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[語句説明]

2005-03-31  雇用と「自由」競争?

「オトナになる」 「オトナになる」を含むブックマーク

拙著より。*1

 父が1ヵ月間、家に帰ってこなかったことがあった。 理由を母に尋ねると、「なに言ってんの、毎日帰ってきてるよ」。 なんと、父は僕が寝たあと、1時ごろに帰ってきて、僕が起きる前、5時に起きて会社に行っていたのだ・・・・。

 心底ゾッとした。 「オトナになる」には、ここまでやらないと許してもらえないのか。 「社会に入る」とは、こういうことなのか・・・・。

中間集団に巻き込まれる恐怖。



笑えない 笑えないを含むブックマーク

さんざん揶揄された次のくだり。

 党側は「『労働者の党』として無視はできない」と困惑しているが、党内には「解雇通告した職員は仕事もろくにしないで、いつも権利ばかり主張してきた」(幹部)と嘆き節も漏れている。

たしかに自己矛盾とか思い出して笑ってしまうのですが、

これ、真剣に考えるべき話じゃないんでしょうか。

「社民党」という固有名詞は置いといて。



*1:p.40。強調は原文に拠る。

2005-03-30  経営 ―― 公と私

「労働問題」と「教育問題」 「労働問題」と「教育問題」を含むブックマーク

id:roumuyaさん

 さらに面白いのは、資本主義の申し子であるはずの「金融経済の専門家」たちが、ことこの問題に関しては共産党系の全労連全国一般や、共産党系の新日本出版社の本を持ち出してくることです。まあ、彼らのイメージする古典的な労働運動には共産党系がよくマッチしているのかもしれませんが。


稲葉振一郎さん

 そろそろ労働問題も「第二の教育問題(誰でも学校にちょっとくらいは行ったことがあるので、ろくに事実関係をおさえてもおらず、体系的な勉強もしていないくせに、学校だの教育だのについて責任をもって語る資格があると勘違いする)」と化すのであろうか。


労働問題の、「専門家的」語り方とは・・・?




立場(属性)と課題*1 立場(属性)と課題*1を含むブックマーク

id:matsuiismさん

 私は、職場(コンビニ)でアルバイトの学生に接するとき、「従業員」の義務(ちゃんと仕事しろ)と「労働者」の権利(必要以上に「搾取」されるな)との間で揺れ動いてしまうことがある。接客や作業はきちんとやってほしいが、ノルマやサービス残業に関しては私自身「なんで?」という思いを禁じえないため、他人にもそれを強要する気になれない。

 上山さんの言葉で言えば、≪業務内容≫を重視する限りで私は「従業員」という立場にあり、≪雇用環境≫を問題視する限りで「労働者」と自分をみなしている。


id:Arisanさん

 労組の人たちが言う「全員正規雇用にする」ということは、全員労働組合に入るということだろう。それで企業自体がやっていけるのか。組合自身が身を切ってでも経営や雇用に責任を持っていくという姿勢が見えなければ、自分たちの既得の地位を守るための保身にしか思われない

 主観的な、つまり人々の内面の変化としてみると、フリーターや無職者の急増の背景は、経済成長のなかでの個人の幸福の実現とか、組合が建前として言うような社会主義的な理念とか、そういう目的をみんなが信じられなくなったからだ。その目的が信じられないなかで育ってきた人たちというのは、心のなかに「無限定」を抱えて生きているといえる。それが、「無責任」や「放縦」とか「甘え」と見られるようないわゆる「非公共的な」生き方の根底にある。


R30さん

 そこには、従業員の雇用環境を守るのが役割のはずの労働組合が、結果的に企業経営の仕組みの中で企業が従業員の雇用環境を守りつつ競争力を持って生き延びることを不可能にする最大のリスクファクターになってしまうという矛盾がある。

 id:ueyamakzk氏によれば、フリーターの問題は情報収集(当事者たち)と賃金闘争(支援する労働組合)の2つしか解決法が提示されていないようだが、社会化されている問題である以上はマネジメントの改善という第3の方法があり得るのではないか。どうやって?という問いに、僕もまだ答える術がないけれど。


誰かが腹を立てているとき、それは≪私憤≫なのか、≪公憤≫なのか。



私益/公益 私益/公益を含むブックマーク

ウェブマネーで会費を払い、視聴。

堀江氏に公共性を感じ、敵対している人たちに「私利私欲」を感じる印象(あくまで印象)がますます強くなる。

というか、「経営」って、思想なんだ・・・・。





こちらのイベントより こちらのイベントよりを含むブックマーク

ひきこもり支援団体『ニュースタート』について、理事長の二神能基氏より説明があった。

以下、発言をいくつか引用してみる。(もちろん大意。逐語引用ではない*2


「契約」*3 「契約」*3を含むブックマーク

まず両親に面談するが、「1時間3万円」いただく。

私(二神)を希望される場合は、「1時間5万円“以上”」。 → 2年前までは「5万円」と言っていたが、希望者が多すぎたので「以上」を付けたところ、だいぶ減った。最近はまた増えてきたので、おそらく今年中に「1時間10万円」にすると思う。ただし、その金額の値打ちがあるかどうかは知らない。これはお金のためではなくて、私が自分を守るため。

実際に二神氏に面接を希望して「5万円」請求され、そのことに呆れ返っていた親御さんに何人かお会いしたが、上記の説明は納得できる。というか、契約関係さえ成立すれば「1時間100万円」でもいい*4。 それは事実上「面接おことわり」や、「対象を富裕層に特化する」ことを意味する*5

一般の在野カウンセラーによる面接相談は「1時間5000円〜2万円」前後だと思うので、「ひきこもり」に特化した団体のスタッフによる面接が「1時間3万円」というのは、高価いと考えるべきか否か――などという判断は私がすべきことではない。 実際に金を払うサービスの利用者が考えるべきことだ。 選択肢は他にもあるのだから、「高価い」と思うならやめればいい。


採算 採算を含むブックマーク

 2年間で400万円ほど払ってもらうことになる。

 寮は、1年で500万円もらわないと採算が取れない。(圧倒的に人件費)

 これだけ頂いても、現状では毎年数千万円の赤字になっている。

私は内部の資料を見たわけではもちろんないが、

冷静に考えれば、こういう数字がリアルだと思える。

永冨奈津恵氏によれば、「ほとんどの支援団体が赤字」とのこと。


問題は、 問題は、を含むブックマーク

在野で独立してサービス提供を試みるなら、採算ベースに乗せるためにはこのレベルの料金設定が必要だとしたら、低所得層は公共サービス(無料)しか受けられない。

行政の対応にはまだまだ地域差があり、厚生労働省も「ガイドラインを出した」だけで、つまり「無視してはいけない」という命令を各窓口(精神保健福祉センターなど)に向けて下しただけで、予算や人員をつけたわけではない*6

もちろん、民間サービスの地域格差も激しい。

ひどく追い詰められた人たちの問題だし、まったく未成熟の分野だから・・・、難しい。



理念 理念を含むブックマーク

 親御さんたちに対しては、「お宅のお子さんを預かる費用をください」ではなく、「次世代を育てる活動をしているから、その支援をしてください」と言う。

ご本人は恐らく本気なのだろうと思う。

二神能基氏は1943年生まれ。

「机上の論」ではなく、実際の経営者として語っているところが重要だと思う。

理念に対して、実際に自分と他人の金を投じていること。

カネを操らずに理念でケチを付けるのはたやすい。

対案を示すのは本当に難しい。



必須 必須を含むブックマーク

シンポ終了後の飲み会で二神氏と同席。

上山:「お金を稼ぐのは重要だと思うんですよ」

二神:「いやまぁ、継続可能な形ができれば・・・」*7

困惑されているように感じた。

二神氏には、「上山は、当事者やご家族を食い物にした金儲けをたくらんでいるのか」と思われただろうか。私は、「社会的に有意義な活動」ということ、あるいは「経営」という視点の重要性を(エールも込めて)申し上げたのだが。

こちらでも書いた通り、とにかくカネ絡みの議論をしないと話にならん。




*1:強調は引用者。 【参照

*2:数字だけは正確なはず

*3:【参照1】、【参照2

*4:永冨奈津恵氏によると、「サービス料が1千万円でもいい、とにかく契約前に料金を明示しているところは良心的。悪徳業者は、料金を言わずにサービス提供を一方的に進めてしまい、後になって数百万円の請求書を突きつけたりする」とのこと。当事者ご家族は注意されたい。

*5:「1時間100万円の値打ちはない」からと「代表者面接」を希望しないのが合理的判断だと思うが、もし仮にそれでも希望者がいるとしたらなぜか。そっちの理由の方が気になる。

*6:永冨奈津恵氏の説明

*7:逐語的ではないが、たしかこういうお返事だったと思う。

2005-03-29  確認

「急き立て」と「探求」の結婚 「急き立て」と「探求」の結婚を含むブックマーク

  • べんきょうを「面白がれる」こと
  • カネの話から逃げない
  • 独自エリート*1
  • 仕事を通じて怒る*2

ちょっと読者に不親切でも、自分が面白くなれる仕方をさがす。

いっかい御破算にして実験的混沌をもう一回たのしむ。

自分の事業は何なのか。


最も切実な探究心が最も切実な受動的急き立て*3と結婚する必要がある。

受動的に宿ってしまう怒りや急き立てがある以上、「のんびりしてればいい」なんて言えない。 忘れて「なかったことにする」のか。 「自分の怒りを殺さずにすむ仕事は」という選び方。

「怒ることにおいてエリート」。 事情通で原理的探究心もある。



疎外 疎外を含むブックマーク

業務がルーチンワークになると疎外が始まる。

怒りは自分を取り戻す方法でもある。

怒りを事業に変えること。

自分や他者に従事してもらえるルーチン・ワークを常態化するのが大変。



自発/強制 自発/強制を含むブックマーク

「自発性を強要される」というモチーフと、「強制されることを自発的に求める」*4というモチーフ。

  • 自分と他人の自発的要因の絡まり合い。 誰かにとっての自発が誰かにとっての強制を生む。
    • → 性愛・労働のマネジメントの根幹。




*1:決まったルールで優秀になるのみならず、メタに介入する、というか評価軸を独自に創造する

*2:怒る為に仕事する

*3:お金・排除・老い・怒り

*4:「洗脳されたい」

2005-03-28  『ユリイカ』 4月号 特集*ブログ作法

いただいている TrackBack(ありがとうございます)にもぜひ言及したいのですが、その前に。


発売中!! 発売中!!を含むブックマーク

ユリイカ2005年4月号 特集=ブログ作法 あるいはweblog戦記

ユリイカ2005年4月号 特集=ブログ作法 あるいはweblog戦記

いま読み中ですが、おもろい・・・。

『ユリイカ』という雑誌に、こんなにも手作り感満載の印象を持ったのは、自分の原稿があるからばかりではないと思うのですが、いかがでしょう・・・。 p.64 の写真も大きいな。


誤植訂正 誤植訂正を含むブックマーク

p.215の冒頭

【誤】 備考:経変化

【正】 備考:経変化


お願い お願いを含むブックマーク

私が選び出したブログやエントリー、あるいはその評価の方法について、異論のあるかたも多いと思います。 ぜひ、TBやメールにて、ご意見・ご感想をお聞かせください。

【追記: できれば「対案」を示してもらえるとうれしいな。 「自分なら、この10個を、こういう評価基準設定において選ぶ」というような。 → ネット上の延長企画として考えてみても面白いかも。


ホッ ホッを含むブックマーク

原稿作成の際、直接の窓口になってくださった栗原裕一郎(id:ykurihara)さんが、各執筆者について一言コメント。 自分のところを読んで破顔。 「迷惑かけちゃった・・・」という不安を打ち砕いてくれました。

執筆にあたっては、編集長の郡淳一郎さんからも、貴重なご意見をいただきました。

栗原さん、郡さん、本当にありがとうございました。


2005-03-26  プレイヤーのレベル分け?

『図書新聞』2718号 「お前もニートだ」(内藤朝雄氏) 『図書新聞』2718号 「お前もニートだ」(内藤朝雄氏)を含むブックマーク

某氏に送っていただき、入手。 即拝読。

・・・・強度と、主張のクオリティ。

べんきょうしなくちゃ、とおもった。

ここに書かれていることが、経済(お金)の話とどうリンクするのか、自分で考えたい。

あと、「ニート」を焦点に据えた議論は、やはり「ひきこもり」の深刻さを掬いきれない、とも感じた。



「法的な保護は、雇用期間が半年を過ぎて以後」について 「法的な保護は、雇用期間が半年を過ぎて以後」についてを含むブックマーク

id:matuwaさんより、「年次有給休暇」のことではないか、とのご指摘(ありがとうございます)。

「はたらくひと」にまつわる法律って、ものすごく複雑で入り組んでいて、逆に言えば、ものすごく整備されてるんですね・・・・。



「労働基準法」により 「労働基準法」によりを含むブックマーク

こちらの番組は「請負」の話でしたが、「派遣」最大手が摘発されたとの情報が。

 大阪労働局は24日、人材派遣最大手の「スタッフサービス」グループが会社ぐるみで社員にサービス残業をさせていたとして、都道府県単位で登記されているグループ会社のうち、大阪市に本社を置くスタッフサービス(大阪本部)と、持ち株会社「スタッフサービス・ホールディングス」(東京)、さらに同ホールディングスの岡野保次郎(やすじろう)社長(同本部会長)ら5人を労働基準法違反(時間外賃金不払いなど)の疑いで大阪地検に書類送検した。

 03年12月に自殺した大阪本部の元副支店長(当時32)の遺族が04年に同本部などを大阪労働局に告発していた。厚生労働省によると、サービス残業を会社ぐるみと認定して書類送検するのは異例。

 書類送検されたのはほかに同本部の中山堯(ぎょう)・前社長(現同ホールディングス専務)▽同本部の関西営業本部副本部長▽同ホールディングスの人事本部長▽同労務部ゼネラルマネージャー。

 大阪労働局によると、同本部は社員8人に対し、労使協定なしに03年7〜11月に1日最大4時間の時間外労働をさせたうえ、割増賃金計約225万円を支払わなかった疑い。同ホールディングスも03年1〜4月に社員17人に対し、同様に1日最大5時間15分の時間外労働をさせ、うち2人に対して同年2〜3月に割増賃金約2万円を支払わなかった疑い。

  • コメント:過労死などの問題に取り組む労働基準オンブズマン(大阪市)幹事長 松丸正弁護士
    • 「人材派遣会社は、本来、社員の雇用について他社の模範となることが求められているはずだ。労働基準法を甘く見ている企業は少なくないが、今回、トップを含めて人事の幹部も刑事処罰の対象としたことは評価できる。」*1

・・・・。

ものすごく危険な発言になってしまいますけど、

「不況下でも、サービス残業なしでやっていける」っていうのが、ふつうの会社なんでしょうか。

あと、経営者の人は、どんなに過酷に働いても「残業」じゃないんですよね?

