関西ソニョシデ学園

過去に生きるK-Popのブログ

第86話 カルメン故郷に帰る(総天然色版)

◎この回はきっつい湖南弁で会話されていますが、みなさまの理解のため、この世界の標準語に翻訳しています


カランコロ〜ン
妹「いらっしゃ…わ、おねえ!」
テヨン「(抱き)ハヨン! 大きゅうなったな(どんどんブサイクになるなぁ。ホンマにウチと同じ遺伝子で出来とるんやろか?)」
妹「えへへ、もう中学生やで(くっさーい、香水かけすぎや。都会ぶったところで所詮田舎モンなんやて気付よ)」
テヨン「とりあえず荷物おろさしてえな。(どさっ)はぁ、しんど」
おかん「(ばたばた)いやー、テテちゃん、お帰りぃ。ゆうてくれたら駅まで迎え行ったのに。
  (ええとこ帰って来たわ。またお客さんから仰山サイン頼まれとったからな。この際やから3000枚ぐらいサインさせといたろ)
  …あんたぁ、大黒柱のおかえりやで!」
テヨン「は?(いつからウチが大黒柱になったんや?)」
おとん「マイドーターやないか!(ハグハグ) ミュージカルご苦労やったな。もうヒマになったんか?」
テヨン「ちょっと休みもろた。ホンマは南の島に行こ思とったけど、久しぶりに寄ってみた」
おかん「いつまでおられるの?」
テヨン「そんなに余裕ないなぁ。ひと休みしたら、帰って日本進出の準備せなあかん。ずーっと勉強や」
おとん「やっぱり噂はホンマなんか? ワシの自慢の娘が日本に行ってお愛想振りまかなあかんとは情けないのお。ご先祖に申し訳が立たん」
おかん「そうやなぁ…ハッ、まさかあんた、日本に憧れとるゆうことはないやろな?」
テヨン「憧れてはおらんけど…まぁ日本は遠い国やからな(スズキさんの話なんかしたらえらいことになりそうやな)。
  はい、これお土産。ハヨンにはBBクリーム、おかんには『冬ソナクッキー』、おとんには韓国のりな」
全員「日本人観光客か!」
妹「おにいにはなんか買うて来てる? ウチ今度手紙出すときに一緒に送ったるで」
テヨン「ほおか、助かるわ。ならこれ、はい」
妹「なに、この筒?」
テヨン「それはテンガゆうてな、学生さんの士気を高めるための道具や」
おかん「(スコーン!)こら、子供になに渡してるねん」
テヨン「いててて。そやかておにいに頼まれたんやもん」
おかん「そんなもんいらんから、今度学祭にでも行ったり。メンボ何人か集めて行ったら、それだけで英雄になれるやんか、お兄ちゃん」
テヨン「学祭はいややなぁ。何百人もの獣がこっちの脚見てハァハァゆうんやで。トラウマになるわ」
おかん「そんなんコンサートかて一緒やろ。第一ジウンがあんたにハァハァゆうわけあらへん」
テヨン「おにいがハァハァせんでも、他の大勢がハァハァゆうんや。おにいかてユナとかパニにはハァハァするに決まっとる」
妹「わかった! この筒はハァハァしたときに使う…あいたた!」
テヨン「すまんすまん、手が滑ったわ。ま、学祭の話はまたいずれ。どっちにしろ事務所通さなあかんし」
おとん「そやで、テテは疲れて帰って来とるんや、いきなりそんな話は無神経やろ。早く帰って夕飯の支度でもしなさい。今夜は宴会やで」
おかん「へえへえ。…あんた、なんか食べたいもんある?」
テヨン「そやな、久しぶりに狗鍋なんかええなぁ。ソウルじゃさすがに食いにくいから」
おかん「この辺はもう赤犬とか手に入らんで。いろいろうるさなってな」
テヨン「えー? 裏の公園とかに野良がおるやろ。ウチ捕って来たろか?」
おとん「やめえな。少女時代のテヨンが野良犬と格闘しとるなんか知れたら、明日の全羅新聞の一面飾るわ。ちょっとは自覚し」
おかん「ほな久しぶりにサマプでもしようかね。ハヨン、おばあの家まで行ってカオリフェもろて来て。先週漬けたゆうとったから、丁度ええ具合やろ」
妹「ウチ、カオリフェ嫌いや。次の日もズーッと臭いし(ぶるぶる)」
おかん「おねえのためやろ。おねえはそういう臭い物が好物なんや。
  あ、そうそう、豚の頭があったらついでにもろて来てな、それもおねえの好物やから。
  さ、ウチは色紙買いに行かんと(バタバタ)」
妹「あーあ、ウチは湖南一不幸な少女や(とぼとぼ)」

