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2011-04-23

「福島には原発が必要だった」について

今話題のブログを検証してみたい。
福島には原発が必要だった - あ
福島には原発が必要だった(補足) - 夢の中ではうまく歌える


(以下の文で「」『』は各種名称を除き元ブログ・コメントからの引用である)
ブログ本文の彼女(ブログ主)の考えはそれはそれで立派だと思う。
同時に彼女はこの文を2カ所で「他県の方への問題提起」であると言っている。
「問題提起」であるならばその前提となる「事実」は出来うる限り正確であらねばならない。
「公的機関」や「機関紙」でなくともそれは同じだ。
なぜなら「間違った情報」に基づいた議論は空論になりかねない。
議論は積み重ねられる。その土台となるのが「事実」である。
議論の土台が彼女の「それぞれにとっての真実」であってはならない。

実際、ブログのコメント欄では彼女に提供された事実に基づいて議論が展開された。
「間違った情報」が「それぞれにとっての真実」に転化していった。
彼女は“補足”を書いた。わたしはそこでのコメントを注意深く追っていった。
彼女があげている事実が違うという主張があちこちで見られた。
しかし、コメント欄は閉じられた。
それ以上のやりとりはできなくなった。
そこでわたしなりに事実関係を検証してみたい。

ここでは彼女がブログで断定している文でかつ彼女の意見(思ったこと)を除く文のみを検証の対象とする。
彼女の感想・意見・推定・伝聞等の文章はその対象としない。
まず、わたしが知る限りの間違いを指摘する。

1.「交付金をハコモノじゃなく安全のために使うべきだった」
旧電源三法による交付金は原発の安全対策に使うことはできなかった(5で詳述する)ので、
あり得ない前提に立った仮定。逆に「放射線監視等交付金」や「原子力発電施設等緊急時安全対策交付金」、
その他交付金(H11年度限定交付金)および核燃料税を考えた場合は使っている。

2.「福島は経済的にはとても貧しい土地」
「貧しい」の定義が不明なので何をもって「貧しい」とするかは大変難しい問題だが、
内閣府発行の『県民経済計算』によると最新の2007年度で総生産額全国19位で、
県民所得も同じく19位。さらに言えば一人あたり県民所得は18位で一概に貧しいとは言えない。

3.「女子の早婚率」と「経済的に貧しい」
を結びつけているが、これも間違いで、早婚は出生率と正の相関にあることが立証されていている。
逆に晩婚と出生率が強い負の相関にあることは最近の晩婚化問題を考える上でよく指摘されている。
さらに日本総合研究所の試算によると平均的なサラリーマンで一生涯の収入は2億3000万円、
消費は2億1300万円となり子供を持つことによって経済全体としてはプラスになる。

4.「福島県は、原発の誘致にとても積極的でした」
原発の立地は『電源開発促進法』により国(及びその調査会)が選定した。
それを受けて自治体が誘致の決議をし、これが事実上の受け入れ表明となる。
尚、立地町の誘致決議はあったが福島県による誘致決議は行われていない。
また、誘致の経緯と発電所設置における国・事業者・県・市町村・住民の関係を法的関係を含めよく調べることをすすめたい。

5.「交付金を福祉・教育と、債務返済に充てる予定」
明らかな間違い。『電源立地特別交付金交付規則』、『電源開発促進対策特別会計法施行令』、
『発電用施設周辺地域整備法施行令』により使途は限定されていた。
現在これらは「電源立地地域対策交付金」として「エネルギー対策特別会計」に組み入れられ
『特別会計に関する法律施行令』および『発電用施設周辺地域整備法施行令』により、
以前よりは遙かに使途が広がっているが公債費への充当は認められていない。
また、『福島県核燃料税交付金交付要綱』でも同様である。
さらに『核燃料サイクル交付金交付規則』および『原子力発電施設立地地域共生交付金交付規則』でも
また同様である(この2つについては条文まで追跡できなかったが他の資料により確認)。
尚、ここで注意しておきたいのは「電源立地地域対策交付金」は原子力発電所のみに交付されるものではないことを特に指摘しておく。

