うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

紙の月(映画)


ネタバレしないように書きますね。というか、ストーリーよりも過程と心情が見どころなので、あまりストーリーを書いても支障がないタイプの作品です。あっという間に感じる展開。おもしろかった。
一緒に行った元同僚ちゃんがNHKでやっていたドラマを観ていたそうで、「テレビのほうは主人公の女友達の生きかたとの対比が多くあったけど、映画のほうは銀行員同士のやり取りが濃い」と言っていました。元AKBの人の起用もニクい。ああ、こういう人をこういう風に使うと、こういう効果が出るのかぁ、と。
このお話は1994年〜1995年の設定で、証書の偽造作業に出てくるツールがすごくリアル。帰りに「あのプリントごっこみたいな機械の、あの作業!」なんて話で盛り上がった。Machintosh の Performa が届く場面とか、モノの時代感にもゾクゾクしました。ディテール詰まってる!
主人公の「若返り」の描写には、たいへん胸が苦しくなります。あと、ふくらはぎの形と主人公の心理がすごく合ってるのもいい。もともと肉食じゃない人なんだって感じが、ふくらはぎからも感じられる。


で。


映画を観ると、必ずや原作を読みたくなります。帰りにさっそく買って、読み始めています。(追記読んだ
理由は、以下の部分がすごくひっかかったから。

伏線として、幾度かヒロインの中学時代の光景がフラッシュバックされる。カソリック系の厳粛な雰囲気を漂わせる学校の教室で、修道女は、世界で貧困と病苦にあえいでいる人たちへの寄付を説く。ところが少女は善意に駆られたある行為によって、修道女に烈しく叱責される。この紙幣という具体的な媒介を通じて描かれるエピソードは、彼女の内に、世界が単純な善悪二元論では成り立っていないことの酷薄さをトラウマのように刻印する。
映画.comの映画評論 / 高崎俊夫 より)

ジワジワきます。



この小説は夏目漱石やギーターの読書会をサポートしてくれている人からすすめられたのですが、なるほど。「お金×支配×二元論」の話なのね。「捧げることで支配欲を満たそうとする」という心理があまりに普遍的であるがために、クリシュナは「いいからやれ。オレのために捧げろ」と説いているのよね。ズシーン。
こりゃあすごいお話。たいへんおすすめです。


▼映画のサイトはこちら

音楽はちょっと狙いすぎな気がする……


▼本はKindle版が出てない。いまどこでも平積みなので、近所の本屋に必ずあるよ。