「労使関係」のもんだいか。

自分で自発的に取り組む人と、そうではない人?


労働運動系(はっきり言えば「左翼」系)の闘争は、きっとものすごく大事なのでしょうけれど、あまりに無条件に「正しさ」を突きつけられると、少々戸惑ってしまいます・・・。「なぜ自分たちの努力が必要なのか」というところで、もう少しエネルギーというか、意思伝達の手間を取って頂けると、ありがたいというか・・・・。

「前提を共有しないのが前提」という、厳しいコミュニケーション環境についての省察が、必要だと思います。(決して、労働運動系の議論に価値がないというのではなく・・・・。いろいろ学びたいと思っているのですから。)



というわけで、 というわけで、を含むブックマーク

「フリーター漂流」をめぐるイベントから考えたことを、いくつか列記してみます。

あらかじめ断わっておけば、今回のイベント参加は、私にとっては一種の「フィールドワーク」になっていました。労働問題になど興味を持てるはずのなさそうな若年者たちと、「労働者の権利闘争」が当たり前だと思っている労働運動系の皆さんが同席したら、どんなことになるのか・・・・。

そのすれ違いと、あるいは鋭い対立について、少しずつ考えてゆきたいと思っています。





若年層における、「揉め事」要因の撤廃(1)――「情報」 若年層における、「揉め事」要因の撤廃(1)――「情報」を含むブックマーク

参加者の一人だった五条(id:hikilink)さんの感想には、次のように記されている(強調はご本人)。

 フリーターのなかには、自分が置かれている状況を理解できていない人が結構いるのだろうと思う。派遣や請負の形で労働することは決して悪いことではないのだけれど、収入や将来性の点において限界があることも事実である。こういった労働形態の正と負の両面を理解して働くのならよいのだけれど、何もわからず、ただなんとなく働いている人が多いのではないかと心配だ。 (中略)

 ドキュメンタリー作品の放映後は、大学教授(研究者・活動家)と労働組合の幹部さんによる講演が行われた。(中略)労働組合は必要だと思うけれども、ああいった場違いな話は正直つまらない

 私の問題意識は「フリーターの人にどうやって情報を伝えるか」ということに尽きる。こういうことがらは、個人の問題に還元するやり方であるから、労働運動的には批判されてしかるべきだと思う。 しかしながら、流動的な世の中で暮らしゆく私たちは、私たちとして生きていかなければならず、そのためには、やはり生きてゆくのに必要な情報をきちんと持たなければならない。

この感想から浮かび上がってくるのは、

≪個人として為し得る努力は、基本的に「情報収集」の一点にしかない≫という信念ではないだろうか。 「しっかりした情報収集能力さえあれば、的確な選択行動をとれる」、というか、「情報収集以外の局面で努力しても空しい」。

これは、ひきこもりに関する情報サイト管理人としての面目躍如ともいえる。 「闘争」を焦点とする労働組合系の取り組みとは対極的に、「揉め事にするよりも、現にある制度と情報において、可能なかぎり頭よく振る舞いましょうよ」という現実感覚ではないか。 ▼例えばそこでは、自分への改変行為は、「問題意識の洗練」ではなく、薬物を使った「チューニング」という形をとる*2

    • 上記引用箇所には、「こういうことがらは、個人の問題に還元するやり方であるから、労働運動的には批判されてしかるべきだと思う」とご自分で書かれているから、かなり自覚的な選択なのだろうが、労働法に関する話まで「場違い」と表現するのだから、よほど激しい違和感だったのだろう。

当然ながら、こうした現状肯定的な順応姿勢は、一方ではどうしても必要だと思う。「闘い」の要素が必要であるとしても、戦果を待っていては生きられないのだし、あるいはまた、「闘争」を口実にして、自分に有益であるはずの情報収集を怠っていいはずはない。

しかし、やはり問題は、課題を≪情報≫レベルに限定することによって、構造的・制度的・あるいは慣習的に被っているはずの不利益について、問題意識そのものが消失してしまうこと。情報を集めることでは乗り越えられないトラブルや不利益の要因というのもあるはずで、そうした事情については、(≪情報≫のみならず、)≪環境の条件≫や≪状況の論理≫そのものを俎上に上げざるを得ないはず。だから「有益な情報」には、自分の権利を守ってくれるかもしれない法律情報も含まれるはずだ。


たとえば id:hikilink さんは、「本人がその気になって情報収集すれば、いつでも苛酷な雇用環境を抜け出せる」といった前提で話していないだろうか? 「環境要因を放置するかぎり、努力しても抜け出せませんよ」というのが、昨今の「不平等」論であると、私は認識しているのだが・・・・。

――しかし、「現状の環境要因と自分の属性のままでも、やればどうにかなるかもしれない」というのは、たしかに希望のある話で、こうした抜け道の可能性については、私もすぐに否定したくはない。いわば、「変な活路」の可能性。



若年層における、「揉め事」要因の撤廃(2)――「やり甲斐」 若年層における、「揉め事」要因の撤廃(2)――「やり甲斐」を含むブックマーク

同じ問題は、話を≪やり甲斐探し≫に限定してしまったAさんにも言える。

環境要因が問われないのであれば、私たちに為し得る努力は、「たくさんの人や仕事に出会って、≪やり甲斐≫に出会うこと」に限定される。そうしてようやく「やり甲斐のある仕事」に就けたとして、しかしそこでもし“順応”できなかったとしたら。 → ≪状況の論理≫が間違っていないとしたら、自分(およびその自分を育てた親)のせいでしかあり得ない。脱落について、ひたすら自分を責めることになってしまわないだろうか。

――いやしかし、「やり甲斐」さえ見出せれば、外部から見ていかに「非人間的な」労働環境に見えようとも、構わないではないか、というわけか。

それはそれで一理ある・・・・。



「合わせ技」*3 「合わせ技」*3を含むブックマーク

図式的に言えば、労働運動系には≪偶然の出会い≫という要因がなく、若年層系には、戦略的に≪粘り強く取り組む≫という要因がない。

労働運動系の闘争論理に凝り固まるのでもなく、かといってニヒルな情報屋や、ロマンチックなやり甲斐主義に淫するのでもない――そういう「合わせ技」が必要だ、ということだろうか。

例えば次のような。

「雇用環境改善は一方で確かに重要で、必要ですらあるけど、正社員雇用にもリスクはあるし、いちいち≪闘争≫抱えて不利益こうむるよりは、ひたすら順応主義の短期就労を重ねて、テキトーに泳ぎ渡っていく選択肢があってもいいよね」*4



他人事? 他人事?を含むブックマーク

そこであらためて考え込んでしまうのは、全員が老いてゆくという現実だ。

スキル蓄積を持たず、場当たり的・刹那的な短期就労を重ねるだけの人間は、中年期を迎えて以降、どのような雇用環境にありつくことができるのか? (低賃金を渡り歩いているから、当然貯蓄もない。)

自分の置かれた状況において、やはり≪たたかう≫という要因が、たくさん残されているように思うのだが・・・・。

「戦うこと」が不利益なのか、「戦わないこと」が不利益なのか。



「トラブル順応能力」こそ 「トラブル順応能力」こそを含むブックマーク

実はこうした疑問は、「慣れ」を強調する斎藤環氏や、「いい加減」を提唱する玄田有史氏についても感じている。

お2人の提言は、≪雇用環境への順応≫という至上命題をめぐって、「やりたいこと」や「出会い」といった要因には触れるが、実際に参加した労働現場での、≪たたかう≫というファクターには、触れてくれていないのではないか。

引きこもり状態に苦しむ当事者が、万難を排し、必死の思いで就労しても、このような労働環境しかなく、そこに順応するしか許されないとしたら。 専門技能のなさとトラブル耐性の低さゆえに、「隷従する」しかないとしたら。 引きこもり系の人は、人間関係が苦手だから、労働組合系の“共闘”に関わることも難しい。

――戦えないまま労働現場に復帰しても、「孤立して消費される」存在でしかあり得ないのではないか。

    • 主観的に「それでいい」という納得が生じればそれで充分なのだけれど。そもそも「仕事をする」とは、何らかの形で自分が「消費される」ことであるだろうし。



仕事を通じて怒り、怒りを通じて社会につながること。 仕事を通じて怒り、怒りを通じて社会につながること。を含むブックマーク

さっきから、「戦うこと」の益と不利益について話しているが、そもそもこれは、「現場復帰したい」「生き延びていきたい」という欲望(自発性があってこその話。ひきこもりにおいては、この最も根幹的なファクターこそが最難関なのだ、という話を、私はこのブログで延々してきた。*5

斎藤環氏の「慣れる必要がある」という発言は、そういう限界状況を連想しつつ吟味すべきなのだと思う。医師が「苦痛緩和」や「人命尊重」をミッションとして掲げた時に、≪慣れましょう≫とアドバイスするのは、何も不思議な話ではない。

しかしそこであらためて、「戦う」という要因の重要性を、検討したくなる。むしろ、「戦う」という要因を排除するからこそ、苦しくなるのではないか? 自分の(社会的な)苦痛に取り組むとは、それ自体が「社会的な戦い」と連動するのではないか。 みずからの怒りに取り組む、というミッションを真剣に考えるなら。*6

なんにしろ、≪順応する≫という努力の中に不可避的・必然的に混入してしまうはずの≪敵対≫要因に、僕らはもう少し目を向けるべきではないか?



≪トラブル≫のレベル分け――「業務内容」と「雇用環境」 ≪トラブル≫のレベル分け――「業務内容」と「雇用環境」を含むブックマーク

玄田有史氏『14歳からの仕事道 (よりみちパン!セ)』には、「毎日がトラブル」という節がある(p.102)。

少し引用してみる。

そもそも仕事に、必ずこうしておけば絶対安心で大丈夫、ということはありません。今まで自分が経験したことがないようなトラブルは、しょっちゅう起こります。本当に毎日のようです。

(中略)

生産現場でトラブルや故障が続くとき、どこに原因があるか、その対応策を働く一人ひとりが真剣に考える。働く現場で毎日、そんな異常や不確実と格闘してきた経験を持つ人は、新しいトラブルに対しても、想像力を働かせて、自分の力で対応することができるようになる。

(中略)

トラブルを楽しんだほうがいいとまでは言いませんが、どんな職場でも必ず起こるトラブルと闘い続けて、それを乗り越えた瞬間こそが、もしかしたら仕事をすることのいちばんの醍醐味、やりがいを感じる瞬間、なのかもしれません。

とても得心のいく主張。

――しかし、ここで触れられている「トラブル」は、どうやら≪業務内容≫(顧客やノルマとの関係)*7に関してであって、≪雇用環境≫(労働運動系)*8に関するものではない。*9

そして実は私自身も、これまでは玄田氏的な意味において、「トラブル」という言葉を使ってきたように思う。



≪たたかう≫――メタとオブジェクト ≪たたかう≫――メタとオブジェクトを含むブックマーク

  • (1)五条(id:hikilink)さんの口にされているような「情報収集を頑張ろう」という努力(呼びかけ)は、オブジェクトレベルにおける闘争だといえる。環境の論理を問わず、そこに成立しているルールを遵守しながら、ゲームに勝つことを目指すこと。
  • (2)いっぽう労働運動系の努力は、「いま自分が帰属しているゲームのルール」自体を変えてしまおう*10というものであり、いわばメタレベルに関与する、みずからがメタに立脚した闘争努力であると言える。

(2)が有効であるとは信じられず、(1)の戦いに腐心することで生き延びようと悪戦苦闘している若年層に、(2)を前提にした議論や共闘を呼びかけても、なびいてくれるわけがない。



攻略法 攻略法を含むブックマーク

与えられたルールを遵守して生き延びようとする姿勢は、「ゲームの攻略」と似ている。

たとえば↓

# id:yodaka 『工場での期間労働はうるさく経歴を問われることがないので、履歴の空白に悩んでいる人にはメリットになり得ますね。』

「入り口の関門を突破するのは簡単だけど、中に入るとメチャクチャ単調で益のない労働が待っているお城」に入るのか、あるいは別ルートで、「入るのは難しいけど、中では結構おいしい仕事が待っているお城」を目指すのか。いやそもそも、自分の残りHP*11(回復不能)では、入れないお城しか残ってないのではないか?――というような。

    • 「ったく、糞ゲーが」とかつぶやきつつ、ゲームソフトを交換できるとうれしいのだが。*12
    • 労働運動は、いわば「自分でゲームソフトを書き換える」ことに相当するか。 「高得点を取れないのは、ゲーム・ルールが悪いからだ」というような。


