ぶら下げ

 初めてBL(Boys Love)を読んだ。『お仕事ください!』(音理雄、もえぎ文庫学習研究社)という小説で、元やくざの若頭だった印刷会社の社長と、気の弱い新入り営業マンとの恋愛話だった。印刷会社といってもオフではなく活版。有名な活版印刷所がモデルらしく、そこの若頭、じゃないや、若旦那からこの本をお借りしたのだ。もちろん若旦那はゲイではない。と思う。
 読む前は、濡れ場中心でストーリーは付け足し程度だろうと思っていたんだけど、意外と面白い話だった。でも少年漫画にありがちな「男が男に惚れる」番長ものパターンで、心にグッと訴えかけるような作品ではなかったな。濡れ場も「俺」と「僕」ではなく「俺」と「あたい」でも違和感ないような描きかただし、特別グロくもなくすんなり読めた。
 で、一番衝撃的だったのは、この本自体の組版だ。本文はぶら下げ組みなんだが、

 なんとルビがぶら下がっている! こんなの初めて見た。
 読み進めるとこんなのも。
 カギカッコよ、お前もか!
 ブラ下ゲは句読点だけだと思っていたんだけど、私の感覚が古すぎるのかな。これ以外にも色々気になる点があった。しかし、「腕のいい活版職人」が登場する本で、これはないんじゃないか……。

お仕事ください! (もえぎ文庫)