんなの思い付くな〜」って。


色んなおもしろいアニメありますけど、2017年の冬アニメ! 『亜人ちゃんは語りたい』の第2話は、今のところ断トツでおもしろく、色々な人にオススメしたい挿話でございました!


……何か、今回、ちょっと実験的に、口語体ラジオっぽく作品語りをしてみたんですけど、やっぱり、アレですね、ダメですね、私は。ただただ、ダラダラ長いだけの文章になっちゃって。次回は、ちゃんとBLOGらしい文章を書きます! 多分!!