違いを、あらためて言葉にしてみる。 違いを、あらためて言葉にしてみる。を含むブックマーク

  • 労働運動:「雇用環境を改善し、正社員雇用を目指し、闘おう!」 【ゲームの書き換え】 (メタ)
  • 若年層:「どのみち状況は変えられないんだから、適応スキルだけを身につけよう(「裏ワザ」とか)。 自分が続けていけそうなゲームをとにかく早く見つけよう。」 【素朴なゲーマー】 (オブジェクト)



「用語の生命」と、政治性 「用語の生命」と、政治性を含むブックマーク

ここで注目したいのは、(これは私自身にも関わることだが、)オブジェクトレベルへの転落とメタレベルの喪失(問題意識の消失)によって、既存の議論文脈では現役の命脈を保ってきたはずの一つ一つの単語やフレーズが、すでに過去のものと扱われているのではないか?ということだ。

こちらで記したが、私は、私とさほど年が離れているようには見えない*13発言者たちのやり取りが、ほとんどまったく理解できなかった。 → 「言語が理解できない」ということと、「問題の所在が理解できない」ということとは、完全にリンクする。

たとえば、こうした雇用問題で必ず出てくる≪搾取≫という用語は、今の20代以下の世代において、どの程度共有可能なのだろう*14。 多くの人にとって、この単語はもはや歴史用語ではないのだろうか。

→ 議論するときの用語選択のレベルに、すでに政治的主張が潜んでいる。ある単語を使うとき、あるいはそれを棄却するとき、私たちは、それに応じた政治的立場をすでに選んでしまっている。

    • ゲームの喩えをさらに続けるならば、「『ゲーム書き換え』を目論む古い世代にとっては必須のプログラム言語を、若い人はもはや習得しようとはしない」という感じだろうか。与えられたゲーム内でのアイテム収集や高得点・裏ワザ奪取に熱中している人は元気だが、「自分にはこのゲーム*15は無理」と思っている人は、努力すら始められない、というような。



「ブラックボックス」と遊技場 「ブラックボックス」と遊技場を含むブックマーク

こうしたことを考えていて、以前も引用した宮台真司氏「ディズニーランドの秩序に異を唱えるものは抹殺する」の一節を思い出した(強調は引用者)。

 ネオコンは言います。近代の表層にある多様性と存分に戯れてください。既存の多様性で足りないなら、そこに新たなゾーンを付け加え、その島宇宙に生きてください。他のゾーンを侵害せず、深層のアーキテクチャーに手をつけない限り、ムスリム・ランドも、北朝鮮ランドも、超OK。しかしディズニーランドの秩序自体に手をつけたなら──他のゾーンや深層アーキテクチャーを侵害したら──直ちに抹殺するぞ、と。

 このようなネオコン的な、ある種の近代的普遍思想は、みなさんににとって縁遠いどころか、非常に馴染みやすいものであるはずです。近代的なシステムの便益を存分に享受しつつ、しかし、システムを支える深層のアーキテクチャーは完全なブラックボックスになったまま、意識にも昇らない。それが、グローバリゼーションの世界を生きる私たちの日常的な実存であるはずです。ネオコン的なスキームは、私たちの実存と表裏一体なのです。

私のしていた話との関連でいえば、「ディズニーランド」=「日本(企業の置かれる社会環境)」、あるいは法制度云々、でしょうか。

 一口でいえば、デプスが深く、見通しがたいがゆえに、大ボスにいいように牛耳られて、当事者の利益が侵害されがちなアーキテクチャーを排して、代わりに、デプスが浅く、見通しが利くがゆえに、大ボスに牛耳られにくく、当事者が自らの利益を保全しやすいアーキテクチャーに、移行しようとしているわけです。  (中略)

 自分たち──範囲はオープンに考えてください──が大ボスのいいように牛耳られる状況を回避し、自分たちのことを自分たちで決めることができる自己決定=自己責任型のアーキテクチャーに移行しようとする動きであること。そして、そのことによって、自分たちが入れ替え可能な存在になるのを回避しようとする動きであること。それが、いちばん重要です。「食えればいい」時代は、既に終わったんですね。

若年層は、遊具(会社)は選ぶけど、つまらない遊具は無視するし、「ディズニーランドそのもの」をいじろうとはしない。

労働運動は、ディズニーランドそのものをいじろうとするし、一つ一つの遊具の安全性についても点検し意見する、という感じでしょうか。

いや、できれば、どれか一つの遊具の管理人か、あるいはディズニーランドそのものの経営サイドに回ることも視野に入れつつ、考えたいのですが・・・。

――そしてもちろん、引きこもっている人は、そもそもディズニーランドに出て来れない。*16


(長くなりすぎたので、続きはまたあらためて。)



「やらなあかん仕事」 「やらなあかん仕事」を含むブックマーク

ひとまずリストアップしてみた。




*1:朝日新聞2005.3.25付記事。某MLの投稿から孫引き。

*2:この点については以前も触れた

*3:この表現は、横浜イベント時に岩田充功氏が使われていたものです。

*4:私が勝手に作文しました

*5:そこでどうしても、≪転移≫という要因が必要になる。 転移に導かれつつ、バトルが始まること・・・。

*6:それは必ずしも、労働運動系の活動である必要はないのだと思う。

*7:オブジェクト・レベル

*8:メタ・レベル

*9:これは私の勝手な連想だが、「制度論的精神療法」の議論が、この「業務環境の双方おいて戦う」というモチーフと、関連するように思う。

*10:「ルールを変えられないか」という指摘は、大野正和氏もされていたように思います。

*11:「Hit Point」。ゲーム内でこれがゼロになると死んでしまう。「残り体力」みたいなもの。 ▼ゲーム内には、この数値が一定レベル以下では入れない場所があったりする(らしい)。

*12:できればついでにゲーム機も。スペック悪いよ。

*13:ひょっとすると私が年上かも

*14:36歳の私の世代ですら、共有はほとんど不可能だ。・・・・と世代論に落とし込もうと思ったのだが、私の同世代は、大卒時の就職活動時期がバブル期に重なる。 ▼景気動向と、若者の用語選択とは、何か関連があるのだろうか。というかそういう話ではないのか。

*15:現実社会

*16:先日の比喩で言えば、「過去に食中毒を起こした」にあたります。

2005-03-25  イベントルポ : 「『フリーター漂流』を見る、聞く、議論する」

3月21日、大阪でのイベント 3月21日、大阪でのイベントを含むブックマーク

「NHKスペシャル『フリーター漂流』を見る、聞く、議論する」にお邪魔してきました。いろいろ考えたので、メモ的にレポート。

【★おことわり★:以下、たくさんの発言が引用されますが、いつもながら「逐語的引用」ではありませんし、ご本人たちの許可や校閲はいっさい得ていません。 ▼私は、労働問題についてまったくの素人であり、今回のレポートはいわば、「学部1回生によるゼミレポート」みたいなものです。語の運用間違いなどのご指摘は大歓迎ですのでよろしく。 ▼以下、多くは敬称略。




司会(主催)の樋口明彦氏より冒頭挨拶 司会(主催)の樋口明彦氏より冒頭挨拶を含むブックマーク

樋口:「私はニートや引きこもりの研究をしていますが、今日は若者論』と『労働問題』を同時に考えたいと思って、このような形で企画してみました」

会が進むにつれ、この言葉がじわじわと効いてくる。



番組上映 番組上映を含むブックマーク

私は初見でした。私としては大事な情報が多かったり、個人的な言語訓練としても意味があると思うので、番組内容を少し詳しく書き記す作業をしてみます。

  • 冒頭
    • 21才男 : 「人間ロボットですよ」
    • 22歳女 : 「私の代わりはいくらでも居る」


  • 事例1:山端昭宏氏(21)
    • ファッション・アパレル関係希望/中学卒業以来定職経験なし/通信で高卒資格を目指す
  • 失業率が全国第1位の北海道(24歳以下は10%)
  • 請負会社*1が面接
    • 北海道で時給は平均700円/栃木で時給900円が見つかる(40時間残業で234000円)
  • 正社員雇用を手控える企業と、短期就労を重ねるフリーターとを請負会社がつなぐ。フリーターは請負会社の「短期契約社員」となる。
    • 1つ1つの商品の寿命が短く、生産ラインが次々に変わる携帯電話メーカーでは、生産ラインを機械化していては採算が取れない。 → 極端に機械的な単純作業を、人間にしてもらう必要がある → 生産変動のたびに、何のスキル蓄積も生じない「短期の単純作業」への人員補充を、請負会社に頼むことになる。
    • 1人1人のフリーターは「タマ」*2として、生産ラインの都合に合わせその都度補充される。
  • 管理者のちがい:
    • 「派遣」:働く人は、勤め先の企業の下に入る
    • 「請負」:働く人は、請負会社の下に入る
  • めまぐるしく変わる生産ライン。当日の朝に、メーカー側から請負会社スタッフに「ライン変更」が告げられ、このスタッフがすぐさま現場に告知する。戸惑うフリーターたち。
    • ナレーション:「仕事をもらっている請負会社は、メーカーの要求は断わらない」
    • 「急な移動も、請負会社に一言いえば解決。 労働基準法で守られる『派遣』では、こうはいかない」*3
  • 事例2:橋掛輝人氏(35)
    • 札幌出身/ホテルや旅行会社など5社の面接を受けるが落ちる/ようやく請負で見つける
    • 橋掛さん : 「細かい仕事はイヤとか、朝眠いとか、若い子みたいに言ってられない」 「これ以上シタはない、上みて前向きにやる」
    • 手先は器用ではない。 親が、初めての独り暮らしを心配していろいろ送ってきてくれた。 自家製の、土のついた人参など。
    • 去年まで、橋掛さんは父親と運送会社を営んでいた。しかし不況下の競争の中、下請けまで降りてくる仕事は激減。 「1km走って90円」の仕事にしかならず、親子で働いて「1ヶ月7万円」にまで収入が落ち込む。 → 仕方なく息子が他の仕事へ。
  • 山端さん、9月1日に就労し、2つ目の工場で9月7日に解雇。
    • ラインで少し休んでいる時に注意を受けたが、注意者の言葉遣いに「カチンと来て」口論となり、パレットを投げつけてしまった。翌日、請負会社の担当者が寮まで説得に来て、「自分が悪いと認識してもらわないと困る。そうすれば再雇用の用意がある」と言うが、山端さんは「自分は悪くない」と言い張り、そのまま解雇。
  • ナレーション:「半数が、契約期間の半年もたずに辞めていく」
  • 請負会社はすでに1万社、1兆円産業
  • 行政の指導として、製造現場への人材派遣を解禁。 人員調整を請負会社に頼る。
    • 製造業に送り込んでいるフリーターは100万人を超える。
    • 請負会社スローガン : 「必要な時に必要な人材を」
    • 請負会社スタッフ : 「社会貢献してますよ」
  • 事例3:當野貴也氏(25)、妻・あゆみ氏(22)
    • 結婚した今もフリーターを辞めるつもりはない。「やりたい仕事が見つかるまで、妥協したくない」
    • 製造業現場での経験が豊富なため、メーカーとの調整やノルマ達成管理など、現場でのリーダー役を任せられるが、時給は他の人と同じ900円。
    • 「過労とストレス」(医師の診断)で38度の熱を出して寝込み、1週間近く仕事を休む。遅れを取り戻そうと張り切ってラインに復帰したが、担当製品の売れ行き不振で生産量が落ち込み、残業で稼ぐつもりだったのに、勤務時間が余ってしまうほどノルマが少ない。
    • 給料日。月に19日働いて(残業8.5時間)、「6万7000円」。前月より8万円減。将来の子供の教育資金なども考え、貯蓄もしたいのに、これでは貯蓄どころか取り崩し。
    • 請負会社側に「やめたい」旨を伝えると、「現場のリーダーに突然やめられては困る」と慌てられ、30分説得される。しかし「残業も合わせ、月収14万円前後と聞いて契約したのに話が違う」云々と抗議。 結局やめる。
  • 橋掛さん : 「職場を転々としていて、これでは将来につながる技能は身につかない」 「40歳・50歳になってまで『このまま』ってわけにはいかない」 → 親に相談しないまま請負会社の仕事を辞めてしまう。
    • 帰郷した息子に対して父親 : 「我慢するのが仕事だ」「あきらめるな」「逃げるな」云々と説教。 請負会社経由の雇用現場の実状が、父親にはまるで理解できないらしい。 黙って聞く橋掛さん。
  • 當野さんは、請負会社を通さず、直接工場に掛け合ってアルバイト雇用の形を得た。時給1050円。
  • 山端さんは帰郷後、工事現場の仕事を半月で辞める。実家に居づらくなり、今は友人宅に居候。
  • 橋掛さんは4ヶ月ぶりに本格的な就職活動。しかし請負会社窓口の男性から、「あなたの条件だと、非常に過酷なのが1件だけ」。車の組み立てラインで、ものすごい量の部品を立ちっ放しで取り付け続け、ノルマは1日に300台。担当者:「35歳*4というのは、製造業の現場のリミットなんですよね」



番組上映終了後、司会の樋口明彦氏が

の2点を焦点として挙げた。




脇田滋氏:「請負労働の現状と課題」(研究者の視点) 脇田滋氏:「請負労働の現状と課題」(研究者の視点)を含むブックマーク

脇田氏は法学部の教授でいらっしゃるのだが、労働者の権利闘争をめぐり、発言が法律用語で徹底的に武装されている感じで、必死に集中して聞いていてもなかなか理解できなかった。

