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2016-07-28 組織の掟 佐藤優 著

[]組織の掟 佐藤優

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こうやって組織の中の人間というのは感覚がマヒしていく、という事例をどしどし紹介していく内容。外務省の中の人が読んだら本人が特定できそうな具体的な話ばかり。

この本にある事例は官僚社会でしたが、そうでなくても組織が巨大化していく過程では「その感覚は、一般的ではないだろうに…」という特有の行動が平常化していくもの。この本を読むと「意識的に染まっているかのようにふるまう」という意思のコントロールも仕事のうちということがよくわかり、読んでいるだけなのに気持ちがしんどくなる。そのくらい、思い当たるメンタル事例が書かれていました。

アドバイスっぽいトーンでの語りかけが途中に入り、続きを読むのが止められない。他人を見るときに信用しても大丈夫か否かの見極めポイントのような言及もありがたい。えええこんなに異常な人がいるの?! と思うエピソードも多いなか、特にストーカー化する人物の傾向(この本の中では「一番病」と書かれています)の説明はすごくわかりやすくて、この本のなかで引用されている関連書籍を読みたくなりました。


人間の見かたとして、「能力がなく、やる気もない部下」と「能力はないが、やる気のある部下」のどちらを評価するかと言う点で、外務省での経験から以下のように語られるところがとても印象に残りました。

客観的な知識や経験と実力に裏付けられていない、独創的な発想で、「能力はないが、やる気のある部下」が引き起こすトラブルを処理することのほうが、はるかにエネルギーがかかる。

 学者やジャーナリストにも、やる気が能力をはるかに凌いでいるような人がいる。そういう人からアプローチされても、筆者は極力、「御縁」をつけないようにしている。(P107)

「御縁」をつけないというのも、重要な判断なんですよね。行動は起こすけど寄りかかる気マンマンの人って、いるもんなぁ。



以下は、いろんな背景があることを踏まえたうえでの信頼関係のあり方として、うなずきながら読みました。

 イスラエルのインテリジェンス・オフィサーは、「友人はすべての情報を共有すべきである」とは考えない。お互いが必要とする範囲で、情報を共有し、余計なことを知らないほうが、かえって友情が長続きすると考える。(P194)

多くを知らないほうが結局有益な情報交換になるので、多くを知っている=友人、というのがそもそもおかしいんですよね。


わたしはいろいろと理解するのが遅く社会に出ると苦労が多いので、これはすごくためになる本でした。

「信じているふり」をほどよくやりつつ、よく見るとムーン・ウォークで実は後ろに進んでる、みたいなことを社会でもできるようになりたいな。


▼紙の本

組織の掟 (新潮新書)
組織の掟 (新潮新書)
posted with amazlet at 16.07.28
佐藤 優
新潮社


▼Kindle版

組織の掟(新潮新書)
新潮社 (2016-04-22)