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2009-07-07

Perfume ニューアルバム「」を無職が語る

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トライアングルを聞きながらトライアングルを飲む


こんにちは、無職です。七夕の本日 7 月 7 日は朝からハローワークで用を足してきました。雇用保険受給の手続きです。ハローワークの屋内はさまざまな事情によって職を失った人で溢れており、不景気、就職難を身をもって実感できます。この無職の人たちが、もしも七夕の短冊に願い事を書いたならば「職に就けますように」「お金が空から降ってきますように」「働かなくても生きていける世の中になりますように」「世界が終わりますように」「みんな氏ねばいいのに」など切実なものになるんだろうな、と思いました。

ハローワークの帰り道、ジャスコに入っているレコード店で Perfume のニューアルバム「(トライアングル)」を発見しました。前日まで買おうかどうか悩んでおり、amazon でも予約しておらず、とりあえず現物を見ようとしたのです。浪費の許されない身の上においておよそ 3,000 円の出費は躊躇すべきところでしたが、初回限定盤がしれっと平積みで置いてあったため、「あるんじゃん」とばかりに浮かれて即決で買い求めました。来週あたりにでも雇用保険が入ると考え、つい気が大きくなったのでした。

「」の正式な発売日は 7 月 8 日と明日なのですが、いわゆる「フラゲ」ってやつで一足早く入手したことになります。そして平日の昼間からウキウキ気分で聞いております。新しいアルバムをこんなに浮かれた気持ちで聞くのは、それこそ昨年発売された同じ Perfume の「 GAME 」以来かも知れません(他を忘れてるだけかも知れません)。

またアルバムを聴くにあたって、同じジャスコで焼酎「トライアングル」(サッポロビール)を買うことにしました。720ml 瓶でアルコール度数は 20% 。「トライアングル」つながりという一点のみにおいて選択した銘柄です。お酒は基本的に何でも好きなので何でもいいのです。平日の昼間から好きな酒を飲みながら好きなミュージシャンの発売されたばかりのニューアルバムを聴こうとしゃれ込んだ無職。我ながらいいご身分だなと思います。安穏とした気分と引き換えに金と未来がどんどん失われてゆきます。

ということで酔っぱらいながら以下にアルバムの感想を一曲ごとに連ねていきます。ことさらに無職目線を強調します。嘘も混じります。最終的にはおのおのの耳と感性で聞いていただければよいだけです。


01.Take off

エレクトロな導入。カウントダウンが始まります。10 から始まり 0 で終わろうとする逆テンカウントです。おそらく無職のおまえが死ぬまであと 10 秒ということを示唆しているのでしょう。またその背後で女人の声がふわふわと舞っています。たぶん幻聴です。

02.love the world

01.からのノンストップでのあまりのつながりの良さにニヤニヤ。アルバムのよさは既発シングルがまた違った表情を見せることですね。しかし「世界を愛している/愛しなさいよ」というようなメッセージは心に余裕のない無職には空虚さをもって伝わってくるものです。愛だけでは仕事にありつけやしないのです。サビは「あきらめないで大切な少しの求人」と聞こえます。またブリッジであ〜ちゃんが歌う「喜びのなかまだこの先が見えない」という一節は今まさに Perfume のアルバムをよろこんで聴いている自分に戒めとして降りかかってきます。「一番星さがす 手が震えても」 その手の震えがぼくのようなアル中によるものでないことを祈るばかりです。

03.Dream Fighter

「最高を求めて終わりのない旅をする」というのは神求人を求めてまったく職にありつけず結果的にホームレス生活を余儀なくされかねない贅沢な求職者たるぼくらにとって耳の痛い言葉でありますね。ともかく、序盤で既発シングル 2 曲が続くのはヘビーなリスナーからすればいささか耳タコかも知れませんが、経済的困窮によってどう考えてもコストパフォーマンスが低い「 CD シングル」という形態の商品をリアルタイムで買えていない自分からしてみれば、とてもお値打ちです。「現実に打ちのめされ倒れそうになっても きっと前を見て歩くドリームファイター」。しかしこんなに勇気づけられ、かつ残酷すぎる曲の終わり方もないでしょう。ハローワークには老若男女あらゆるジャンルの人たちが集うわけですが、たいていうつむき加減で背中を曲げてその場にいるのです。もっと胸を張ればよいのにな、と他人事ながらつい思ってしまいます。もちろん現実に打ちのめされ倒れそうになったら、あまり無理しないほうがいいですよ。そこで無理しちゃうと終生報われません。

04.edge(-mix)