以下、理解できた範囲だけを断片的に記す。



(真の)請負の4つの要件: (真の)請負の4つの要件:を含むブックマーク

  • (1)作業の完成
    • 請負とは、当事者の一方がある仕事の完成を約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約することをいいます。」
  • (2)作業指揮
  • (3)使用者責任
    • 「エンド・ユーザー」という言葉があったので、「直接雇用・間接雇用」の話でしょうか。
  • (4)原材料・機械
    • もとは「自前調達」が前提だったが、第二次大戦終結時に「経験があればいい」に緩まったとのこと。

(よくわからん・・・)



職業安定法・第44条(労働者供給事業の禁止)*5 職業安定法・第44条(労働者供給事業の禁止)*5を含むブックマーク

何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。

正社員とフリーターとの「混在労働」が隠れ蓑になっている、と脇田氏。



脇田:「憲法27条の空洞化」 脇田:「憲法27条の空洞化」を含むブックマーク

以前 id:matuwa さんが、「勤労の義務」との関連で取り上げておられた第27条。

  • 憲法第27条 【勤労の権利及び義務,勤労条件の基準,児童酷使の禁止】
    • (1)すべての国民は,勤労の権利を有し,義務を負ふ。
    • (2)賃金,就業時間,休息その他の勤労条件に関する基準は,法律でこれを定める。
    • (3)児童は,これを酷使してはならない。

フリーター漂流」との関連で問題になるのは(2)で、「労働基準法」との関係が問われているんだと思う。



脇田:「≪派遣法≫というのは、高梨昌(たかなし・あきら)氏がゴマカシに作った言葉。」 脇田:「≪派遣法≫というのは、高梨昌(たかなし・あきら)氏がゴマカシに作った言葉。」を含むブックマーク

「派遣労働」とは本来、「一時的な、短期のもの」なのに(だからこそ成立する経営者受益的な雇用関係)、日本では「長期の間接雇用」にも「派遣労働」という言葉があてられており、この用語法が労働者に不利益な雇用事情を隠蔽している、というご指摘なのだと思う。

脇田氏のサイトに説明文があったので、引用してみます(強調は引用者)。

 日本では、派遣労働を本来の「一時的労働(temporary work)」ではなく、「派遣された労働(dispatched work)」とする、「欺瞞的な用語法」が労働省やその関係者によって使用され、一般化してしまっています。 しかし、外国では派遣労働は、あくまで「一時的労働」です。 つまり、「長期の派遣」は、本来の訳では、「長期の一時的労働(temporary work)」となり、根本的に矛盾します。 そこで労働省や一部の研究者は、その矛盾をよく知っていて、意識的に「dispatched work」という用語を使って、日本では「長期の派遣(dispatched work)」が問題にならないという「すり替え」論理でゴマかそうとしてきた訳です。 この論理は、国際的にはまったく通用しないものです。



同一労働同一賃金「同一労働同一賃金」を含むブックマーク

配布された資料に「イタリア全国派遣労働協約」が引用されており、その第19条「賃金:派遣先企業の従業員の賃金を下回らない」が強調される。日本では、同一労働であっても賃金はフリーターが(正社員より)格安。



脇田:「派遣法は労働組合破壊法だ」 脇田:「派遣法は労働組合破壊法だ」を含むブックマーク

ここで樋口明彦氏がボードに以下を板書したのだが、全体の整理かな。

  • 派遣法の前提
    • (1)有期雇用の事由制限
    • (2)同一労働同一賃金
    • (3)労働組合

脇田氏:「日本の雇用状況はあまりに異常である」



ニコン熊谷・ネクスター事件 (メンタルヘルスの破壊) ニコン熊谷・ネクスター事件 (メンタルヘルスの破壊)を含むブックマーク




泰山*7義雄氏:「フリーター問題に対する労働組合の役割」(労働組合の視点) 泰山*7義雄氏:「フリーター問題に対する労働組合の役割」(労働組合の視点)を含むブックマーク

北摂地域ユニオン のかた。ご自身で「私は感想を」とおっしゃっていたし、箇条書きにする。

  • 法的な保護は、雇用期間が半年を過ぎて以後。*8
  • 労働組合を作っても、会社自身がもたない。本当に立場が強いのは派遣先の会社(メーカー)であって、請負会社も立場は弱い。権利を主張しても、「あんたの会社はもう要らない」と言われたら終わり。
  • 現場で権利主張したら次期に雇ってもらえない
  • 請負会社の社員が「私たちは社会に貢献している」と言っていたが、「企業に貢献している」だろう
  • 女性の半数は有期雇用
  • 100人未満の企業では、労働組合組織率は1.3%*9
  • 「使い捨て雇用」の時代
  • 「フリーター417万人」は「甘え」じゃない。 自分で生きるすべを手にして欲しい。
  • 「個人が安定を得るのは、企業責任ではなく自己責任」という流れがある
  • 月収20万円未満の人が全体の78%*10
  • あれだけ働いても生活保護レベルに満たない、というのは憲法違反だ




ディスカッション ディスカッションを含むブックマーク

主催の樋口氏によると参加者は56人とのことだが、会場には労働問題に関係する様々な方がおられたようだ。



会場質問:「職業安定所*11の役割と現状は?」 会場質問:「職業安定所*11の役割と現状は?」を含むブックマーク

会場にいた職安職員の女性が返答。

  • 職安(ハローワーク)の職員自身が、半分は非常勤であり、時給数百円
  • 正社員はバトルできるが、非常勤にはできない

ここで、かなりリアルな現場の活写が。

  • 「何人でやってるのか」「どこでやってるのか」という質問を請負会社は嫌がる。
    • 派遣先を明記していない求人票は多い。(派遣先が知れると、応募者本人が自分で派遣先企業に問い合わせることが多く、それでは請負会社がアガッタリになるから)
  • 「こんな求人よく受けたな」と思うことが多い。職業安定法違反の求人内容を、職安が平気で引き受けている。
    • 発言の最後に笑顔で「職安を指導せよ」。会場笑い。

ここで、質問者と返答者の間でいくつか言葉の応酬があったのだが、「何もしていません(笑)」という一言が分かったぐらいで、必死に集中して聞いていたにもかかわらずやり取りの内容は信じられないぐらいに理解不可能だった。――「理解不可能」といっても、やり取りの内容を批判しているのではなくて、文字通りの意味で「難しすぎて分からなかった」という意味です。 ホント、外国語みたい・・・・。

  • 脇田氏:「職安が派遣会社や請負会社から求人を受けるのはおかしいのではないか」
    • 「労働行政が弱い。下からの突き上げで行政の姿勢を正す必要がある」
    • 「京都の民主的大学が派遣会社を作ってるのが実状」
    • 「『使用者責任』を問うべき。いちばん利益を得ているのは工場だ」


会場質問:「雇用の話は、発言者自身が自己言及的に自分のことを問われるのではないか。」 会場質問:「雇用の話は、発言者自身が自己言及的に自分のことを問われるのではないか。」を含むブックマーク

質問者は、龍谷大学に教授職で勤務されているという脇田滋氏を名指しで指名。「先生は勤務先で戦っておられるのですか」。

  • 脇田氏:「非常勤講師はフリーターみたいなもの」
  • 「語学教師の半分は非常勤講師」
  • 単組(単位労働組合)が大反対」という発言があったが、どういう内容だったか不明。
  • 脇田氏:「雇用について、多くの人は『こういうことが問題だ』という意識すらない」

他にも何かおっしゃっていたはずだが理解不能。

脇田氏の回答後、質問者から「キビシイ質問、すみませんでした」。



「若者」たち*12 「若者」たち*12を含むブックマーク

20代の発言者5人中、3人が私の知人で、残りの2人も「知人の知人」。

発言順はこの通りではないが、発言の大意と、私の感想を少し。

  • Aさん:「私もフリーターで、朝8時〜夜11時という勤務もあるが、やり甲斐がある」
    • やり甲斐を見出せていない人は不幸、というだけで、労働環境の話はなし。
  • 五条(id:gojopost)さん:「少ない収入でケータイ代1万5000円とか、アホやなぁと」
    • 会場苦笑。「いかにも現代の若者ふう」と聞こえてしまったか。
  • Bさん:「労働組合というが、不況なのだし、権利闘争ばかりでは会社が潰れてしまうのでは?(笑)」
    • あえて最後に「(笑)」と入れてみた。誤解かもしれないが、終始「組合活動なんてもう時代遅れ、そんなのあたりまえでしょ」という雰囲気を感じた。
  • id:nopiko さん「『憲法違反』という言葉があったが、憲法は国を規制するものだから、違反できる主体は国。」
    • 法学部生だという nopiko 氏の問題提起。憲法と労働基準法の関係とかの話なんだろうか。宮台真司氏などが口にされる「法律文書リテラシー」*13の必要を痛感。
  • Cさん:「以前は正社員をやっていたが、体を壊し、毎日『9時〜5時』で働ける状態ではなくなった。もう正社員には戻りたくない」
    • 正社員になること自体がリスクを伴う、という話だと思う。労働運動系の人たちは鼻白んだように感じたが、気のせいか。


「競争」 「競争」を含むブックマーク

こちらも引用と私の感想。

  • 大野正和氏:「自由競争がまったく成立していない。非常に不公平。どうせなら完全に自由競争にしてほしい」
    • うまく聞き取れず。しかし過労死問題をされている大野氏が「自由競争を!」と言われたのは(いい意味で)意外。
    • あらためて、「雇用・労働問題」と「思想」のつながりを感じる。≪労働≫って思想の話なんだね。

(会場発言は他にもあったのだが、内容を理解できなかったり、覚えていなかったり。)



パネラー締め、閉会 パネラー締め、閉会を含むブックマーク

  • 脇田氏:「20年以上派遣労働の問題をやってきたが、本来の労働組合を作るしかない。ヨーロッパが一つのモデル。」
  • 泰山氏:「労働組合しかない。労働組合法はイイ。」




次のような構図は明らかだったと思う。 次のような構図は明らかだったと思う。を含むブックマーク

 労:「闘争せねば!」

 若:「なんで?(笑)」*14


これをめぐってまた膨大なことを考えたので、続きはまたあらためて。




*1:番組で映っていたユニフォームには「NIKKEN」という会社名が見えた。日研総業だろうか。

*2:請負会社スタッフの表現

*3:【参照

*4:もうすぐ36歳と言っていたから、橋掛氏は私と同学年だ。

*5:「職安でも知らない人が多い」と脇田氏が指摘すると、会場笑い。

*6:原告代理人(弁護士)は『過労自殺 (岩波新書)』著者・川人博氏

*7:やすやま

*8:ネット上に条文などは見つからなかった。

*9:【参照

*10:【参照

*11:なぜか「ハローワーク」という言葉を誰も使わなかった

*12:「若者」なんていう言い方がすでにアレだが、ここではひとまずこう言っておく。

*13:【参照1】、【参照2

*14:2ちゃんねる用語に馴染んだ人の表記だと、「なんで?w」となるでしょうか。小文字の「w」は、「冷笑・自虐的な、仲間内的笑い」を表します。

2005-03-20  打ち合わせメモ

19日に知人たちとした議論、それに20日に三脇康生氏と電話で交わした議論が非常に重要に思えたので、ここに簡単にレポートしておく。提起された論点のメモと、私の考えを少し。 花粉症と風邪で目かゆいし喉痛いし頭ボーっとしてる。 げほごほ。



「働け!」 → いや「コミュニケーション重視」 → やっぱ「とにかく現場へ」 「働け!」 → いや「コミュニケーション重視」 → やっぱ「とにかく現場へ」を含むブックマーク

これまでの良心的・民主的ひきこもり支援においては、「働け!」という暴力的説教への抵抗という意味もあり、「まずは(支援施設などで)コミュニケーション能力を身につけ、それから就労へ」という、2段階の道筋が重視された。拙著にもこの記述がある*1

しかし、就労には必ずしも(「分かり合う」という意味での)「コミュニケーション能力」は必要ない。あるいは、支援関係や仲間内関係において経験される「コミュニケーション」と、仕事において必要な言説能力は同じではない。仕事においては、「分かり合うコミュニケーション」ができなくても、「打ち合わせ」や「交渉」が出来ればいい、というかそっちの方が重要。

玄田有史氏は横浜イベント時、「コミュニケーション能力というのは、相手の言うことが分からなくても『ええ、ええ、そうですね、ええ』とうなずける能力のことだ」と言って会場の笑いを取っていたが、これは実は、「就労に求められるとされるコミュニケーション能力のハードルを下げる」という意味があるとも言える。 → 「コミュニケーションができなければ!」とノルマ的に考えすぎて、かえって何もできなくなっている当事者への助言として意味があるのではないか。 ▼「まずコミュニケーション、それから就労」というステップの作成が、かえって社会参加のハードルを高くしている現場の事情がある。

関西のある支援関係者は、「コミュニケーション能力については、『挨拶』が出来さえすればればいい、あとはとにかく実際に現場に入ってみること」と言っているらしいが、同じ趣旨だろう。

つまり、「甘えるな、働け!」という道徳的説教の問題ではなく、プラグマティックな支援方法論の問題として、「コミュニケーションなんて出来なくていいから、とにかく現場に入ってみな」という勧め*2。 入ってみれば、そこにはイレギュラーな出会いや≪驚き≫もあるかもしれない。

私自身、フリースペース的な“居場所”(およびそこでの「雑談」)が苦手で、しかし設定課題が明らかな「ミーティング」や「講演」なら元気にできる、と以前から不思議に感じていたのだが、今回もらった上記整理は、個人的に非常に納得できた。



「同調圧力」 ←→ 「打ち合わせ能力」 「同調圧力」 ←→ 「打ち合わせ能力」を含むブックマーク

「コミュニケーションこそが重要」とする要請の抑圧性。

「分かり合う」ことなど出来るわけがないのに、「無言の信頼関係」が要求されるのはおかしい。

日本の学校や職場においては、「コミュニケーション能力がある」とは、あるいは「大人になる」とは、「同調圧力に屈することができる」ということではないか。それに同調することができない人間が、イジメの対象になったりしないか。あるいは自分がどうしても譲れない問題意識に固執していると、「話し合いのできない奴」「社会性がない」「コドモだ」「キチガイ」*3などと言われる。

