上戸彩が「いいとも」ゲスト出演で赤っ恥をかかされた群衆心理

15 日放送のフジ系「笑っていいとも!」水曜日に上戸彩がゲスト出演していました。

上戸彩はこの日、周囲からの過剰な持ち上げや生放送のプレッシャーに抗いきれず、やや尊大とも言える態度を自らの意志に反して“取らされてしまい”、最終的にはとんだ赤っ恥をかいていました。

上戸彩自身は謙虚で低姿勢な態度を終始かたくなに崩そうとしなかった。にも関わらず、です。

そんな擁護論を前提にここからの戦慄すべき話を進めていきます。


「世代別アンケート アラゆる答えハンティング」というコーナーが水曜日に放送されています。2 チームに分かれた出演者が、20 代から 60 代までの 100 人に取ったアンケートの結果を交互に答えていくというもの。ルールがよく練られていて今のいいともの中でも特に盛り上がる部類に入るゲームだと思っています。

タモリ不在の一週間、この日の司会はいつものタモリの代わりに千原ジュニアが担当していました。そしてこの人選が上戸彩にとっては運の尽きでした。

今回は「名前の最初に『う』のつく好きな芸能人」がテーマ。そのアンケート結果を出演者が推理して答えていくわけですが、誰の目から見てもゲストの「上戸彩」ありきの設問といえました。その回答はボード上のパネルにイラストで割り当てられています。

上戸彩が先頭の回答者として壇上にあがりました。明らかに目立っているのは「 20 代から 50 代までの『う』で始まる好きな芸能人アンケートの 1 位」を示した『虎』のパネル。ここに上戸彩の名前が入っているのではないか、という話の流れになりました。


焦点は『虎』


爆笑問題、おすぎ、ピーコ、千原ジュニア、マリエという屈強な水曜レギュラーに加えてこの日ゲストの有吉弘行という出演者陣は、「『虎』は上戸彩」という回答を本人の口からなんとか引き出そう、自分で言わせようと上戸彩をそそのかします。

しかし上戸彩は、「自分で自分が人気ある」ということに公の場で言及したくはない。


押し問答が始まりました。

千原ジュニア「さぁ、まいりましょう。えー、彩ちゃん」
上戸「『う』は、パッと浮かんだのは…もう言っちゃっていいんですか。私 20 代なんで 20 代の…」
有吉「虎いこうよもう!」
千原「虎じゃないの?」
マリエ「虎だよ」
有吉「自分を信じよう」
上戸「うーん。有吉さん行ってくださいよ」
有吉「自分を信じて」
上戸「イヤイヤイヤ! なんかこのフリすごいイヤだ」
千原「あなたね、あなた『 CM 番長』ですよ」(※直前に有吉が上戸につけたあだ名)
上戸「もうイヤ、どうしましょう…」
おすぎ「そのために呼ばれたんだから」
太田「そうだよ」
田中「まぁ、これ(上戸のくだり)はもう、やっといて…」
千原「これでもし違ったら、ここのスタッフ『イタい』ですよ」
田中「だからこのあと、このあとが本題よ」
上戸「えっと、じゃあ……ほんとに?」
千原「大丈夫ですよ! 大丈夫ですよ!」
上戸「自分でなんか『好きな』とか、なんかイヤじゃないですか」
千原「大丈夫ですよ!」
太田「大丈夫!」
千原「アナタね、アナタのこと嫌いな人いないですよ」
上戸「やだー、ほんとそういう、そういう持ち上げ方やめてください」
太田「本当にそう(上戸が 1 位)ですよ」

上戸彩本人はもっと控え目にいきたいようですが、周囲がそれを許さない。

ここまでのやりとりで上戸彩が自ら「『虎』(人気 1 位)は上戸彩」と回答するための土壌が整いました。共演者陣からの説得が重なって、次第に心理的に追い込まれていくようでもあります。

説得する人ひとりひとりがそれぞれ「本人の口から自慢げなことを言わせたい」というちょっとしたイタズラ心を抱えているように思えますが、それもすべて「上戸彩が 1 位」という円満な結果にスムーズに落着することを期待してのことです。


しかし目論見通りにはいきませんでした。

上戸「じゃあ、あの、さっさと『虎』で、……いやーやっぱやめときます」
有吉「大丈夫大丈夫!」
千原「大丈夫やって!」
上戸「そっち(のチーム)から行こう! そっちから」
ピーコ「かわいい」
おすぎ「かわいい」
アルタの客「かわいい!」
太田「かわいいけどちょっとめんどくさい!」
千原「そんなことない!」
上戸「もう行ってくださいマリエちゃん行って!」
千原「大丈夫大丈夫。じゃあ『虎』で」
上戸「(観念したように)『虎』で…」
太田「『上戸』?」
千原「『あ』?」
上戸「…『や』?」
太田「よく自分で( 1 位だと)言いましたね!」
上戸「(帽子を脱いで深々と謝る)」


千原「虎で『上戸彩』、オープン!」


はずれ


アルタ騒然―。上戸彩の自ら回答した順位は、誰もがそうであると思い込んでいた「ほぼ全世代で 1 位」の『虎』ではなく、「 20 代で 2 位、40 代 50 代で 3 位」の『パンダ』という結果でした。たしかに損保ジャパンの CM で上戸彩はパンダの扮装をしていますがそういう問題ではありません。

「自分が思い上がっていた程でもなかった」という惨たらしい結果が出たのです。

これは上戸彩にとってはいたたまれないような赤っ恥です。いくらそそのかされた上での回答とはいえ、さすがにウエッティかわいそう。出演者も困惑気味でした。


ひとつ気になったのは、「千原ジュニアは答えを知っていたのか?」ということです。

千原ジュニアは手元に冊子状のカンペを持ちながら進行しており、いつでもクイズの答えを知ることのできる立場にあるようです。いやがる上戸彩を強引にそそのかしたのは 「おまえの人気はこんなもんや」と知らしめるためにワザとやった事なのでは? という疑問が頭をよぎりました。芸能界の厳しさを教えたる、みたいな。

ただそうなると、実際に上戸彩の結果が出たあとに上戸彩に対して土下座までしてお詫びをしたことの意味がわからなくなってきます。「こんな結果になるとは思わずそそのかしてゴメン!」の土下座なわけです。ワザとやったようには到底思われない。またそんな意地悪をしたところで誰も得しません。


ためしに録画したものをじっくり見返してみました。するど、千原ジュニアが一度も手元の見開きカンペに目を通していないことがわかりました。少なくとも画面に映っている限りでは「千原ジュニア上戸彩に関する答えを知らなかった」のです。どうやらワザとではなさそうです。

千原ジュニアが言っていたように「スタッフが『イタい』」で丸く収まるのかも知れません。

20 代から 50 代までの「う」で始まる好きな芸能人アンケートの 1 位は『宇多田ヒカル』でした。ゲストの上戸彩にまったく気を遣わない「いいとも」スタッフのガチっぷり。これがはたして「イタい」と言えるのかどうか。


どうも出演者たちがテレビ的な「ゲストを立ててしかるべき」なお約束をこぞって盲信していたのが、この失敗を招いた原因のように思われます。

生放送で時間がない中、ひとつの方向にむかって強い確信を帯びた意見がドッと押し流されてゆく。多くの年長者からのプレッシャーは、揺るぎなかったはずの上戸彩の「謙虚さ」という守るべき砦さえも強行突破してしまう。

群衆心理のおそろしさを垣間見たような気がしました。


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