うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

叱り方褒め方 野口晴哉 著

叱り方褒め方 野口晴哉 著
これも近所のユキちゃんちの本棚から借りてきたもの。厳密には、ユキちゃんの「彼氏」の本棚から。
ビジネス的な本ではありません。育児本です。「これを私に実践してるんだってさ」と、ユキちゃんがちょっと皮肉まじりに、年下の彼氏の前で言っているのがおかしかったです。貸してくれた当人、苦笑い。

野口晴哉さんの本は過去にも感想を書きましたが、語られていることは、整体哲学といってよいものでしょう。ヨガでは沖正弘氏がまったく同じようなことを言っているのが非常に興味深いです。大好きです、このお二方のお話。ファンキーなんですよね。なんだか。

この本は文字が大きいので一日で読み終えました。なんだか育児をしている母親のような気分になりながら。
今回もいくつか引用して紹介しますね。

<19ページ、22ページ のタイトルより>
「褒めるときは的を射ること」「叱るときは的を少しずらす」

後者が特にむずかしいですね。

<24ページ「叱ると怒るとの区別──怒れば叱る立場を失う──」より>
けれども怒ってしまったのでは、叱言を言う資格はない。人は怒るとつい押しつけるようなことをしてしまい、相手に自分の意見を強制してしまう。強制されれば逃げるのが当たり前で、犬でも、繋ごうとすれば逃げて行ってしまうように、強制し、押し付けようとするものが自分の裡にあったならば、相手は叱られたと思わない。怒っていると見るのである。怒りの中には必ず攻撃的、破壊的なものが含まれている。だから遠ざかるのも当然だし、耳に蓋をし、口を閉ざすのも無理ないのである。

動物なんですよね。みんな。

<59ページ「お尻を叩く」より>
子供が無知の故にいろいろな失敗をするのはむしろ自然なのである。無知だから知ってゆくのだ。だから知恵者のつもりのお母さま達の無知が、子供を害しているということの方がむしろ問題にされるべきであろう。

逆の、「いい話」ですが、以前渋谷へ向うバスの中で「今日もいい子にしていてくれてありがとう」と、お出かけの帰りなのでしょうか、小さな子供にお礼を言っているお母さんがいて感動しました。「感謝の心」をストレートに教育していて、ちょっとうるっときたんです。「見返りを用意しないと、いうことを聞かないであろう」という発想自体を持たなくてよい人ばかりに囲まれて暮らしたい。この、バスの中であったお子様は幸せだと思います。

<154ページ「行動型の体癖」より>
例えば、誰かに「お茶を入れてくれ」と言われる。「頼まれた、すぐ入れなくては」と思う、けれどもお尻が持ち上がらない。「どうしてこんなにお尻が重いのかな」と思う。けれど、「もう遅くなっちゃった」それでとうとうお尻を持ち上げない。そういう場合には意志がないのかというと、そうではない。意志はあったが、意志が体を動かすようにはエネルギーが集まらなかった、あるいは意志を末端の運動系に伝える神経が鈍っていた、あるいは神経はちゃんと伝えても筋肉が硬くて応じられなかったというように、いろいろ原因が考えられるが、決してその人がズボラだったとか、怠けものだとか、意志が弱いとかいうことにはならない。既にやろうという意志はあった、立ち上がろうとした、けれど行動にならなかったということだったら、それは、体の問題ではないだろうか。

お尻が持ち上がらない人は、きっと裁量に合わないサービス精神とか、華やかなキャラクターが原因なんじゃないかなぁ。うちこは、基本的に人が寄ってくると机の下に隠れてしまうような、趣味が「シール集め」の女子ですから、こうゆう性格に救われているかも。

<159ページ「エネルギーの消耗方法──責任をもたせること──」より>
例えば責任を持つということはエネルギーを消耗することである。子供に責任ある仕事をさせる、或いは責任を果たす行為としての仕事を頼むと、余分なエネルギーは消耗してしまう。体操をやるとかいうことは一時消耗はしても、次にはもっとエネルギーが盛んになるので、現実的なエネルギー消耗法とはならない。

ちょうど最近自分に起こったことが、翌週にヨガ仲間のゆきんこにも起こって、今日もその話をしたのですが、それは「どうにもこうにも根底からいつものエナジーが沸いてこない、原因不明のパワー不足」。これ、やっぱり責任とかで日々消耗しているんでしょうね。


それにしても、やっぱり体の中から学ぶ哲学ってありますね。「体が歪んでいると心も物事への目線も歪んでいる率高し!」「ポーズが前のめりの人は、気持ちも前のめり。なのに、前進のベクトルではなく、残念ながら斜め下なんだよねー」とか、とか。そうゆうのは、いつもヨガ仲間と話すんです。
こういう本に、もっともっと出会いたいな。


野口晴哉氏の著作物は以下のサイトですと定価で買えます。
株式会社 全生社

野口晴哉さんの他の本への感想ログは「本棚」に置いてあります。