本当に重要なのは、「仲良くする」「分かり合う」という意味での「コミュニケーション能力」ではなく、「トラブルに対処する」という意味での「打ち合わせ能力」などではないか。



「譲歩するな」 「譲歩するな」を含むブックマーク

「欲望を諦めるな」*4という場合、それは「じゃあ1日中ゲームばっかやってよ」なのか、それとも別の何かなのか。僕は後者の意味でしか興味がない。

ひきこもり当事者が現場の変革要因であるとしたら、本人なりの「譲歩しない」が、地に足のついた話になるしかない。「地に足のつきすぎた」、つまり現状追認しかできない迎合主義の人たちにまみれて、しかし机上の空論でしかないような理想主義でもない、ビジョンを口にしつつもリアルであり、かつリアルでありつつも単なる順応主義ではない。そういうきわどい要因を生きられなければどうしようもない。というか「譲歩するな」は快感原則ではなく死の欲動に関わる。

ていうかなんでいきなり精神分析。



当事者の方向性 当事者の方向性を含むブックマーク

「当事者が発言する」ことについての、いくつかの問題。

ひきこもり状態を経験した人間が、「(上山のように)当事者発言を試みる、そこに固執する」ことで、かえってその当事者(経験者)の人生を停滞させるのではないか。そんなことをするよりも、ひきこもりなどという人生経験はいっさい忘れて、あるいは「なかったこと」にして、知らん顔でフツウの就労を目指す方が、本人の可能性が広がるのではないか。

これについては、「人による」としか言いようがないのではないか。

私は引きこもりという問題に取り組むことを通じて人や社会との回路ができたが、もちろんこういうスタイルが万人向けというわけではない、というか極端にレアなケースかもしれない。向き不向きがある。「ひきこもり」などという言葉もテーマも忘れて、普通に就職活動して、普通に働く――そのほうが向いている人がいても当たり前。

僕としては、独自の接続ルートや回路を生み出していく仕方しかやれない気がしている(少なくとも現時点では)。 その活動を通じてのOn the Job Trainingをやってきたと言える。



「あいつらのせいで」 「あいつらのせいで」を含むブックマーク

TVで取材を受けたり、出版や blog で活動したり、イベントで発言したり*5、といった人たちに対して、一部の当事者・関係者からは、「やめてほしい」という声が挙がっているらしい。 「サバルタン」(代理表象論)云々だけでなく、「あんな奴らと一緒だと思われたら、近所に白い目で見られて外出できなくなる」など。

「俺はこんな奴らとは違う」「いっしょにするな」といった差別感情を口にする当事者もいる。



弱者たち 弱者たちを含むブックマーク

  • 何も活動できない当事者は、私に「俺の代わりに戦ってくれ」と言ってくる。
    • 何らかの願望があるなら、君は君で自分の戦いをやってくれ。一方的に私に押しつけるな。
  • 少し活動している当事者は、私に「お前のせいで俺の主張が抑圧される」と言ってくる。
    • 君がその件で評価されないのは、少なくともその件に関しては成果を作れていないからでしょう。君が私以上に面白い議論を提出できれば、私以上に評価される。人のせいにするな。

いずれも、弱者同士の無惨なつばぜり合い。かかわりたくない。

自分のバトルに邁進すべし。



試み 試みを含むブックマーク

「自分の体験情報を通過させつつ、ひきこもりの最深刻な純粋理念像を描き出し、そこから具体的な対案を考えてみる。」

「理論的に純化された議論と、素朴な具体案とを往復する。」



悩み方 悩み方を含むブックマーク

どんな仕事であれ、トラブルのない仕事はない。だとすれば、「どんな仕事につくのか」という選択は、「どんなトラブルを生きるのか」という選択だ

「順応せねば」とか「生き甲斐は?」などと考えるより、そう悩んだ方がはっきり効率的だし、元気が出る。



慣れる」の功罪 「慣れる」の功罪を含むブックマーク

「慣れる」というだけなら、「まぁこのままでいいじゃないか」という現状追認(肯定)の順応主義が否定できない。同調圧力への屈服。 「これではまずいのではないか?」と思い始めた途端、周囲の世界との不協和音が始まり、生きづらくなる。雇用に絡んだ恫喝が始まる。 それでも続けざるを得ない苦情申し立ては、最初は心身症のように始まるかもしれないし、そもそも本人にも自覚されないかもしれない。しかしその違和感は、放置すべきなのか? このあたりに、倫理的要請の出自がある。

既得権益世界に内部化されて生きるためには、「これではまずいのではないか」といった疑問符には、気付かなかったことにする方がよい。ところが、≪脱落≫した途端、「考えざるを得なくなる」。思考は心身症のように始まる。

駄洒落めいて言えば、「いい加減」は、「良い加減」でもあるし、「いいかげんな・・・」ということでもある。どちらの問題意識も必要。そのバランスというか、緊張感が難しい。 ▼何に関してはルーズでよく、何に関しては譲歩してはならないのか。



去勢2態 去勢2態を含むブックマーク

ひきこもり状態については、(フロイトの精神分析を参照しつつ)「去勢されていない」という言い方がされることがある。

去勢は象徴化に関わる*6が、「欲望を諦めない」という形での去勢なのか、それとも「同調圧力に屈する*7」という形での去勢なのか。日本の職場では後者(「慣れる」*8)が強要される。また、「売れ残った商品は商品ですらない」という議論を「個人の社会化」と重ね合わせるなら、「去勢されない個人は人間ですらない」、あるいは、「社会化に失敗した個体はニンゲンですらない」ということになるか。*9

私は「厳密な言説努力」に固執しその実践を試みているが、その作業への没頭において、つまり言葉を厳密に現実的に使おうとする努力において、経済的成功とはひとまず関係なく、すでに去勢されているのだ、と言われたことがある。



「超越論的な場」――公共圏と排除*10 「超越論的な場」――公共圏と排除*10を含むブックマーク

  • フランスでは、(生活空間や公共圏に)すでにして超越論的な場が開かれているから、いきなり想像界から象徴界*11に向かえる。
  • 日本では、まず同調集団から(心身症のようにして)≪はじかれ≫て、そこで初めて「思考=超越論的な場」が開かれ、分析の consistencyが起動かつ駆動され、そこでようやく「想像界から象徴界へ」の努力が為される。つまり、努力が二段階になっているから、非常にしんどい。



「≪現在≫の忘却」 = 「自己言及の拒否「≪現在≫の忘却」 = 「自己言及の拒否」を含むブックマーク

鎌田哲哉氏による「LEFT ALONE」批判 *12 には、「≪現在≫が忘却され隠蔽されている」(大意)という議論があるが、これはそのまま「自己言及の拒否」に関する話ではないか。

現在の自己を忘却し、ひたすら他罰的に振る舞うこと。それへの怒り。自己反省。



「現場=当事者」主義 「現場=当事者」主義を含むブックマーク

「思想家の○○がどう言っていたか」ではなく、「自分の現場でどう頑張るか」ということ。

現場意識を持てないフェティッシュな思想談義では、どうしようもない。

たとえば私は、「文学について」「経済について」「音楽について」など、各トピックそのものを抽象的に論じようとしても、全く無能。まったく言葉が出てこない。固執すべき論点もないし、揉め事が起こっていても「どっちでもいいよ」としか思わない。 しかし、こと「ひきこもり」に関してのみは、いい加減な議論をしているとどうしても我慢ならない。許せない。その「許せない」、「放置できない」の部分にのみ、かろうじて私を現世につなぎとめる能動性の機能があるような気がする。もう私はこの世に関わりたいと思っていないのだが、いい加減な引きこもり論だけは許せない。このままいいようにやられたままでは、「死んでも死にきれない」。なんというか、この言葉を言い切ってしまえることのうれしさと、でも死にたい、というきわどさとの、綱渡り。

現場感覚を持てない議論は×。



教育とは相互成長 教育とは相互成長を含むブックマーク

「すでに完成した不動の教師が教えて、無垢の生徒が変えられる」という発想のみの権威主義は最低。

初等教育や、政治的啓蒙活動はまた別の話が必要。



比喩と臨床 比喩と臨床を含むブックマーク

ある方から、「紙媒体は、ネット言説に比べて引きこもっている」という比喩表現をいただいた。

それはあくまで好意的なニュアンスのコメントだったので、もちろんうれしかったのだが、比喩として用いられる「ひきこもる」という表現*13と、苦痛に満ちた具体的臨床像としての「ひきこもり」とは、やはり分けて論じる必要があると思う。



中間集団機能と、「ねばる」 中間集団機能と、「ねばる」を含むブックマーク

中間集団については、「自動車学校のように機能主義に徹すればいい」という意見もあるが、流動性が高すぎると、欲望をすぐに諦めてしまい、ねばる、つまり「欲望を諦めない」という要因が失われる。


転移の必要 転移の必要を含むブックマーク

粘れない人には、どうしても「粘れ」、つまり「汝の欲望を諦めるな」という説教をしてしまう。 → 相手の自発的ねばりを起動し駆動するためには、やはり転移が必要ではないか。

たとえば私は野球が嫌いだが、イチローは好き。 → 各ジャンルに生きる各人が、そのジャンルにおけるイチロー選手のような飛び抜けた存在(転移対象)を目指せばいい。

説教とは、転移なき強要。



「評価軸の複数化」と「競争原理」の必要 「評価軸の複数化」と「競争原理」の必要を含むブックマーク

評価軸を能う限り複数化して、その各軸においては優勝劣敗の競争原理を導入する必要がある。

以前あるひとが、「優秀な人を見るとわくわくする」と言っていたが、「できない人」ばかりでは、転移が起きない。すごくたくさんの評価軸があった上で、そのそれぞれの軸において≪優秀な人≫が現れてくれなければ、どうしようもない。

転移を起動し駆動してくれる≪優秀な人≫の登場は、苦痛にあえぐ人々にとっての臨床上の要請ですらある。 「この人、すごい!」と思えることでどれほど救われるか。

もちろん、戦略上の要請もある。具体的に戦果を上げねばならない局面で、戦力にならない人間ばかりではどうしようもない。



カネ(今後の焦点) カネ(今後の焦点)を含むブックマーク

ひきこもり支援業界における「顧客×支援者」のトラブルは、どうやらそのほとんどがカネ絡みのようだ。私自身の体験も含め。*14

なのに、「ひきこもり支援とカネ」の関係を、まだほとんど誰も論じていない。

おかしい。

「カネ」をめぐる支援業界の難しい事情について、どうして当事者が論じないのか。

この blog ではまったく報告していないが、私は「1時間5000円」での面接相談もお引き受けしている*15。この料金設定について、「安い!」という人と、「・・・・・」という人と、そもそも「お金取ってるんですか?!」と詰め寄る人とがいる。

カネをめぐる議論ぬきの支援論は、もはやむなしい。

たとえば。

「事務所を借りての支援活動で、スタッフを3人雇って、自分を含め全員に月15万円の給料を出す」とする。15万×4=60万円、これに事務所賃貸料や光熱費、その他諸経費いれたら、年間経費があっという間に1000万円を超えるの、わかりますか。「相談料を取ってはいけない」と言っているあなた、行政からの援助がない状況で、どうしろと? 財源の対案を示してください。

しかし。

当然ながら、高額ではサービス受益者が富裕層に限られること、あるいは「継続できない」といった問題が生じる。

ひきこもり当事者的には、「自分の問題のせいで、親が何十万円も何百万円も払うことになってる」という話が耐えられない傾向があるのも事実。多くの当事者は、具体的にカネの話をすることを極端に嫌う。

とにかく。

ここに焦点がある。




*1:p.149

*2:そこに「飛び込む」モチベーションこそが難しいのだ、という議論は重々承知の上で。当blogではむしろその「難しさ」の議論ばかりしてきた。

*3:cf.「enfant terrible

*4:ラカン派の倫理綱領

*5:少しずつ、こうした人たちが増えてきた

*6:【参照

*7:「骨抜きにされる」

*8:あるいは、「google:依らしむべし、知らしむべからず

*9:これは、私が10年以上前に固執した論点だった。

*10:この節の見解は、ほぼ三脇康生氏の話そのまま

*11こちらの「*5」参照。 興味のある方は → google:現実界 象徴界 想像界

*12:via『成城トランスカレッジ!』

*13:【参照】。浅田彰氏による比喩表現:「自衛隊は基地にひきこもりを決め込んでいる」

*14:というか、それはどこの業界でも当たり前ですね。

*15:単発で終わることも多いし、長らくご連絡を取らずにいて途方に暮れているケースもある(相手は私よりなおさら途方に暮れているはず)。 正直、悩み抜いている。

2005-03-18  「論じ方の作法」について

「能力や意欲の問題に帰着させること」 「能力や意欲の問題に帰着させること」を含むブックマーク

雑誌『Voice』2004年12月号、p.141より。

玄田 僕は経済学を学ぶ上で「物事を人の能力や意欲の問題に帰着させることに対しては、つねにストイックであれ」という教育を受けてきたんです。「働かない人が貧しいのは本人が怠けているからだ」といった単純な善悪論で解釈してはならない、と。『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』を出すにあたって、その教えがお守り代わりになったところがあった。

経済学に詳しい友人と喋っていて、玄田有史氏がニートを論じる時のその「論じ方」が、経済学者としてはかなり特異であるらしいことが気になりだした。


「欲望のない個人」の経済学? 「欲望のない個人」の経済学?を含むブックマーク

というわけで、横浜イベント時の次のようなやり取りを思い出した。*1 (もちろん大意)

