心配は無用だった。

WBCの準決勝、日本vs韓国の試合をテレビ観戦しました。
試合は、先発の上原投手の好投もあり、日本が終始攻勢にゲームを進めていましたが、あと1本が出なかったり、日本のマズイ攻めにより、7回途中までは0−0のこう着状態が続きます。
その均衡を破ったのは、打撃不振からスタメンを外された福留でした。
代打で登場した福留の、それまでのもやもやを一気に吹き飛ばすような会心の一撃は、ライトスタンドにするどく突き刺さり、日本チームに待望の先取点「2」をもたらしました。
その後は、呪縛から解き放たれた日本の選手が、本来の力を発揮して、6−0の快勝を得ることができました。
思えば、このWBC2次リーグは、初戦の米国戦での微妙な判定による痛い敗戦で、日本はもう1敗もできない窮地に立たされました。
「もう負けられない」というプレッシャーは、相当なものであったと思いますし、普段日本のプロ野球で見慣れた選手達の普段とは違う動きを見ると、初戦を「拾う」か「落とす」かの差は、その後の展開に大きく影響すると、改めて感じました。
ただ、その「呪縛」を自ら打ち砕いた日本チームの底力と、自らとチームメートの力を信じ、最後まで王監督を中心に結束し、高いモチベーションを維持し続けたことは、WBCの決勝に進むにふさわしい立派な物であったと思いますし、日本という国を愛し、プロ野球を応援する者の一人として、誇りに思います。

ここに試合後のイチロー選手のコメントを伝える記事を引用させてもらいます。
『勝つべきチームは僕ら イチロー=訂正』(スポーツナビ)

イチロー外野手(マリナーズ)が、野球人の誇りを懸けた戦いに完勝した。試合前の練習で告げられた初の3番で3安打、2盗塁、1打点。そして、これまでの2度の苦い思いを晴らすような6−0の勝利。しかし自らも含め、日本の選手が感情をあらわにして、韓国ベンチに向けてガッツポーズをすることは一度もなかった。
 「当然でしょう。野球はケンカではない。そんな気持ちでした」。しかし、今大会における韓国選手たちの振る舞いには闘志をかき立てられていた。
 例えば2次リーグで日本に勝利した後、太極旗をマウンドに突き立てた者がいた。この日、5打席目の邪飛を捕球した三塁手は、そのボールを打者のイチローに向かって投げつけた。それ以外にも敬意を欠く行為が連続。大好きな野球が冒とくされた、と強く感じていた。
 本当の強さやプライドは、プレーそのもので表現すべき。少なくとも、イチローの固い信条は日本野球で培われたものだ。「勝つべきチームが勝たなくてはいけない。そのチームは当然、僕らだと思っていた。きょう負けることは、日本のプロ野球に大きな汚点を残すことと同じ」。
 絶対に負けられない韓国との3度目の顔合わせは、イチローにとってアスリートの尊厳を守る“聖戦”でもあった。
 そんな志に、日本代表のメンバーは完全に同調している。「本当にいい仲間ができました」。チームリーダーが、やっと満足げに笑った。(サンディエゴ共同)

実は、もし日本が勝った場合、日本チームが韓国チームがやったようなウィニング・パフォーマンスをやったらどうしよう、なんて密かに心配していました。
まあ、そんな心配はまったくの杞憂でしたね。(苦笑)
日本チームは、王監督に率いられた「誇り高き男達」であったと、改めて思いました。
次の試合も、ベスト・パフォーマンスを期待しています。
それは、キューバの選手達にも同様にです。

きっと良い試合になるでしょう。

そして、その後に「野球文化」がさらに大きく育つことを願っています。


トラックバック
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20060317/1142563601
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20060320/1142839360