第19話 みにくいアヒルの子

ざわざわ
ハジン「聞きました? また新しい練習生が入ってくるらしいですよ」
ヒョヨン「男? 女?」
ハジン「女の子らしいですわ」
ユリ「(ぐわー)あかんがな。SMから女子アイドルなんてもう何年もデビューしてへんのに、これ以上増やしてどうする気や」
ユナ「ほんまやで。ロッカーも2〜3人で共用しとるちゅうのに」
ジェシカ「まさかこのまま一生練習だけして終わる人生やないやろな」
ソヨン「ひー(ぶるぶる)。自分はどう思う?」
ステラ「んー?(ぽぴぽぴ) あ、聞いてなかったわ」
ジェシカ「またシウォンにメールか? やめときや。向こうかてデビューしたてで大事な時期なんやから」
ステラ「(ふん)シカねえがシウォン先輩にもちょっかい出してること、知ってるで。ウチに先輩奪られそうやからそうゆうことゆうんやろ」
ジェシカ「そうやなくて、男にうつつ抜かしてる場合やないゆうてるの。本気ならなお悪いわ」
ステラ「ウチのことは放っていて(ぷい) ウチ、この恋本気やからな」」
ジェシカ「うーむ…(なんてゆうたらええもんかなぁ)」
ハジン「それでその新入り、別の事務所でずっと練習してて、3人組グループでデビューすることに決まってたんですって。
  ところがその事務所があかんようになって…」
ティパニ「それでうちに? いくらよその事務所におったからって、すぐSMで通用するやろか」
ソルリ「SMのレベルは業界一ですからねー」
ハジン「それが、今回の採用の裏にはある大物の推薦があったそうなんですよ」
テヨン「誰や? テ・ジナ先生か?」
ソヨン「テ・ジナの紹介ならトロット専門の事務所に行くやろ」
テヨン「先生は韓国歌謡界の至宝やで。呼び捨てにすんな(うきー)」
ハジン「それがなんと、AYUらしいんです」
全員「えーーーーーっ!」
スヨン「は、浜崎あゆ●? それは確かに大物やけど、なんで日本人が…?」
ハジン「そこまでは知りませんが、前おった事務所が日本と関係の深いポジションにあったのでは?」
ユナ「むむむ。となると、こうゆう時期に事務所が採用したのもわかるな」
ジェシカ「そやけど問題はそいつの実力やろ? 歌もダンスも表現力もなかったらイジメ出してしまえばええんや」
ソヒョン「ウチならイジメる手間もかけへんけどな」
ヒョヨン「毒殺はやめれ(まだイジメの方が健全やわ)」
ソヨン「とにかくその娘を見てからやね」


がちゃ
トレーナー「さ、入り」
ソニ「へえ、失礼します」
全員「…!(来た!)」
トレーナー「えー、噂で聞いとると思うけど、こんな時期やが新しい練習生を紹介する」
ソニ「みなさん、あんにょん。今日からこちらでお世話になります。気軽にソニって呼んでくださいね、うきゅう」
スヨン「(なんや、えらいちっこい…)あーーーーー!
ソニ「あーーーーー!」
全員「あーーーーー!」
トレーナー「なんや、なんや。自分ら顔見知りか?」
ソニ「(さ、最悪や)」
全員「(さ、最悪や)」
ソニ「(まさかあの浜辺の奴らが稽古仲間やなんて…ん、ちゅうかあの時SMてゆうとった気も。
  わー、事務所の選択ミスったー。イ・スンギュ、一生の不覚)」
スヨン「(あん時のぶりぶりワンピース水着が、まさかウチらと同じ歌手の卵やったなんて)」
ジェシカ「(こいつ、ウチの歌に2点しかつけへんかったな。むきー、イジメてやる)」
ソヒョン「(飛んで火にいるなんとやら。こいつにはなにしても、おねえたちに怒られない気がする)にひっ」