おとん「…それにしてもよお帰ったな。ワシ、自分に相談したいことがあったんや」
テヨン「なん?(やな予感が…)」
おとん「この店、おじいの代からもう50年以上や」
テヨン「そやな。創業昭和34年ゆう話やったし」
おとん「その間、西ドイツ眼鏡院からアイビス眼鏡コンタクト店に名前は変わったけど、実質はフランチャイズやった。
  そやけど自分が有名になって、店内にテヨンブース作って、段々ここは他とは違う店になって来たんや。
  全州の観光ルートにも入るっとるし、国外からの観光客もどんどん増えとる。これはチャンスやねん」
テヨン「独立して『キム・ジョング眼鏡院』にしたいゆうん?」
おとん「ワシの名前で客が来るかい。『テヨン眼鏡サロン』やがな」
テヨン「ひえーっ」
おとん「テヨンブランドのファッション眼鏡、サングラス、学生眼鏡、総てにテヨンのサインロゴ入りや。しかも値段は均一。
  いずれはコンタクトもブランド化するで。『この春のカラコン、テヨンがお勧めする流行色は』なんてな」
テヨン「そ、そやけど仕入れや加工はどうすんの? 光学系は個人じゃどうしようもないで」
おとん「今は安い中国製とかインターネット取引もある。努力次第でどうにでもなるんや。
  迷惑は掛けへん。自分がひとこと協力するゆうたらそれでええ。明日にでも銀行に資金繰りに行ってくるさかい」
テヨン「サイドビジネスはなぁ…。ジュンス(呼び捨て)のゴタゴタもあるよって、時期的に微妙やと思うけど」
おとん「あれはピザ屋が化粧品とか始めるからおかしくなるんや。眼鏡屋が眼鏡売って何が悪い?
  サイドビジネスどころか本業や。家業を手伝うても文句ゆう事務所なんか?」
テヨン「店名におのれの名前掲げといて、手伝うてるだけですゆう言い訳はきかへんで」
おとん「(くそー、頭の固い子やな)ジウンと自分が立て続けに生まれて、ワシはバンド活動を断念せにゃならんかった。
  ホンマなら今ごろイ・スンチョルも真っ青ゆう活躍をしとったはずや」
テヨン「…(うげぇ、またその話かよぉ)」
おとん「そやから自分が歌手になりたいゆうたときは嬉しかったで。ソウルで歌の勉強さすのは経済的にそら大変やったけど、
  おじいがぶつぶつゆうてもそれだけは譲らへんかった」
テヨン「(はいはい)感謝しとるで」
おとん「感謝しとるなら、ちょっとくらい恩返ししてもええやろ? 名前使わせてえな。
  ジウンが大学卒業したら、何年か修行させてこの店譲ろ思てるねん。そん時までにアジア中に何十店舗も出店しとる大チェーンにしときたいのや」
テヨン「そんな早う引退してどないするねん? ハヨンかてまだまだ手がかかるで」
おとん「いや、ちょっとな、道議員に出えへんかゆう人がおってな」
テヨン「は?」
おとん「今度の選挙結果みても、もうハンナラの時代は終わりや。世代が替わるんや。
  ワシまず道議員から知事を目指そう思てる。ゆくゆくは大統領やけどな。自分が応援に駆けつけて歌でも歌うてくれたら当選は確実や」
テヨン「(誰やへんなこと吹き込んだん?)おとはん、落ち着きなはれ。ウチらが特定の政党や候補応援できる訳ないやろ。
  おとはんに立候補なんかされたら、サイドビジネス以上にウチの立場が微妙になるやん」
おとん「事務所出て独立したらガタガタゆわれることもない。いずれソロになろ思てるん、おとはんはお見通しやで。
  それに、自分かていずれ結婚して子供産むやろ。そん時に『お前のおじいはんは大統領やで』て言いたくないか?
  そや、応援にはティパニも連れて来てな。あの子もだいぶ家泊めたり飯食わしたりしたからイヤとはゆわへんやろ。ふたりで応援のダンス踊ってぇな」
テヨン「はぁ…(やっぱ明日はシンガポールに行こ)」