「誰だっていつかは死んでしまうんでしょうー」からつながっていく重たい歌詞には「love the world」カップリング曲としてのリリース段階で Perfume 側にもリスナー側にも賛否両論ありましたがとりあえず 100% 真実ですし(宗教観によって異論はあるでしょうが)、「実は死なない人もいますー」とか無責任に言っちゃうほうがよっぽど罪深いので当該歌詞も特に不自然なものではないです。ただ、曲のあり方については、いくら新たにアレンジし直されたバージョンとはいえ、わざわざアルバムで再録しちゃうのは正直どうなのかな〜? と思いました。とはいえますます重量感やトゲトゲしさが加わったようであり、また03.Dream Fighter からのつながりでもう積極的にズカズカ攻めていく姿勢が垣間見えて、このアルバムでの Perfume のイメージは「love the world」の博愛主義はどこへやら、既にガチムチマッチョな闘士です。また「」というビジュアルイメージと「edge」というフレーズは符合を見せており、アルバムにおける『タイトル曲』の地位を占めているような気もします。

05.NIGHT FLIGHT

この曲を聴いて「あ、すごいアルバムだなこれ」というか端的に「これはすごい」という評価が確定しました。エスキモー「pino」CM ソングとして大量のテレビ露出がありながら頑ななまでにシングルカットはされず、代々木ライブで見て聞いた人以外には断片しか伝わらないまま、いくつかのラジオ番組で流れ、かつ着うたダウンロードがアルバム発売直前にようやく始まるなど、このアルバムの発売まで情報や音源は小出し小出しにされてね。しかしそういった先行情報はここにすべて収斂されました。スピード感とかレトロ感とかコード感とかポップ感とかファミコン感とかギミック感とか YMO 感とか。唖然とする。言い尽くせない。「おっきいプロペラまわして くるくる空飛ぶエネルギー」あたりの歌詞の物言いはまさかの 19 世紀的レトロ航空観です。

06.Kiss and Music

ナイトフライトで夜間飛行を終えたあとに到着先のホテルでご休憩みたいな夜の音。激しい曲が連続したあとにミディアムテンポの小品を置いて中休み、というアルバムアルバムした構成でどうぞどうぞ。無職という境遇に置かれた今は人生の中休みというていでのうのうと生きてますが、すべて自分への言い訳です。甘えの構造です。歌詞は「コルクを開けて酔いに揺られて 勇気ないのね 踏み出せないの? ねえ」とか酒の勢いでベッドの上で挑発しすぎててちょっと何言ってるかわかんない。

07.Zero Gravity

重力なんか気にしないのさみたいな意気込みで歌詞もサウンドも Perfume の歌唱もすべてゆるふわ愛され系を地でいくような浮遊感に包まれております。相変わらず音はうねうねしてるのに圧倒的に耳心地がいい。シャレオツ。それでいて「頭でシンキングしてても解決しないことは山ほどあるから」「いろいろチェンジングしてても進展しないことが山ほどあるから」などとまるで書を捨てよ町へ出ようみたいなことを主題に置き、あげく「空へとジャンプするのに邪魔なのはホントに重力?」「鍵はキミの中にあるよ」などと意外と激励ソングです。がっつり突き進めよというようなドリームファイター系の押し出しパワーは今ひとつ弱いけど、ひそかに一貫した主張は胸のうちに抱えているという。無職の心意気と同じです。俺はまだ本気出してないだけ。

08.I still love U

はい来た。初回限定盤の DVD にビデオクリップがあるということであるていど力の入った楽曲だとは予測できましたが、まさにそれ。ゆっくり目テンポのベタベタなアイドル歌謡に Perfume 風味でぶ厚くコーティングした感じです。トミーフェブラリーっぽいかも知れない。出だしのあたりは一瞬ユニコーンの「メイビー・ブルー」にも空耳します。タイトルからして宇多田ヒカルっぽいバラードなんかな?って一瞬思ったりもしましたが、これはまんまと違いました。しかし「抜け出せない迷路のよう見えないドア」「どうしようもないそれはきっとあたし自身」なんて、これはそのまんま無職の歌ですね。I still love 職。そして歌詞のラストは「レスキューミー なんていえない 目を閉じて 眠りにつく」 やめて! 早まらないで!

09.The best thing

「The best thing that i can do is to show you now.」。英語が多いですね。これくらいの英語だったらぼくにでも訳せます。「わたしが出来る最高のことは(親に職探ししてるよと)今見せつけること」。やっぱり身内を御することのは喫緊の課題ですからね。そんな愚にも付かない無職ギャグは置いておくとして、この歌詞からは歌手として Perfume が提供できるベストなことは「SHOW(ショー)を見せること」であり、決してスキャンダルめいた事柄なんかじゃないのだよ、というメッセージが受け取れたりします。これもひとつの意訳です。

10.Speed of Sound

前の曲からノンストップでつながってきます。たゆたうシンセサウンドとときたま弾けたコンガのリズムの上に、「starting」「engine」「point」…など中学生レベルの英単語がひとつひとつ無機質に次々と連なっていきます。歌詞に使えそうなフレーズのネタ帳をただ開陳してるだけのような気もします。五木ひろし「横浜たそがれ」のような曲です。

