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2015-02-16 一郎さんへの容赦ないツッコミ・インド仕立て(夏目漱石「行人」読書

[]一郎さんへの容赦ないツッコミ・インド仕立て(夏目漱石「行人」読書会での演習より)

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先日、夏目漱石「行人」読書会での演習のなかから「日常にあふれるマウントの回避技術を二郎さんから学ぶ」というトピックを紹介しましたが、今日はコイバナです。いや、コイバナになるかと思いきや、そっちに行かなかった。という話です(笑)。

この「行人」という小説は、夫婦の冷戦がすごい。いろいろ痛々しいのだけどステイタスだけはある男性「一郎」V.S. おっしゃることはまったくもって正論なんだけど、そこまで気高いとすごいね! というしかない妻「直(なお)」。

漱石小説に登場する争いのなかでも、これは年末のさいたまスーパーアリーナ級のカードです。


いまふうに変換すると、「アタシもうずいぶん前から死んだような気分で人妻やってるし、ってーのが本音だし」という直さんの必殺技は「死んだフリ」。とにかく体力&精神力温存で、動かない(笑)。で、動いたと思ったときの技の出しかたがすごい。もはやヒクソン

夫の一郎(小説の中では、「兄さん」。語り手が弟だから)は、現代だったらもういろいろ無理なんじゃないかと思うくらい、女性と人間的な会話ができない。彼の必殺技は「哲学的な、宗教的な、なにか定まらないもの」。ぜんぜん必殺じゃない。もう幻(マーヤー)にすら興味を失っている直には通用しない。

最終章で、いよいよ兄の精神がつらそうになってきます。そんな兄さんも、仕事の話ができる相手とは、すこし人間的な会話ができる。心配をした家族はHさんという人に頼んで、ちょっと気分転換に兄を旅に連れ出してもらいます。

以下は、女性に対する接し方について、男二人(主人公の兄である「兄さん」と、その友人のHさん)が話す場面。

女を「山」に喩えています。

Hさん:君は山を呼び寄せる男だ。呼び寄せて来ないと怒る男だ。地団太を踏んで口惜しがる男だ。そうして山を悪く批判する事だけを考える男だ。なぜ山の方へ歩いて行かない

兄さん:もし向うがこっちへ来るべき義務があったらどうだ


この兄について、参加者のYさんはツッコミます。

Yさん:まだそんなことを言っているのか、と思って。

参加者:爆笑

うちこ:そうなんだよねぇ。もう最終章の最後のほうだよ〜 ってね。

Yさん:アルジュナみたいですよね。

うちこ:もう18章なのに、まだ練習しない! クリシュナはどうやってクロージングするんだろう〜という、このハラハラ感(笑)


って、そのときの会話はノリで流したけど……。

一郎兄さんのじれったさって、たしかにアルジュナ成分なんだよなぁ。

「ほめられるなら、かまってくれるなら、やってもいいかな」というメンタリティを人格に落とし込む筆力。夏目漱石グルジ、すごすぎるぅぅぅ。

(アルジュナとかクリシュナってのは、バガヴァッド・ギーターに出てくる人、じゃなくて神の名前です)


▼関連補足