『三月は深き紅の淵を』恩田陸


三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

三月に読んだのです。三月は〜ってタイトルだから。何か意味が込められているなら、その月に読めば理解しやすいかなと思って。でも三月に読もうが、八月に読もうが、十五月に読もうが、得られる感想はさほど変わらなかったと思います。小説とはたいていそういうものなんですけど。


これは『三月は深き紅の淵を』という小説をめぐるお話です。あるはずなのに、どんなに探しても見つからない、『三月は深き紅の淵を』という一冊の本の行方を突き止めようとするところから物語はスタートして、2章、3章、4章と、それぞれ語り手が変わりながら『三月は深き紅の淵を』を追いかけていきます。


本が好きな人間にとって、「謎の本の正体を追いかける」というのは、どうせたいしたことない結果が待っているんだ、と心に保険をかけてはみるものの、どこかでわくわくするじゃないですか。どんな本だろう、本当にあるのかな、ないのかな、見つかった途端がっかりするパターンかもしれないけど「おおっ!」となったらいいな、と思って読むじゃないですか。


そう思って読んでいたのですが、わたしは第3章で、読む気が失せました。なんだってこんな酷い話を書くかな。


そのまま最後まで読んだのですが、もうどうでもいいやという気持ちになっていたので、結局『三月は深き紅の淵を』はなんだったのか、よくわからないままに物語は終わってしまいました。どなたか読んだら教えてください。