斎藤:「玄田さんは、経済学の専門家としては本当に珍しい。叩かれるでしょう」

玄田:「気付いてないだけ?(笑)」

斎藤:「経済学というのは、『欲望を持った個人』が前提のはずなのに、玄田さんはニートについて、『働ないのではなく、働ないのだ』とか、内面に踏み込んだ話をされます。本当に思い切ったことをするなと思うんですけども(笑)。



*1:このようにして、ご指摘を頂いたり思い出したりするたびに、本文に追加してゆきます。ご協力いただけるとうれしいです・・・。

2005-03-17  戦わんのか。

自分への怒りと苛立ち 自分への怒りと苛立ちを含むブックマーク

性愛と仕事に関する下らないデリケートさがいちばん自分と周囲の人を傷つけていると思うに至る

がひとまず目の前の仕事をいくつかこなす

自傷行為みたいな言説でなく



うう ううを含むブックマーク

『図書新聞』に載っているという内藤朝雄氏「おまえもニートだ」を読みたくて図書館に行こうとしたら雨と風

さらに激しい倦怠感*1とめまい

あきらめる



発言訂正 発言訂正を含むブックマーク

こちらの講演会*2は、いつもより聴衆の皆さんの年齢層が低め。小中学生の子供をもつ親御さん*3が多いということだったので、「本当に深刻になった30代以上の事例」と、「まだ10代の不登校事例」とを比較、というより往復しながら話してみた。


そこで、私は次のような趣旨の発言をしました(大意)。

 ホームレスは2万5000人ほどですが*4、対策費は全国で1億8000万円。いっぽう、ニートには231億円の予算が計上予定。家を失ってより深刻であるはずのホームレスより、親に扶養されているニートのほうに予算がつく。これは非常に政治的な判断で、「完全に脱落してしまった中高年(ホームレス)」より、「将来性のある若者(ニート)」に予算をつけるほうが、将来の税金増にも役立つし、国民を説得できるということでしょう。つまり日本では、「本当に脱落してしまったら、予算もつけてもらえない」ということではないでしょうか。

この「1億8000万円」ですが、

これはこちらの記事にある「ホームレス就業支援事業」のことを指したつもりで、だから「1億1800万円」の誤りなのですが、さらに記事をよく読めば、これは「新規事業としてはこれのみ」ということで、ホームレス対策予算の総額ではない。それでネットで調べたところ、この資料が見つかりました。

「ホームレス対策予算」として31億9700万円が計上されていますが、「ニート支援」が「就労支援」であることを考え、「III 就業機会の確保」と記されている箇所だけを単純に足し合わせると、「10億8300万円」となります。

★というわけで、講演では「ホームレスの就労支援対策費は10億円あまり」などとすべきだったわけで、情報として著しく間違っていたことになります。会場におられた方々がこの私のBLOGを見てくださっている可能性は低いのですが・・・・、ここに記して訂正させていただきます。ごめんなさい。

さてしかし、この10億円は多いのか少ないのか。



「手続き上の環境整備」と、「そこにすら近づこうとしない人」 「手続き上の環境整備」と、「そこにすら近づこうとしない人」を含むブックマーク

友人が教えてくれた話で、少し気になっていることがあります。

関西に、保守系の討論番組として有名な『たかじんのそこまで言って委員会』というのがあるのですが、そこで名古屋の野宿者にインタビューするシーンがあったとのこと*5。 するとそのマイクを向けられた男性は、非常に政治的にしっかりした言葉遣いで、「住むところをくれ」「仕事をくれ」「生活資金をくれ」云々といった趣旨の演説をぶったそうです*6。 → カメラがスタジオに切り替わると、「あんた何様や!」と大ブーイングになったらしい。


同番組では「ニート」が取り上げられたことがあり、以前その視聴ルポをアップしたのですが、出演者たちのブーイングの最大焦点は、「我々の血税を連中のために使うな!」ということでした。この番組は、税金の無駄遣いや理不尽な天下りを批判したりもしているのですが、それと同じ≪義憤≫として、「ニート対策費」や「演説する野宿者」に怒っていたのだと思います。

ずいぶん昔、あるTV番組でアンケートをしていて、男女同数に「ホームレスになりたいと思ったことはありますか?」と質問。女性は全員が「いいえ」でしたが、男性のかなりの人数*7は「はい」。 → 「はい」と答えた人たちに理由を尋ねると、「仕事や家族への責任を負わなくていいから」。やはり嫉妬や羨望がある。

窮状を知らない人たちからすれば、「ニート・ひきこもりや野宿者は、みずから望んでそういう状態になっている」という理解になっている。 → 「自分で好きこのんでやっているくせに、そのうえ支援のための税金拠出を要求するとは何事か!」ということでしょう。


そこで、戦略上の問題として具体的に考えたいのは、政治的要求(というか努力目標)としては、「カネよこせ」ではなく、「努力すれば何とかなるような手続き上の環境整備をしてくれ」という形を取る必要があるのではないか、ということ。 【これはもちろん、「脱落しても復帰できる」というあの課題です。】

「弱者に追い込まれている理由」と、各ケースにおける「努力のしどころ(焦点)」は、障害者・ひきこもり・野宿者などでそれぞれ違っているわけですが・・・・、「予算を引っ張ってきてナンボ」というような発想では、どうしようもないのではないか。

以前にも触れましたが、「手続き上の環境整備が必要」というのは、生田武志さんの「カフカの階段」の問題だと思います。つまり弱者サイドとして、「俺たちを“吊り上げてくれ”とは言わないから、せめて“努力すれば登れる階段”を用意してくれないか」というような・・・・。


そしてそこで、またしてもあの問題に還ってくる。

社会参加や、「生き延びること」についてすら自発性を持てずにいる(つまり「この世を選ぶことができず怯えている)引きこもりは、やっぱりいかなる支援からも取り残され、置き去りになるしかないのではないか、と。



リアリティ リアリティを含むブックマーク

漂ってて見つけた過去ログ【701】より。

大企業に勤めていた時、俺が不正を見つけ、追求した対象に自殺された事があります。しかも、公衆の面前で。東京FORTで酒を飲んでいる時に携帯電話で通報されましたが。死にたければ死ねばいいのであって、それは決定的に個人の自由であると思いますよ。ただし、それによって迷惑を被る人間がいるのです。死なれたら、どのような制度の下においても遺産相続放棄しない限り債務を親族に対して追求していかなければならないではないか。こうなりゃドライに割り切るしかない。

生い立ちにはいろいろあるかも知れないが、俺かて中小事業主たる親父から相続するだろう借金が、まだ10億弱も残ってるんだ。死んで何とかなるなら死んでるさ。でも、それで困るのは銀行だし親族だし社員だし、俺が大企業にいたままでは絶対一生返せない、と踏んでさっさと辞めた。慶應大学時代に、俺と同じ境遇にいた奴も、十何人かいた。二人ほど自殺したらしい。もう一人は破滅寸前だ。

バブルがこういう連中を量産したのかもしれない。だが、それがどうしたっていうんだ。俺は俺だ。何も関係ねえぜ。

本当に切込隊長氏ご本人の書き込みなのか、あるいは誰かのフィクションなのかよくわからないけど、無視できないよこういう主張は。

変な人生論よりよっぽど元気出る。




*1:理由は予感している。病院通いは5ヶ月さぼっている。

*2:関係者の皆さん、ありがとうございました。

*3:全員が不登校の子をもつ親御さんということではありません。 ▼私が呼んでいただく講演会やイベントでは、「ひきこもり」という言葉の入った演題から、「参加したことを知られたくない」と思われる方も多く、・・・・・。

*4:生田武志氏によれば、これは現場の支援団体の多くからは「信用されていない数」とのこと。夜回りなどをする現場の方々の考える「妥当な推定数」は、「3〜4万人」とのことです。

*5:番組サイトの資料室によると、「第78回:2005/2/6 放送:ホームレスを考える」だと思われます。

*6:友人の主観もあるかもしれません。観ていた方、詳細希望。

*7:パーセンテージは失念

2005-03-16  闇

声を含むブックマーク

  まったく展望がない

  ただあるのは苦しみだけ*1

イベント終了時によく言われること : 「でも、結局どうしていいかわからない」

了を含むブックマーク

  HP「NHKひきこもり相談室」は3月末日で、終了することになりました。

倒を含むブックマーク

関係各位の皆様へ。

体調悪く、寝ます。

ごめんなさい。


*1:小学5年時から閉じこもっている22歳女性。「福祉ネットワーク」3月16日放送「ひきこもり4000人の声から」より。

2005-03-15  お詫びと感謝

ルポ訂正報告 ルポ訂正報告を含むブックマーク

先日のイベントルポですが、参加されていた方々から、「それ違うよ」というご指摘のメールを何通か頂きました。(ご指摘くださった皆さん、本当にありがとうございます。)

どうも、発言者を取り違えていたり、単純な事実誤認など、細かく考えるとまだまだありそう。

ごめんなさい・・・・。

ルポにいちいち「ここ訂正しました」と注をつけているとキリがないと思われるので、本文には断わりを入れず、新しいエントリーの方で逐一訂正のご報告をすることにします*1 ★ただ、いくら訂正しようとも、このレポートが私的なものであることに変わりはありません。


イベント開始

【誤】 斎藤環氏と玄田有史氏は、ともに内閣府の「青少年の育成に関する有識者懇談会」に名を連ねているのだが

【正】 斎藤環氏と玄田有史氏は、ともに内閣府の「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」に名を連ねているのだが


権威性と立場

発言記録追加:

斎藤:「ひきこもりやニートについて、肯定論と否定論の『両論併記』をする必要がある。が、私たちの言説を利用する人たちは、『斎藤がこう言っていた』などと、肯定論と否定論の『どちらか片方の説』を自分の陣営のために利用する」


公的取り組み

【誤】 ジョブカフェは労働局、ヤングハローワークは地方

【正】 ジョブカフェは地方自治体、ヤングハローワークは労働局


「キャリア」

【誤】 高村光太郎の『道』という作品

【正】 高村光太郎の『道程』という作品

【誤】 「私の前に道はない。私の後ろに道はできる」

【正】 「僕の前に道はない。僕の後ろに道はできる」


発言者取り違え

以下2つ、いずれも斎藤氏の発言を玄田氏のものとしていました。すみません。

斎藤:「一生働かなくていいと思っている人は、一人もいないのではないか。働こうという意識の強い人に限ってハードルがある」 【意識

斎藤:「キャリア・プランという言葉が最近よく話題になるが、おかしな言葉。予定など立てられるのか?」 【「キャリア」



感謝 感謝を含むブックマーク

こちらで発言なさったかた*2から、なんと「斎藤環×玄田有史」の対談第1回目(雑誌記事)の写真コピーを、メールへの添付ファイルにてお送りいただきました。本当にありがとうございます!

まじでありがたいです。こういうのって、BLOGの醍醐味・・・・。



面会 面会を含むブックマーク

こちらで触れてくださっているとおり、3月5日、チャット大会でご一緒した皆さん【chikiさん(id:seijotcp)、id:kwktさん、Pinさん、shfbooさん】と、渋谷でお会いしてきました。3時間ぐらいご一緒したはずですが、あっという間。お別れの時には、会う前より元気になってた(笑)。

それで、翌日にはなんと朝から並んでくださり、イベントにも!



*1:重要な変更以外は、いちいち告知せず、無断でちょこちょこと訂正・削除しますね。

*2:池田太郎様(お名前を出してよいとのことなので)。上記訂正の多くはこの方のご指摘によるものです。

2005-03-14  自由 このエントリーを含むブックマーク

明日、HP「みんな大好き」が閉鎖される(予定)。*1

初めてあちらの皆さんとお会いしたのは、2001年初夏。

HP管理人のかたを含め、東京駅に7〜8人が集まってくださり、八重洲口ちかくの和風のお店。

「議論してもいい集まり」に、新鮮なショック。

先日のイベントでお世話になった人たちや、永冨奈津恵さんに初めて会ったのもこのときだった。

本を出させていただく半年前。

・・・・・・・4年か・・・・・。


HPがなくなっても、人のつながりが続くと思いたいけど、

ひきこもりというハードな問題から身を引くことも、重要だと思う。

支援者の立場を引き受けても、その人の一生を「ひきこもり」が支配していいはずはない。

僕に関わることで相手が「ひきこもり」というテーマに巻き込まれてしまうなら、僕には関わらないほうがいい。僕も同じ。この問題から身を引いて、もうこの問題に関わらない、という選択肢だってある。というか、「ひきこもり」という課題設定から、降りるのも自由だし、再度参加するのも自由、でないとおかしい。「ずっとやってくれると思ってたのに!」なんて、身勝手なわがままにすぎない。

「ひきこもれないから自殺するんだと思う」。なら、ひきこもればいい。引きこもりに関わり続けて苦しすぎて自殺するぐらいなら、引きこもり業界から引退して、生き延びればいい。関わろうと思うなら、再度戻ってくればいい。


HPがなくなる理由を僕は知らないのですけど、

そういうことを考えずにはいられなかった。


数度お会いしただけの僕が言うのは失礼かもしれないけど、

本当にお疲れ様でした。

どうかお元気で。



2005-03-13  イベントルポ : 「社会的ひきこもり」市民講座 

先日お邪魔した横浜でのイベントについて、簡単に*1ルポを。


★おことわり★ ★おことわり★を含むブックマーク

読んでいただければお分かりだと思いますが、これは「ルポ」というより、パネラーの1人による私的メモです。私が個人的に作成・公表するもので、公式記録ではまったくありませんので、ご注意ください。