次に、最終的には解釈の判断になるが、根拠もしくは対象が不明なものを指摘する。

・「産業が少なく魅力的な雇用がほとんどない」
根拠が不明。単なる彼女の主観か。
・「福島は経済的にとても貧しい」と「大学進学率は、一昨年は47都道府県中40位」
基本的に学歴が高いほど生涯賃金が高くなることは各種調査・研究で指摘されているが、
大学進学率が40位である福島県の一人あたり県民所得が18位である事実をどう説明すべきか不明。
・『学校を出て、「こんな仕事がしたい!」と思っても、会社がない』
単なる彼女の主観か。他県から福島県へ就職する人をどう考えているか聞きたい。
・「福島は経済的にとても貧しい」と「過疎化がどんどん進んでいました」
「過疎化」をどう定義するかにもよるがこの二つを関連づける根拠が不明。
福島県でも多くの過疎化対策が行われているが過疎化問題は全国的問題であり、
福島県だけの問題ではない。さらに「福島は経済的に貧しい」との結びつきをどう説明するか不明。
・『実に多くの人が原発を「善きもの」と思っていました』
このような調査をしたかどうかすら不明。あったら是非聞きたい。
・“補足”での『「県は」という時、一般的に県の機関決定を指すものだと思っていた』
「県の機関」とは何を指すのかが不明。議決機関と執行機関のどちらか、はたまたその両方か不明。

次に、彼女自身も“補足”で指摘しているように『「県は」という時、
一般的に県の機関決定を指すものだと思っていたので、
それを「福島県民みんな」のことと受け取られてしまったこと』について考えていきたい。

本文の「福島県民ならみんな知っています。」から「私も内心では賛成派でした。」までの文は
「福島県民」を主語もしくは主語に掛かるようになっている。
例えば「だいたいの女子は高校を卒業するとちょっと働いて結婚する、という流れが福島ではとても一般的でした。」を
「だいたい福島県民の女子は高校を卒業するとちょっと働いて結婚する、という流れが福島ではとても一般的でした。」と
すると文意が通るが、逆に彼女が“補足”で指摘しているように「県の機関」とすると意味が通らない。
例えば「福島県の機関の女子だけだと42位で、福島県の機関の女子の早婚率は全国1位です」となる。
このように「福島県民」が主語もしくは主語に準ずる働きをしている文が続く後ろに
「福島県は、原発の誘致にとても積極的でした。」と来ればこの場合の「福島県」が
「福島県民」を指すものと捉えるのは自然であろう。
実際、そのすぐ後に「福島県民」である「私」が主語として登場する。
逆に「福島県民」が主語もしくは主語に準ずる働きをしている文章の間に突然
「福島県」を「県の機関」と捉えるのは文脈上不自然だろう。
さらに言えば、「福島」を数多く使っているが、この「福島」は何を指すのかという問題は尚残る。

最後に「切り貼り」の問題を指摘することにする。
“補足”で「切り貼り」していることを認めているが、
“補足”コメント欄の多くの方が指摘しているように引用の部分ははっきりと明示することが必要である。
明示しないと読み手がどこが引用でどこが筆者の主張なのか区別がつかなくなるだけでなく、
引用元の著作権を侵害する行為になる。引用部分を明らかにしなかった場合、
著作権者は引用者を著作権侵害で訴えることができるのは指摘するまでもない。
個人であっても文章を公開している以上罪に問われる可能性があるので改めることを強くすすめたい。

以上。

今、一応の検証・指摘を終えて根本的な問題は何だったのだろうかと考えている。
結局のところ、彼女自身の言葉を借りれば、
知らないことを「知らない!って言」えなかったことではないかと思う。
実際、“補足”でのコメントのやりとりを見ていると彼女は「小名浜漁協閉鎖」を理由に
「経済的に行き詰っている産業」として挙げたようだが地元の方の反論を受け
反証もせずにあっさりと削除しているようだ。
彼女自身は「調べて書いた」と言っているがの何を調べたのだろうか。
新聞記事を拾い上げ、「要約」することだけが調べることではないはずだろう。
少なくとも30歳を過ぎた大人が自分の住む県知事がわからないはどうかと思う。
「何もない家で生まれて、さっさと出て行けと言われながら育った」ことは
知らないことへの言い訳にはならないし、「私は無知を恥じるつもりはありません」が実社会で通じるわけがないだろう。
彼女が単に労を惜しんだだけに見えてならない。
彼女の問題提起そのものはそれはそれで立派なものかもしれない。
しかし、その前提が間違っている。
例えれば基礎を造らずに家を建てるようなものだ。
他の方が仰っているように彼女に必要だったのは
不十分なものを付け足す“補足”ではなく誤りを正す作業ではないだろうか。
彼女には「過去を受け入れて、分析して、明日につなげ」て欲しい。

このブログ自体については基本放置するつもりでいる。
ただ、検証可能なご批判ご指摘はありがたく頂戴したいと思っている。
特に彼女ご本人もしくは事情を詳しくご存じと思われる福島県の方からの反証は大歓迎したい。

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