ぱんぱんぱん
全員「ひーひー」
トレーナー「あかんあかん、なにやっとる! フォーメーションがバラバラやないか」
ジェシカ「でも、この人が…」
ユリ「この人だけ動きが遅くて揃わないんです」
ソニ「え? え? ウチ?」
ハジン「歌の練習でも結構迷惑でしたで」
ヒョヨン「AYUの紹介ゆうからどんだけ出来るんかと思うたら、(ふっ)話になりませんわ」
トレーナー「うーん。いきなりスーパーガールズと同じメニューはさすがにハードルが高かったか。判ったわ、次からしばらく年少組と練習させてみよう」
ソニ「へ、平気です! ウチやれますから」
ジェシカ「やれるやれないはお前が判断することじゃないんだよ(ドン)」
ソニ「(こけっ)あっ」
トレーナー「こらこら、仲良くしなさい(ひー、ガキといえども女は怖えなぁ。深入りしないようにしよう)」
ヒョヨン「でも先生、大丈夫です。ウチらがこの新入りさんの面倒は見ますよって」
ソニ「は?(やな予感)」
ジェシカ「そうですわ。これからは毎日遅くまで、ウチらで新入りさんに稽古をつけてあげます。なぁに、すぐにウチらのレベルに追いつきますって」
ソニ「(とほほ)やっぱりかぁ」
全員「けけけけけ」


ぱんぱんぱん
ソニ「うきゃあ、うきゃあ」
ユリ「違うってば。そこで思いっきり股を開いてしゃがむんや」
ソニ「や、やってるやんか」
ヒョヨン「開き方が全然足りん。360度開かんかい!」
ソニ「360度ぉ?」
ヒョヨン「こうやこう(ぐいー)」
ソニ「ひてててて」
ジェシカ「いちいち悲鳴をあげるんやない(バシー!)」 ← 竹刀
ソニ「ひー、ダンプ松本やぁ」
ハジン「うひゃー、さすがに迫力あるなぁ」
テヨン「(ずい)まぁまぁまぁ、姐さん方、たいがいにしときい」
ジェシカ「誰が姐さんや」
テヨン「キチンと稽古をつけるんやったら遅くまで残るのもええけど、これじゃイジメやないの。
  よその事務所でいくら基礎やっとるゆうても、新入りがいきなりSM基準のパフォーマンス出来る訳ないやんか」
スヨン「そやから特訓しとるんやないか」
テヨン「段階ゆうもんがあるやろう。とにかく今日はこのくらいにしとき。初日から気合い入れすぎたら、お互い体壊すで」
ソニ「ぜーぜー…」
ソヨン「ホンマやよ。それにこの子はスーパーガールズのメンボやないんだし」
テヨン「今のところ競合する可能性も足を引っ張る可能性もないんやし、ソルリやスジョンたちと同じように見とりゃええ思うで」
ジェシカ「…ち」
スヨン「(ひそひそ)なんやなんや、テヨンの奴、えらい新入りの肩持つやないか」
ユナ「多分自分よりちっちゃい奴が入ってきたから親近感が湧いたんちゃうの?」
ヒョヨン「ちっちゃい? どうみても同じくらいやで。ドングリの背比べや」
スヨン「自分がゆうなよ」
テヨン「ちょっと、自分、大丈夫か? 気を悪くしなや、イジメやないんやで。ああ見えても、みんな芸に対してはそれなりに真剣なんや(性格は最低やけどな)」
ソニ「テヨンさん…」
テヨン「これからなんかあったらウチにゆうんやで。(ふふふ。ウチが極秘に仕入れた情報によると、こいつは”みにくいアヒルの子”。見た目はアヒルでもその血筋は白鳥なんや。
  こいつに取り入って将来悪いことはないはず…うひゃひゃひゃ)」
ソニ「お、おおきに(うるうる)」
がちゃ
スマン「やってるー?」
全員「あ…!(直立不動)あにょんはせよ〜、せんそんにん!」
ソニ「…!(ギク)」
スマン「まぁ楽にせえ。なんや、全員自主的に補習してるて聞いてな、ちょっと覗いてみたで」
ソヨン「はぁ、補習ゆうかなんちゅうか…」
スマン「そおゆうたら、今日新入りが入ったらしいな。89年組やから自分らの世代やろ? どの子や?」
ジェシカ「えーと(もじもじ)」
ソヒョン「そこでイジメられて倒れてるおねえさんです」
ヒョヨン「あ、こいつ…」
スマン「もおイジメとるんか? ほどほどにせえよ」
ソヨン「はぁ(イジメ否定しねえのかよ)」
スマン「どれどれ、AYUが推薦したゆう顔をよく見せてみ…ん? わぁ、自分スンギュやないか?」
ソニ「えへへ(初日でばれてもうた)、お久しぶりです、叔父さん」
全員「叔父さん? ………ぴゃーーーーーー!?
ヒョヨン「あわあわあわ(マジか?)」
ジェシカ「どっひゃー(こ、これはまずい)」
テヨン「ビンゴ!(でもよお見たら、スマンのおっさん、ぜんぜん白鳥には見えへんな、へへ)」