11.ワンルーム・ディスコ

通称ワンコ。前 2 曲がノンストップでつながってきただけに、ここへきてシングルカット曲ということで旧知の顔見知りに遭遇したような気になり、一気に安心するという抜群の曲順になってます。無職がこじゃれたワンルームマンションに済むのは自殺行為なので三畳一間の風呂なし共同トイレのボロアパートに住みます。

12.願い(Album-mix)

4 曲目の「edge」が「-mix」とあえて名付けられていたのに比べると「Album-mix」との名称はびっくりするほどヒネリがないです。ストリングスやピアノなどのアコースティック風味が強調されており「」っぽいエッジ感にも欠けます。しかし 7 月 7 日のこの七夕という日に初めて聞くことのできたニューアルバムのラスト曲が「願い」というのは妙な巡り合わせですね。「いちばん大事な気持ちに嘘付かないと決めた」。はたして Perfume の願いは叶うのでしょうか? ちなみにぼくの人生で最大の願いは「なるべく苦しまずに死にたい」です。


・初回盤特典 DVD

01.I still love U Special Video Clip

このビデオクリップは完全に初出しと思われますが、ほぼ全編を 3 人のバストアップ映像だけで持たせるというチャレンジなつくりになってます。しかも 2 コーラス目の途中から、少しわけわかんない感じになる。3 人が歌いながらもやたら爆笑し始めるのです。特にあ〜ちゃんが「あ、イタタタ、イタタタ」みたいなことを苦渋の表情でつぶやいてるように見える。曲が終わって画面が完全に暗転したあとで「ビックリしたー!」「めっちゃ痛いよ!」みたいにはしゃいでる 3 人の音声が残留思念のように聞こえてくるので、おそらくカメラが撮影している範囲の外側で、なにかスタッフサイドからドッキリ的な、ちょっと Perfume を痛がらせるようないたずらが仕掛けられたのでしょう。見方によってはエロスです。シンプルなつくりですが、ただでは終わらせようとしない。制作費的にはごくごく低予算だったはず。貧乏生活でも笑って暮らそうねという教訓をこのクリップからは得ました。

02.NIGHT FLIGHT (LIVE@代々木第一体育館 May 10 '09)

こうして映像を見ていると、Perfume の音楽世界を表現するのにふさわしいのは Perfume の 3 人を置いて他にない、代替可能性なんてあるわけがない、ってことが、もうよぉーくわかります。かけがえのない世界。そのひとつの到達点が「pino」の CM であり「NIGHT FLIGHT」を踊るライブ映像なのであります。現地の代々木で観ていた人たちの評判がよかったのも頷けます。振り付けはキャビンアテンダント的な職業イメージに沿った具象的なもので実にエレガント。茫漠とした抽象的なイメージを表現されるより、核となるテーマに寄りかかった表現のほうが Perfume ワークスは遥かにイキイキする気がします。あと、この 5 月の代々木の時点でのライブ音源と CD アルバム音源では楽曲的な改良点もいくつかあるようです。たとえば CD 音源のほうがだいぶ尺が長くなっています。イントロ冒頭のちょっとしたアイドリング部分や、後半部分のサビメロやら後奏やらが、どんどん足し算足し算サービスサービスで追加されてることがわかります。一分以上長くなってます。歓迎すべきことです。貧乏性だからです。

03.edge(LIVE@代々木第一体育館May 10 '09 -version)

髪を振り乱して耳を抑えるみたいな振り付けがあります。「気になる気になる気になる気になる気になる気になる気になる気になる」という歌詞とともに。なんかの病気っぽい。それでいて「誰だっていつかは死んでしまうんでしょう」ときたもんだ。ちょっと頭おかしくなりそうですよね。いい意味で。いい意味で、ですよ。

04.05.06 TV-SPOT集

「love the world」「Dream Fighter」「ワンルーム・ディスコ」という既発シングルの 15 秒テレビスポットが収録されてます。これはさすがにおまけですね。


・総評

まぁさんざん語ってきた無職云々みたいな部分については、単なるレビューじゃ物足りないからってんで奇をてらっただけのギミックなので無視してもらっていいのですが(無職は本当ですが)、とにかくとんでもない安定供給ぶりです。これを当然のものと思えてしまうのはすごく贅沢なことです。いつまでもあると思うな親と金と Perfume 。いろいろ騒がしいこともありますが、この品質を堅持しているあいだは立ち位置がガクーッと急落することもまず無いはず。ってことで「」は「 GAME 」に引き続き日本アイドル音楽史の最高峰に君臨するアルバムになりましたよっと。他のアイドル陣営がこの山並みを攻略するのは並大抵のことじゃないですが、アイドル音楽市場にますます活性化してもらうのが、ぼくの「願い」です(「なるべく苦しまずに死にたい」というのも本心です)。


トライアングル(初回限定盤)
Perfume
徳間ジャパンコミュニケーションズ (2009-07-08)
売り上げランキング: 45
おすすめ度の平均: 4.5
5 素晴らしい
5 奥が深い
4 トライアングルといえば
5 ヤバイ
5 良い

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