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2018-08-13 鈴木敏夫、高畑勲について語る このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

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最近、以下の記事話題になっていたので読んでみた。


鈴木敏夫が語る高畑勲


いや〜、これはすごい

今年4月に亡くなった高畑勲監督について、ジブリプロデューサー鈴木敏夫氏が過去のエピソードを交えながら「高畑勲と付き合うことがいかに大変だったか」を語っているのだが、どれもこれも凄まじい内容ばかりで戦慄させられること間違いなし!

高畑監督は良い作品を作るために多くの人を壊してきた」と告白し、『火垂るの墓』などで作画監督を務めたアニメーター近藤喜文氏が「高畑さんは僕を殺そうとした」と泣きながら訴えたとか、恐ろしい逸話が満載だ(なお、近藤喜文氏は高畑監督と仕事をした後、47歳の若さで亡くなっている)。

まあ、具体的な内容は実際に本文を読んでもらうとして、今回はこの記事に書かれていること以外の「高畑勲監督が行った数々の驚くべき所業」についてざっくりと書いてみたい。



鈴木氏が高畑監督と組んで作った映画は『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』『平成狸合戦ぽんぽこ』『ホーホケキョ となりの山田くん』『かぐや姫の物語』の計5本。

しかし、その全てで「監督 vs プロデューサー」の激しい戦いが繰り広げられ、1作目の『火垂るの墓』では高畑監督のこだわりが強すぎて制作が大幅に遅れ、ついに未完成のまま映画を公開する非常事態となってしまう。

2作目の『おもひでぽろぽろ』の時にはさらに遅延状態悪化し、とうとう宮崎駿が「高畑監督の方針に従って映画を作っていたら絶対に公開日まで間に合わない!今すぐやり方を変えろ!」と大激怒

高畑監督は人物リアルな動きにこだわり、極めて繊細な作画を指示していたのだが、そのやり方では「いつまで経っても終わらない」というのだ(ちなみに、宮崎監督はこの時あまりにも大声で怒鳴ったため体の震えが止まらなくなり、その後3日間眠れなかったらしい)。

3作目の『平成狸合戦ぽんぽこ』の時には、さすがに鈴木氏も「今まで通りではダメだ」と考え、本当は夏の公開なのに「春に公開します」と”嘘の予定日”を高畑監督に伝える作戦を実行(わざと締め切りを三カ月前倒しした)。

ところが「これで間に会うだろう」と思っていたら、なんと高畑監督は春の締め切りを余裕でぶっちぎり、サバを読んだはずの「夏公開」にも間に合わないという想定外事態が勃発!

これには鈴木氏も困り果て、監督と相談した結果、絵コンテから10分カットすることで作業を短縮し、何とか解決。しかし、それから数カ月間、高畑監督から毎日「鈴木さんがカットしたせいで映画がガタガタになった」と言われ続けるはめに…(鈴木氏曰く「ノイローゼになりそうだった」とのこと)。

そして4作目の『ホーホケキョ となりの山田くん』の頃になると、もはや鈴木氏も開き直り、「製作は順調に遅れています」という自虐的予告編バンバン流す有様。

さらには宣伝のキャッチコピーまで「日本の名匠、高畑勲監督の”とりあえず”の最高傑作誕生!テーマは適当(てきとー)」という、かなりふざけた感じになってしまった。

こうした宣伝方針に対して、高畑監督は一切文句を言わなかったものの、スタッフとして参加していた某ベテランアニメーターが「『もののけ姫』であれほど真面目に”生きろ”って言ってた人が、今回は”てきとー”ってどういうことですか!?」と真剣な顔で抗議に来たらしい。

そして遺作となった『かぐや姫の物語』。鈴木氏が関わった5作品の中では最も難産で、完成までなんと8年を費やし、製作費も50億円(劇場アニメとしては日本映画史上最高額)を突破するなど、多くのスタッフが苦労を強いられた超大作映画である。

例によって現場ではトラブルが続出し、あまりにも仕事がキツすぎてアニメーターから苦情が出るわ、高畑監督は脚本をなかなか書かないわ、絶望的な制作進捗表を見せられた鈴木敏夫氏は「吐き気がする」と言ってトイレに駆け込むわ、ムチャクチャな状況だったらしい(詳しい内容は下の記事をご覧ください↓)。


スタッフ号泣!高畑勲監督『かぐや姫の物語』の舞台裏が凄すぎる!


というわけで、今回の鈴木氏の告白を読んだ多くの人が衝撃を受けたらしく、「高畑勲ってこんなにひどい人だったのか」「完全にブラック企業じゃん!」などの批判殺到している模様。

しかしその一方、高畑監督が生み出したアニメーション作品における表現革新性や、後進のクリエイターたちに与えた影響の大きさは計り知れないものがある。

富野由悠季監督は「『アルプスの少女ハイジ』や『母をたずねて三千里』や『赤毛のアン』のような作品が先になければ、日本のアニメは絶対に今の形にはならなかった。僕が『機動戦士ガンダム』に辿り着けたのも高畑作品で修業したおかげ。それは認めざるを得ない」とコメント

また安彦良和も「個人的には、高畑さんの最良の仕事は『母をたずねて三千里』だと思っている。当時”TVのリミテッドアニメでもやり方次第でこんなにクオリティの高いものが出来るんだ”ということを見せつけられ、本当にショックを受けた。今でも、3カットくらい見ただけで涙が出そうになる」と告白。

他にも多くの映画監督やアニメ業界関係者からその功績を認められており、人物に対する批判と作品に対する称賛が、くっきりわかれているのが興味深い。果たして高畑勲監督の評価はどちらが正しいのだろうか?


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高畑勲監督について

yossyyossy 2018/08/14 22:46 リンク記事読みました。
高畑監督が一番常識人そうと勝手な印象を持っていましたが一番ヤバかったんですねー。
その作品は識者の評価は高いですね。
自分は面白いと思ったことはありませんが

type-rtype-r 2018/08/15 01:13 >高畑監督が一番常識人そうと勝手な印象を持っていました

実は全く逆で「高畑勲に比べると宮崎駿がまともな人間に見える」そうです(^_^)