各発言を引用枠やカギ括弧に入れたのは、あくまで便宜的なものです。逐語的記録ではまったくなく、「大意」ですし、ご本人の発言趣旨と違っている可能性があります。

このルポの公表については、パネラーや主催者(横浜市)の許可やチェックは一切受けていません。事実誤認のご指摘等により、記載内容を変更・削除するかもしれません。




準備 準備を含むブックマーク

前日5日夕方に横浜入りし、今回の共催団体である「ヒッキーネット」の皆さんと、イベントに向けた打ち合わせ+飲み会@桜木町。3年前のイベント時にもお世話になった、久々にお会いする皆さん。

イベントでご一緒する岩田充功氏とも初めてお会いする。どういうかたか心配していたのだが、安心する(ちなみに岩田氏と私は同い年)。

今回は信頼する友人が事務的な窓口になってくれていて、イベント前後での事務的ストレスがまったくなかった。これ重要。




当日 当日を含むブックマーク

以下、自分のメモや記憶を元に、まったく断片的に記してみる。

【追記: 場所により、変則的な記述法を採りますが、どこが発言引用(大意)で、どこが私の地の文かは、適宜ご判断をお願い致します。基本的には、お名前*2のあとのカギ括弧内が発言引用です。章立てや各タイトル、論点の順番などは、あまりまったく厳密なものではありません。



イベント開始 イベント開始を含むブックマーク

斎藤環氏と玄田有史氏の対談で始まる予定だったのだが、斎藤氏は別イベントのため遅れて来るとのことで、最初は玄田有史氏のみの語り。

玄田:「ニートに取り組むきっかけは、小杉礼子さんの論文*3。『これだ』と思った」

以下、少しずつ「ニート」の説明。

「働く気がないというより、働こうという意識が強すぎてかえって働けなくなっている」

「仕事を探すところまでいっていない、働くことに希望が持てない人たち」

「『自分は社会に必要とされていない』と考えている人たち」

「ひきこもりではないニートもいる」 

「『ニートはゆとり教育のせい』という声もあるが、『なぜニートが増えているか?』という質問には、なるだけ『わからない』と答えることにしている」

このあたりで、斎藤環氏登場。

斎藤環氏と玄田有史氏は、ともに内閣府の「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」に名を連ねているのだが、会合では一度も顔を合わせたことはなく(片方が来ると片方がいないらしい)、直接会ったのは雑誌『Voice』(2004年12月号)での対談*4のみで、今回が2回目とのこと(かなり意外)。*5



権威性と立場 権威性と立場を含むブックマーク

斎藤:「語の発案者の影響力は考えなくちゃいけない。ゆきがかり上わたしは『ひきこもり』という語の発案者とされていて、玄田さんは『ニート』の発案者ということになっている。すると、私たちの厳密な意見や思惑とは別に、語そのものや私たちの発言を利用しようとする人たちがいるわけで、私や玄田さんはそのことに自覚的でいる必要がある」

斎藤:「ひきこもりやニートについて、肯定論と否定論の『両論併記』をする必要がある。が、私たちの言説を利用する人たちは、『斎藤がこう言っていた』などと、肯定論と否定論の『どちらか片方の説』を自分の陣営のために利用する」

身に帯びてしまった権威性に自覚的に振る舞いましょう、ということだと思う。

斎藤環氏は、引きこもりをめぐる啓蒙活動において、そうしたご自分の機能にかなり自覚的に振る舞ってきたかただと思う*6


玄田:「先日、村上龍さんと対談でご一緒したが、もうすぐ新しい小説が出るらしい。『半島を出でよ』というタイトルで、北朝鮮が攻めてくる話らしいのだが、そういう小説を書くと必ず『あなたの政治的立場は?』とか『天皇制についてはどう思いますか?』といった質問を受けるが、『自分は立場を明らかにしないのだ』とおっしゃっていた」

これに続けて玄田氏は、「私もそういうスタイルだ」と言ったように思うが、違うかも。*7



「治療」と「支援」 「治療」と「支援」を含むブックマーク

雑誌対談時、「ひきこもりは『治療』の対象で、ニートは『支援』の対象である」という言い方が斎藤環氏から出ていたらしい。

報告者である私(上山)は、以下への議論のつながりがよく理解できなかったのだが、

斎藤:「治療と支援の違いは、価値観の提示の有無」

「治療」と「支援」で、価値観提示があるのはどっち?・・・・


「親から子への価値観の提示は、早い段階でしたほうがいい」と両者。「○○だけはしてはいけない」とか、「どんな仕事をしてもいいが、△△にだけはなるな」など。そうすれば反発もできる、と。価値観提示のない真空状態がまずいのでは、と。

玄田:「昔は食べていくのに精一杯で、考える余裕がなかったが、今は『好きなことをやれ』と言われる。これは実はかなりつらい。『何をしてもいいが、個性的であれ』というが、その『個性的であれ』というのはものすごい要望だ」



やりとり やりとりを含むブックマーク

斎藤:「ところで玄田さん。・・・・やっぱ働かなきゃダメですか」

玄田:「なんてこときくんですか(笑)。楽しければいいんじゃないですか。私は最近、『一番好きなことは何ですか』ときかれたら、『打ち上げです』と答えることにしている。働いていると楽しいこともあるから、働いた方がいい、ということなのでは」

よく覚えていないが、斎藤氏から「それは反論ありそう」的なコメントがあった気がする。



「回転寿司」 「回転寿司」を含むブックマーク

雑誌対談時に出たらしい、玄田氏の「回転寿司理論」が紹介される。

就労を「回転寿司の席につくこと」にたとえ、「すごいネタは回ってこないかもしれないが、何かを手に入れるためには最低限席につかなければならない」、「一度取ったものは返しちゃいけない」*8など。

玄田:「仕事なんて、大半は単純作業」 



論じる時の作法 論じる時の作法を含むブックマーク

斎藤:「ひきこもりやニートについて手間をかけられない人は、無関心でいて欲しい」

なるほど。みんな、ひきこもりやニートについて、どうして「何か言わずにはいられない」のでしょう・・・・。

玄田:「私は経済学をやっているので、どうしても『若い人が働かないと社会保障が破綻する、だから働かなければならない』とかの話をしてしまいがちだが、私としてはそういう話はしたくない」

私は玄田氏を取り巻く言説状況についてはまだよく知らないが、「議論焦点の設定の仕方」は、確かにすごく重要だと思う。



「欲望のない個人」の経済学? 「欲望のない個人」の経済学?を含むブックマーク

斎藤:「玄田さんは、経済学の専門家としては本当に珍しい。叩かれるでしょう」

玄田:「気付いてないだけ?(笑)」

斎藤:「経済学というのは、『欲望を持った個人』が前提のはずなのに、玄田さんはニートについて、『働ないのではなく、働ないのだ』とか、内面に踏み込んだ話をされます。本当に思い切ったことをするなと思うんですけども(笑)。

論じ方の作法」の問題として、極めて重要な論点だと思う。



高齢化 高齢化を含むブックマーク

斎藤:「ひきこもりとニートの違いは、人間関係の有無。私は最近、『25歳を過ぎると、ひきこもりとニートは区別がつかなくなる』という説を無根拠に主張している」

詳細は忘れたが、「25歳を過ぎると、お互いに連絡を取れば必ず『いま(職業として)何してるの?』という話になる、だから(学生ですらない)無業者は、友人に連絡が取れなくなる」という話だったはず。

玄田:「30代や40代以上の『中年ニート』がとにかく増えてる」

斎藤:「成人するのは20歳ではなく30歳だ、とする『30歳成人説』があるが、これからは40歳でも、あるいは50歳でも『若者気分』の人は出てくるのではないか」

私は他人事でない・・・・。



意識 意識を含むブックマーク

斎藤:「一生働かなくていいと思っている人は、一人もいないのではないか。働こうという意識の強い人に限ってハードルがある」

前半は疑問、後半は納得。

斎藤:「生活保護や障害年金32条などを全員が利用しようとしないのは、プライドのせいもあるだろう」

これに続いて「プライドが低ければ働ける」という発言が斎藤氏からあった気がするが、ちがうかも。



公的取り組み 公的取り組みを含むブックマーク

玄田氏の関わっておられる「若者自立塾」の話になる。詳しくは失念。

斎藤:「『ジョブカフェ』と『ヤングハローワーク』と『ヤングジョブスポット』の三つは何が違うんですか」

玄田:「ジョブカフェは地方自治体、ヤングハローワークは労働局、ヤングジョブは雇用・能力開発機構。やっている主体が違う」

誰もが感じる疑問だと思う。そうだったのか・・・。



現場感覚 現場感覚を含むブックマーク

玄田:「『△△という施設があるから行ったほうがいいよ』ではなく、『○○さんがあなたのことを待っているから』と具体的に待ってくれている人の名前を挙げて誘った方がいい」

「求められる」ということの重要さ。

斎藤:「『自立塾』は非行系ではないか。そういう環境では、ひきこもり系は排除されてしまう」

私もこちらで触れた事情。



具体的アイデアと展望 : ≪中間人材≫ 具体的アイデアと展望 : ≪中間人材≫を含むブックマーク

斎藤:「『ひきこもり支援のための訪問活動』というと頼みにくいが、『家庭教師』だと敷居が低い。単に勉強を教えるのではなく、『相談的家庭教師』、『就労的家庭教師』があるといいのではないか」

なるほど・・・・。

玄田:「中間人材*9は本当に重要」

斎藤:「システムは柔軟にして、あとはとにかく『人』が重要だ」

やはりがカギは≪人≫か・・・・。



前半終了 前半終了を含むブックマーク

どの論点においても、お2人の間に明確な意見対立があったようには思えなかった。

「ひきこもりとニートには問題としての連続性があるのに、2人がぜんぜん顔を合わせない」というので、「仲が悪いのではないか」という臆測が一部にあるそうなのだが、どうも完全な誤解では。





10分の休憩をはさんで、後半開始。 10分の休憩をはさんで、後半開始。を含むブックマーク

客席から見て、右から順番に斎藤環氏、岩田充功氏、私、玄田有史氏の順。斎藤氏と玄田氏が、引きこもり状態経験者の2人を挟んで座る形。テーブルはない。司会は斎藤環氏。

客席に向かって座ってみてあらためて感じたのだが、会場の「にぎわい座」は落語や漫才の専門館であり、まさに「寄席」。

偶然なのだが、私と岩田氏はネクタイ・スーツ姿で、両脇のお2人はわりとラフな格好。


お詫び お詫びを含むブックマーク

パネラーとして出演中、ずっと「自分は何を話すべきか」を考えていたためか、他の皆さんが何を言っていたか、その順番がどうだったか、よく覚えていません・・・。

なのでここからは、前半以上に、「ルポ」というより「感想文」、というか「上山が言いたかったことの個人的確認メモ」とお考えください。たぶん、自分の発言の再確認ばっかりになります。

【追記: 書き上げてみて気付いたのですが、私は、自分と玄田有史さんの発言以外、ほとんど覚えていない・・・・。自分で引きました(汗)。斎藤環さんは司会だったので発言量自体が少なかった可能性がありますが、岩田充功さんはかなり笑いを取っていたし、喋っていたはず(すみません、岩田さん・・・・)。 ▼横浜市はイベントを録音していたようですが、イベント記録は公式には公表されないのでしょうか?】→【冊子化されました




課題設定のレベル分け 課題設定のレベル分けを含むブックマーク

斎藤氏から、≪働かなければならない≫という道徳についてどう思うか、ひきこもり状態経験者の2人に質問。(岩田氏が何と答えたかは失念)

上山:「『社会保障が破綻するから若い人は働かなければならない』というレベルの話と、個人として『お金がないから働く必要がある』というレベルの話とは、分けて考えるべき」



「道徳」レベルと「経済」レベル 「道徳」レベルと「経済」レベルを含むブックマーク

上山:「個人としては、≪働かなければならない≫には道徳レベル(「真人間は働くべきだ」)の要請と経済レベル(「金がない」)の要請があるとして、追い詰められた最後の段階で問題になるのは後者*10。 ▼親御さんはたいてい、ひきこもり初期の段階では前者を強調するが、長期化し、『これはただごとではない』と気付くに従い、話が後者に移行してゆく。ひきこもり状態にある人は、『このまま閉じこもっていたら死ぬしかない』という状況になっても、出られない可能性がある」

「大人になれ」という命題についてどう思うかも、斎藤氏から質問される。「成熟する必要はあるか」。

岩田氏がまず答えたが、失念・・・。

上山:「生きることが出来さえすれば、成熟する必要はないのでは」

この前後に私がしていた話は、以下のような感じ。

上山:「10億円資産があれば、働く必要も成熟する必要もないのでは。逆に言えば、『このままでは、経済的にやっていけないから』という部分にこそ、『働く』や『成熟』の必要性の核心がある。 ▼道徳レベルと経済レベルは分けて考えるべきなのだが、ややこしいのは、就労の入り口の段階で、道徳的人物評価が選別要因になるということ。つまり道徳レベルで得る評価が、各人の経済事情に直結してしまう。カネがあれば『俺の勝手に生きる』でいいが、貧乏な人は『世間様の道徳』を無視できない。」

ここに、「履歴書の空白」の問題もあるんだと思う。

イベントではしなかった話だけど、現時点での補遺

オタクの人たちにも「成熟しなさい」と説教された時期はあったと思うが、独自の(フェティッシュの)流通体系を生み出すことで雇用を生み出し、あるいは物流への関与において経済主体になったことで、「説教」の対象でなくなっていくプロセスがあったのではないか。*11

→ 道徳的糾弾から抜け出すプロセス自体が、きわめて経済的だと思う。逆に言えば、自前の経済世界(生産・物流・雇用)を生み出せない状態で、道徳的糾弾だけに抵抗していても、空しいのではないか。それは、「精神論に精神論で対抗する」話でしかない。