カルメン故郷に帰る…1951年に製作された日本初のカラー映画(当時は総天然色映画と言っていた)。木下恵介脚本・監督。
 初のカラー映画と言うことで映画史に残る作品だが、内容はほのぼのとしたコメディ。
 東京でストリッパーをやっているカルメン高峰秀子)は、実はド田舎出身で、その名もおきん。
 そのカルメンがストリッパー仲間の朱美とともに故郷に戻ってきたことで巻き起こる騒動を、木下監督らしい人間味あふれるタッチで描いている。
    
    


※湖南弁…湖南地方は全羅南北道のこと。狭義には光州を中心とした南道の方を指すことが多いようだ。
 ひと口に全羅道と言っても、北道と南道では気質も方言も違っている気がするが、
 行ったことがないのでよくわからない。


※2010年5月末から6月初旬にかけて、少女時代のメンバーは全員数日間の休暇をもらっている。
 テヨンは6月1日にシンガポールにバカンスに行き、シンガポール空港での模様がファンによって撮影されている。
 これを観ると、本人の他に、おとん、おかん、兄、妹と家族全員で出掛けたことが判る。
 兄のジウンが若干身長があるだけで、なかなかに低身長の家系である。
    

    最後のくしゃみは、同日放送された『常勝長駆』での模様。


※テテ…家族にはそう呼ばれている、と以前テヨンが言っていた記憶が…


※カオリフェ…カオリはアカエイのことで、フェは生(刺身)。
 直訳すればアカエイの刺身だが、発酵させたものも生は生なのでこう呼ぶ。
 有名なホンオフェ(ガンギエイの生)も同じ理屈で刺身と発酵食品とがあるようだ。
 サマプは三合と書く。全羅道の名物料理で、発酵したエイの刺身・蒸した豚肉・キムチを一緒に食べる。
 この地方には他にホンオチムと言う発酵したエイの蒸し料理もあり、発酵エイはよく食べられているようである。
 食は全州にありという言葉もあるように、なんでも喰ってる印象はある。
 

※豚の頭…少女時代がよく出前を取っているのがスンデと言う豚の腸詰めのスープ。
 メンバーみんな好きだが、特にテヨンの大好物で、彼女は豚の頭までかじる、と何かのバラエティで言っていた。
 全州でもスンデはよく食べるようだ。


アイビス眼鏡コンタクト…第5話でも説明しているとおり、かつての”西ドイツ眼鏡院”は
 現在”アイビス眼鏡コンタクト”という名前に変わっている。
 実際に行った人のブログで写真を見ると、どうも場所も変わっているようだが、よくわからない。
 内装は相変らずテヨン一色なのだけど。
 実際のアイビス眼鏡には、ちゃんと店員や技師がいて、ハヨンが店番をしているわけではない。


※テヨンの父親キム・ジョング氏は、若い頃アマチュアバンドのボーカルを務めていたが、家庭の事情でプロになるのを断念した。
 そのためか、子供時代のテヨンが「歌手になりたい」と言ったところ、非常に喜んだそうである。
 が、ただの親バカではなく、ソウルのアカデミーに連れて行って歌わせ、
 「将来ものにならないようなら今はっきりそう言ってくれ。諦めさせるから」と言ったそうである。
 試験官のおっさんはテヨンの歌に感銘を受け、「お父さん、この子は歌手になるために今でも独学して学んでいる。
 どれほど家計が大変だとしてもこの子をアカデミーに通わせなさい」と返事したらしい。
 

イ・スンチョル…韓国のロックと言うかR&Bの大御所。日本でもルイという名前で活動している。
 1980年代に『少女時代』と言う曲を大ヒットさせ、2007年に少女時代がそれをカバーして再びヒットさせた。
 少女時代に年配のファンが多いのは、この楽曲による部分も大きい。
 そのような因縁から、イ・スンチョルのコンサートに少女時代が出演し、一緒に『少女時代』を歌ったこともある。

     イ・スンチョルによる『少女時代』


     20年後にグループ少女時代と