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[語句説明]

2016-05-15 動詞としての、偏差と制度化 このエントリーを含むブックマーク

廣瀬浩司氏のツイッターより:

非常に重要な論考なので、ぜひプリントアウトして熟読してほしい。

意識のあり方が少し変わってしまうような読解体験になるはず。

以下ではこの論考「自然と制度」(『メルロ=ポンティ研究』第四号、1998年9月)より、少し引用してみる。(強調や改行は引用者)


 現象学的な意識が制度化するものは、理念的な対象などではなく、「すでに構成されてしまっている」と同時に「けっして完全には構成されてしまわない」「世界」である。

 この「すでに」と「けっして完全には」の間において、現象学的な世界は「根源的な偶然性」ないしは「最初の設立ないしは基礎付け」である Stiftung として残り続ける。要するにこの Stiftung こそ、意識の歴史性と理念性の共通の母胎なのであろう。(p.38)

    • Stiftung はフッサールの用語で、《創設》*1
    • 《「フッサールはStiftung──創設、設立──という見事な言葉を、まずはあらゆる現在の無限の豊饒さを示すために使った。それは特異で、移行するからこそ、存在しなかったということがありえないものであり、普遍的に存在することを続ける」》参照


 メルロ=ポンティは、

    • 即自的な空間しか認めない「モノの哲学(la philosophie de la chose)」(古典的な生気論と機械論)と、
    • 非空間的な理念性を仮定してそれがなんらかの精神によって担われていると考える「観念の哲学」

 を両断的に乗り越える立場として、

    • 「『何か』の哲学(la philosophie du « quelque chose »)」

 を提唱している。「『何か』の哲学」とは、「無ではなく何かがある」という単純な事実から出発する。(p.41)


第二章 第2節「構造の 蝶番(ちょうつがい) としての偏差」は、

一節まるごと引用してしまいたいのだが、ここでは以下の部分だけ。

 メルロ=ポンティが晩年に至るまで「知覚」と呼び続けていたものは、すでに制度化された規範に対する偏差を標定し、見分けることによって、直観による合一を介することなく、世界を制度化する行為をさすものである(p.44)

    • 名詞としての知覚ではなく、動詞としての、時間的な営みとしての知覚。(むしろ名詞としての知覚は、概念操作として誤っているとすら言える)


 数学的な理念性の分析が、自然の概念の再考を迫った(p.48)

 メルロ=ポンティは〔…〕あらたな思考のモデルを練り上げようとしている(p.44)

    • 現象経験への理解を、静態的な幾何学に還元しようとする現代物理学の情熱との比較。*2


 到来しつつある構造は、〔…〕おのれを制度化する。数学的な領域においても「真理は十全性ではなく、予期、取上げ直し、意味のすべりであり、ある種の距離においてのみ己に触れる」。偏差とはこの「距離」を空間的に表現したものだと言えるかもしれない。(p.45)

 「軸としての存在の非構成的な合理性」は「脱中心化を意味の土台として持つ」(p.48)

    • 《構造》より《制度》のほうが時間的で、動詞の要因が強い。むしろ、動詞的な制度化が、名詞概念で扱われる《構造》の条件となる(「ある種の距離においてのみ己に触れる」)。制度化なしに構造を語ろうとするのは、私たちの現象経験から絶対に廃絶できない時間的要因を無視する観念論にすぎない。


 われわれは別のところでフーコー権力論における偏差の概念の重要性に注目し、権力を制度における自己規範化の作用としてとらえ、権力論を歴史の存在論へと練り上げる可能性について論じた。(p.48)

    • 《制度化》は、たんなる物質反応にも動物にも起きない。「人間ならでは」と考えると、これはマルクスの《労働》の問題系に関わっている。▼蜘蛛は精巧な巣を作るが、そこには労働も制度化もない。それゆえ歴史がない。
    • マルクスを《物質代謝》のモチーフで読みなおすとして(参照)、しかしそれが「物質代謝一元論」でしかないなら、物質史にしかならない。やはりここは、《労働過程》についての精緻な議論が要る。(フーコー、メルロ=ポンティ、グアタリなどが、そこに先鞭をつけていたと理解できないか)



*1cf.《Stiftung(あるいは Urstiftung)の邦訳は「創設(原創設)」となっている。メルロ=ポンティは『知覚の現象学』においてこの語を「基礎づけ fondation」と訳出し――明らかな誤訳であるにせよ――、1954年のコレージュ・ドゥ・フランス講義以後は「制度 institution」という訳語を採用している。》(澤田哲生「言語と理念性PDF

*2《物理学者が時間に敵意を示してきたのは,時間の不在こそ,神の視点に近づいていることの証拠だと考えられているからです.〔…〕ホーキングは,アインシュタインのヴィジョンを受け継いで,物理学を幾何学化――つまりは空間化しようとしている.》(浅田彰によるプリゴジンへのインタビュー時間と創造(PDF)より)

2016-05-12 閉じこもっての死亡事例――「50代の息子、80代の母親」 このエントリーを含むブックマーク

産経【新潟・三条市で男性の変死体 母も遺体で発見 息子殺害後に自殺か(2016年5月9日11時19分)

 8日夜、新潟県三条市西本成寺の無職、小林千浩(かずひろ)さん(50)が自宅で首から血を流して死亡しているのが見つかり、9日朝には同居していた73歳の母親が自宅から約1・5キロ離れた用水路で死体で発見された。自宅からは事件への関与をほのめかす母親の遺書とみられる手紙が見つかっており、県警は家に閉じこもりがちだった小林さんを母親が殺害した後、自殺を図った無理心中の可能性がある


NHK【男性刺殺事件 母親の遺体発見 息子を殺害後に自殺か(動画あり、2016年5月9日12時21分)

 警察の調べによりますと、母親と弟の3人で暮らしていた小林さんは、長い間、自宅に閉じこもりがちだったということで、付近の人は母親から悩みなどの相談を受けていたということです。自宅からは謝罪や事件の関与をほのめかす遺書のようなものも見つかっていて、警察は、母親が息子を殺害後、自殺を図ったとみて状況を詳しく捜査しています。

 母親と50年来の友人だという近所の女性は「長男が働かないから仕事をしている次男が家の犠牲になってかわいそうだといつも言っていた。どうしてこんなことになったか分からないが、母親は我慢強い人だったからため込んでいたのではないか」〔…〕

 近所に住む男性は「小林さんはずっと引きこもりみたいな状態だった。中学を卒業して勤めてもすぐに辞めるようなことで、5年ぐらい前に亡くなったお父さんも心配していた」





別の事件

テレ朝news【死後1カ月超 54歳長男と母か 将来悲観した遺書も(動画あり、2016年4月23日17時28分)

 埼玉県戸田市のマンションの一室で、死後1カ月以上が経過し、痩せ細った男性の遺体が見つかりました。また、押し入れからは、ポリ袋で何重にも包まれた遺体が見つかりました。遺体はこの部屋に住む54歳の長男と85歳の母親とみられています。

 室内からは、将来を悲観した内容の遺書が見つかりました。警察によりますと、長男は無職で引きこもりがちだったということで、母親が死亡した後に生活できなくなり、衰弱死した可能性もある

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