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2006-03-15 久々に書いてみる

[] ボーダフォンソフトバンクの行方(1)

英ボーダフォン、日本法人をソフトバンクに売却へ--株式譲渡交渉を認める - CNET Japan

英国に本社を置くVodafone Groupは3月4日、日本法人であるボーダフォン株式会社の株式の過半数をソフトバンクに売却することで協議していることを認めた。これまでも一部で報道がなされてきたが、Vodafoneが正式に認めるのは今回が初めて。

ボーダフォンの狙いは、欧州GSMへの資源集中に尽きるだろう。欧州の3Gもあまりうまく進まない状況で、ここ数年は日米の「非GSM商売」に対する株主からの風当たりが強かった。いい相手に売って、欧州GSMに専念する、といういにしえの戦略への回帰と考えるのが妥当だろう。あるいはこれを機に欧州3Gへの投資も絞るかもしれない。

一方のソフトバンクが、携帯電話事業への参入を急いでいたのは周知の事実。すでに総務省から新規割り当ての周波数をもらっていたが、設備投資の重さを考えれば、売りに出ているならそれを買った方が参入しやすい。とはいえ日本で買えるキャリアは3つだけ。そうしたら、買うべきところは自ずと決まるから、あとは条件交渉のみ。

ここで確認すべきことは3つ。買い方、当面のオペレーション、そして戦略(つまり本当の狙い)。

まず「買い方」は、すでに報じられている通り、LBOになるだろう。なにしろボーダフォンが保有する資源(設備、運用技術、ベンダとの関係、顧客)がそのままキャッシュを生み出すのだから、それは十分レバレッジになる。すでに飽和市場であること、新規参入が困難であることなども、LBOにはうってつけである。

次に「当面のオペレーション」だが、これは「買い方」すなわちLBOに制約を受ける。LBOは平たくいえば、買収先の将来の儲けを担保に借金して企業を買うことである。すなわち、相応の売上や利益がないと、借金を返せない。それはキャッシュフロー構造に手をつけられないことを意味する。従って、既存の資源に依存する限り、そう大きく変わったことはできない。

これに関して、Yahoo!BBとの激安プランでFMC実現、という構想を打ち出す人がbloggerには多いようだ。しかしLBOの制約があること、Yahoo!BB自体もそれほど競争優位を有していないこと、現状の双方の技術基盤やアーキテクチャでは有機的な連携が難しいこと、ソフトバンク側にそれを実現するだけのキャッシュがないことから、当初のキャンペーンを除いて、この可能性は低い。

ならば「本当の狙い」は一体何なのか。ここで「Yahoo!USやvodafone本体と連携してYahoo!のコンテンツのアウトレットとする」という報道が出ているが、しかしこれも当面は実現が相当困難である。

まずYahoo!Japanのコンテンツアグリゲーション能力は基本的に低い(だからコンシューマからのコンテンツプロバイダとしての認知は低い)。またそのコンテンツもYahoo!USのアプリケーションとは指向性が違う(あちらはもっとドメスティックである)。さらにvodafoneは3Gを諦めようとしている。これらの要因から、すぐにYahoo!Japanのアウトレットとして機能するとは思えない。

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