うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

ひねりがなくて印象に残る、マレーシアの広告


マレー半島は行ってみたらインド人、中国人も多くの比重を占めていて、これといって「これがマレーの心だ」みたいな濃ゆいものがない。
マレーで話した人に共通するマレーらしさがあるとしたら、それは「あなたが誰でも、かまわないわ」という雰囲気。この種類の居心地の良さは、ほかの国で感じたことがありません。感覚的に似たものがあるとすると、インドネシアかな。
日本人はインドだと「けちな奴ら」に見られたり、スリランカだと「めちゃくちゃ耐える人」で「おしん」と重ねて見られたりする。ベトナムでは「韓国? 日本?」という感じで、若者には韓国と言ったほうがたぶんウケがいい。韓国のアイドルやドラマが人気だから。かなり雑に要約したけど、とにかくマレーは「あらどうも。このチキンおいしいよ。食べてみなよ」みたいな感じで、「値踏まれ待ち」みたいな緊張がいらない。思い出すだけで、なんとなく心の奥から温泉が湧き出てくるような、不思議な感覚を植えつけてもらってきた気がします。
思い出すたびに、こういう気質を国全体に広く染み渡らせているって、すごいことだよなぁと思う。海外の人から見たら、日本人が列を作って並ぶのがそういうふうに見えるのだろうけど、「とがめられたくないから列を乱さない」という恥の恐怖政治とは違う、なにか別の力がそこにある気がして、たまに思い出すようにしています。


そんなマレーは、いろんなものの見かたをする人が混在しているためか、広告の訴求が大変シンプルです。
それが、汚れきったわたしのハートにグサグサ刺さる。



マレーは自動ドアにドアボーイ、ドアガールがくっついたように見える、こういう加工がよくあるのですが、
その作法を真似た





台湾に旅行に来ない? の広告





マレーの炭酸飲料の広告なのだけど、紙の加工がキラキラで、アニバーサリー感がシンプルに伝わってくる。






めっちゃ頑張ってアイロンをかけてくれそうな勢いが存分に伝わる、クリーニング屋さんの広告





これも同じシリーズのお掃除屋さん





これは宅急便の広告。TRANSNATIONALという高いシェア率の長距離バス会社の車体やチケットにプリントされていて、この制服が見慣れたバスの運転手さんと同じなので、親近感が湧く。きっと宅急便を使うためにどこかを選ぼうと思うとき、刷り込まれていた力がはたらく。じょうずだなぁと思う。






これはクアラルンプールのブキッ・ビンタン駅。エアアジアの広告一色で、駅の名前も「エアアジア・ブキッ・ビンタン」と記載されたりアナウンスされたりしていて、「TOYOTA豊田駅です」と言われたみたいな印象を受ける。徹底ぶりが異様で印象に残る。
本社があるのと思ったけど、本社はインドネシアジャカルタにある模様。





ドラえもんがおいしそうに食べている」という絵は、ドラ焼きじゃなくても刺さる。


わたしはインド人の先生に教わった、「違い」よりも「共通点」からものを語れるようになることという考えかたが好きなのですが、マレーはそれを体現しているような国と感じました。わかりやすさを求めていたはずが、それが世界を狭くする行為になっていることって、よくあるんですよね。
「アンチ差別化」みたいな感じで、とてもステキな広告ばかりでした。


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