いやしかし、ニート・ひきこもりは何よりも「議論に負けている」ので、言説を生産する仕事は、どうしても必要なのだが。生活レベルでの言説状況を変えることが当事者を元気にする、と考えれば、言説での抵抗作業はそれ自体として支援活動であり得る。



「嫉妬」と「非社会性」 「嫉妬」と「非社会性」を含むブックマーク

上山:「ニートや引きこもりを道徳的に批判する人は多いが、なぜか『資産家の子供』は、(「働かず、親の金で生きている」という意味では同じなのに、)道徳的非難の対象にならない。なぜなのか。」

斎藤:「日本では、若者の≪反社会性≫はかなり許容されるが、≪非社会性≫は徹底的に叩かれる傾向がある。」

これは斎藤環氏が1月の日韓会議でも指摘していた論点。



「放置せよ」について 「放置せよ」についてを含むブックマーク

上山:「経済に詳しい人の一部には、次のように言う人もいます。『ひきこもりやニートというが、放置してもたぶん親の金でギリギリ食っていける。もちろんわずかに死者は出るだろうが、どんな社会にもそういう脱落者は出る。わざわざ何百億円も投じて、連中のご機嫌を取る対応策を講じる必要があるのか?』と」

会場では言いませんでしたが、具体的には『SIGHT別冊 「日本一怖いブック・オブ・ザ・イヤー2005」 (別冊SIGHT)』に掲載された、山形浩生氏による『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』書評(p.119)を想定していました*12

玄田さんは前半の対談で、「社会保障が破綻するから働け、というようなことは言いたくない」とおっしゃったのですが、やはりマクロな視点は必要だと思ったので。

今回も恐らくそうだと思いますが、「ひきこもり」というタイトルのついたイベントでは、参加対象者を限定しないかぎり、聴衆の多くは「当事者を抱えた親御さん」であり、そういう人は「うちの子供のために何が可能なのか」という非常に切迫した要望を抱えており、そういう人たちに「日本の社会は・・・・」みたいな大きな話をしても的を外す。でも、政策論的に「放置すべき」という見解が一部「経済の専門家」の中にあるのだ、というのは、重要な情報ではないかと。

玄田さんは私がこの話をしたとき、強くうなずきながら聞いていました。



「待ち受け」と「訪問」 「待ち受け」と「訪問」を含むブックマーク

上山:「行政は、ハコ(建物)や窓口を作るのはうまい。しかし、それは『来てくれればサービスを提供しますよ』ということであって、『来てくれない人』には対応できない。」(神戸でのイベント時のエピソードを紹介しつつ)

「ヤングジョブスポット神戸」では、「行政として、訪問活動はできない」とのことだったが、イベント後に聞くと、今回のイベントの主催である「横浜市青少年相談センター」では、もう年単位の訪問活動をされているらしい*13。 同じ行政でも、企画窓口によって事情が違うらしい。



動機づけ 動機づけを含むブックマーク

当事者は、就労や支援施設利用などに向けての≪自発性≫を失っている。自分の命を賭けなければならないような水準で、「この世界にあえて関わるのか否か」という葛藤を生きている。自発的に、かつ継続的に何かに関わっていくのが限界的に難しい、というかインポテンツ(無能力)の状態。

そこで斎藤環氏が、私のブログ活動(このブログです)に言及してくださり、「自発性や継続性が困難なはずなのに、どうして続けていられるのか」と質問くださる。

斎藤:「ブログ全体の原稿の分量は、出版された本より多いですよね」

上山:「何冊分にもなります」

斎藤:「一銭にもならないのに、あれだけ書き続けられるのはなぜですか」

上山:「・・・・強いて言えば、『怒り』でしょうか・・・・」

玄田:「その怒りを、仕事を通じて社会につなげられないかな」

(いずれも大意)

このあたりは、常に自分でも葛藤している。

私はこれに続き、滝本竜彦氏の小説に「敵がわからないのが苦しい」というモチーフがあるらしいことに感銘を受けた、と話した。



受け身と必然 (受動的脱落と、能動的選択) 受け身と必然 (受動的脱落と、能動的選択)を含むブックマーク

「自分がその仕事に就くことの必然性」という話。

上山:「私は不登校や引きこもりの状態になったのは、望んでなったわけではない*14。 ▼中学で不登校になったときには、本当に恐かった。このまま学校に行けなければホームレスになるしかない、でも自分にホームレスはできそうにないから、『野垂れ死ぬしかないのだ』と本気で考えていた*15。 でも、行けなかった。 ▼私は現在の活動について、『もうやめよう』ということを毎日考えるが、自分がこの問題に取り組むことの必然性も感じている。その辺りの事情を常に考える。継続可能性との関係において。」

身も蓋もないが、「死にたい」という気持ちに囚われて身動きできなくなる時間や日々は、今でも非常に長い(こうした時間には、勉強やBLOG更新はまったくできない)。自発性のエネルギーが、「安楽死」以外をどうしても目指せなくなる時間もある*16



「慣れる」 「慣れる」を含むブックマーク

斎藤:「いろんなことに『慣れる』必要がある」

上山:「何かに『慣れる』ということは、『意識しないでもできる』ということだと思うんです(多くの人が、右足と左足の筋肉をいちいち意識しないでも歩けるようなもの)。 一方、『できない』人は、できる人が意識しないでもやれる動作や行動をいちいち意識してしまう。で、意識しすぎるからやれなくなっている、という面がある」

できないまま意識しすぎることによる、恐怖感の肥大。



「アソビ」 「アソビ」を含むブックマーク

玄田:「仕事のできる奴というのは、よく見るとアソビが多い」

「遊べる奴のほうが仕事ができる」という意味かな、と思ったけど、そうじゃなく、「いっぱい、いっぱい*17じゃない」という意味だった。

そうすると、「いっぱい、いっぱい」になってる今の俺は、「仕事のできない奴」だ・・・・。

しかし、言えてるかも。



「コミュニケーション能力」 「コミュニケーション能力」を含むブックマーク

玄田:「『コミュニケーション能力』というのは、相手の言うことが分からなくても『ええ、ええ、そうですね、ええ』とうなずける能力のこと。」

会場笑い。



「いい加減になるための、厳密な証拠」 「いい加減になるための、厳密な証拠」を含むブックマーク

玄田氏:(工藤啓*18氏のお名前などを出しつつ)「支援者の人たちと関わるようになってから、必死に『いい加減になろう』と思うようになっている」

これに続き、玄田氏から「いい加減になろう」という提案(?)があった気がしたので、私から次のように要望。

上山:「“いい加減”になることができない理由の一つは、『それでは生きていられない』という恐怖心です。だから、『いい加減でいいじゃないか』ということを、単なる精神論ではなく、数字で示してほしい」*19

つまり、「いい加減でいられるための、厳密な証拠が欲しい」ということ。

というか、「いい加減になることができない」という強迫観念の出所を、もう少し精査する必要があると思う。経済面と精神面について。



数値化のマイナス面 数値化のマイナス面を含むブックマーク

岩田:「うちの家には体温計がありません。厳密に測るとかえって不安になったりするから」

私が玄田さんに「数値化してほしい」と言ったことへの反論という面があると思う。

私が言うと自己矛盾するが、これも重要な指摘だと思う。(イベント全体として、私が「深刻思い詰め派」係、岩田さんが「楽観主義派」係を担当していたような。*20

数値化できる部分は大枠ですませ、あとはイレギュラーな出会いに任せること・・・・。



「理想像ではなく自分の足元を」――採用基準としての「人柄」? 「理想像ではなく自分の足元を」――採用基準としての「人柄」?を含むブックマーク

ひきこもりやニート状態の経験者が、就職活動時の履歴書提出において必ず悩まされる「履歴の空白」について。

斎藤:「岩田さんと上山さんはどうアドバイスされますか?」

岩田氏は、ご自分の体験について話されていたと思う。(すみません、これも失念・・・)

次に私に振られたのだが、私は自分では答えず、そのまま右を向いて玄田氏に意見を求めた:「どうすればいいでしょう?」

上山:「いや、アドバイスも何も、自分の問題なので・・・」

玄田:「『企業は即戦力を求めている』とかいうのは嘘で、企業は『“いい奴”は採りたい』と思っている。履歴書は基本的に正直に書けばいい。ただ、自分がその企業に『どうして応募したのか』については、徹底的に書くべきだ」

上山:「『採用される人物像』について、(資格やスキルが凄いなど)なんだか『雲の上の人』というイメージが強烈にあるのですが、むしろ『自分の足元を見ろ』ということでしょうか。」

このあたりのやり取りも、私が玄田さんの説明に「ホントですか?・・・」というような不信感に満ちた態度(沈黙)を示したからか、客席からは笑いが漏れていた。

それに対して

玄田:「誰も読んでくれない『ジョブ・クリエイション』という本があるんだけど*21、それの第8章を読んでください。『人を育てる企業が生き残る*22』と書いてます!」



「キャリア」 「キャリア」を含むブックマーク

斎藤:「キャリア・プランという言葉が最近よく話題になるが、おかしな言葉。予定など立てられるのか?」

続いて高村光太郎の『道程』という作品の話を持ち出したものの記憶の曖昧な*23玄田氏に代わり、客席最前列のかた*24が朗唱。

お客さん:「僕の前に道はない。僕の後ろに道はできる」

玄田:「それ!それが『キャリア』」



「安定」とは 「安定」とはを含むブックマーク

「若い人が、『どういう就職先がいいか』と問われて、『安定しているところ』と答える」ことの理不尽さ(?)について、玄田氏が苛立たしそうに、しかし極めて真摯に語られた。かなり核心的なお話だと思ったのだが、残念なことに詳細を覚えていない。だいたい次のようなお話だったと思う。

玄田:「保証がなく、将来を予見できない状況で、つねに『最悪の事態』を想定し、自分の最善を尽くすこと。それが『安定』だよ!」

「それが安定だよ!」の瞬間、横の玄田さんと目が合ったのだが、≪安定≫をめぐる倫理と経済の融合した主張に、ちょっと感動してしまい、自分で慌てた。



「現実」? 「現実」?を含むブックマーク

上山:「私は少し前から、『深刻な引きこもり当事者から餓死者が出るかも』などの話をしているのですが、それに対し、一部の当事者や親御さんから、『悲観的な話をしないでくれ』と批判されているのです。『そういう話は聞きたくない』と。」

なぜか会場から徐々に笑いが。*25

上山:「しかし私としては、『じゃあ、それを話題にしなければ、現実にはならないということでしょうか』と反論したいのです」

精神論としての「現実を見ろ」ではなく、「最悪の場合、そういう状況が避けられないのではないか」というリアルな認識の問題として。



事件は「確率的」から「構造的」へ 事件は「確率的」から「構造的」へを含むブックマーク

上山:「東大阪では、20年間ひきこもっていた男性が自分と親の人生を悲観し、ネクタイで首を絞めて両親を殺してしまいました

斎藤:「あれは心中未遂ですね」

上山:「あ、そうですね。心中です」

斎藤:「これまでの引きこもり関連事件は、特異性の問題であり、確率的なものだった。しかしこれからの事件は、むしろ構造的なものに移行してゆくのではないか」*26



「食中毒」 「食中毒」を含むブックマーク

前半の対談時に出た玄田氏の「回転寿司理論」を受けて。

上山:「ひきこもっている人は、いわば『過去に回転寿司で食中毒を起こした』ようなもの。ネタが回っていても、席に座ろうとしただけで吐き気がする状態」

選択肢が「回転寿司の店」しかない、というのが現状ではないか。

「他の料理のお店」とか、食べ方も「ドライブスルー」とか「バイキング形式」など、さまざまな選択肢があるといいのだが・・・。



「驚き」 「驚き」を含むブックマーク

上山:「大阪のある引きこもりの親の会で初めて体験について発言し、それが好意的に受け容れられたことがその後の社会参加や仕事につながっていったのですが、こんな展開になることは、5年前には全く予想できませんでした。」

玄田:「『驚き』があったんだ」

実際、2000年6月(だったはず)の親の会でのカミングアウト時は、「言ってしまった・・・・」という感じで冷汗タラタラだったのに、話が終わったときの会場の皆さんの反応は、あまりに予想外だった。

(言葉を代えれば、あの時あの場所におられた皆さんに、「感謝している」ということです・・・。)

上山:「でも、こんな仕事、アルバイト情報誌に載ってないんですよ」

(岩田さんがギャグ的にツッコミ入れてくださる。会場笑い)



「そんな回路があったんだ」 「そんな回路があったんだ」を含むブックマーク

上山:「ひきこもりの問題について人前で話をしたり、文章を書いたりする能力を褒めてもらうことがあるが、そういうことをする能力が自分にあるとは、それまで本当に思っていなかった。というか、そんなことで頑張っても誰も評価してくれないよ、と。」

自分で気付けずにいる、意外な「評価の回路」と、それへの自分の能力と。それに気付くのも、やはり「出会い」としか言いようがないと思う。

完全に閉じこもっている人は、そういう出会いのチャンスからすら疎外される――と同時に、それまでの人生経験や対人経験に食中毒を起こしているので、「二度と誰にも出会いたくない」という拒絶もある。二重三重に、「つながっていく機会」から排除されている。



「優秀さ」の選択肢? 「優秀さ」の選択肢?を含むブックマーク

これに関連して少し気になったのは、「できなくても受け入れてよ」みたいなニュアンスが、当日の私の発言にあったのではないか、ということ。

上山:「『やりたいことを仕事にすればいい』というが(『13歳のハローワーク』など)、イチローなど、あまりに飛び抜けた存在を想定しつつそういう話をされても困る」

しかしその一方で、私は一部の当事者や支援者から、「エリート主義」などと言われる。「できなくてもいいじゃん」とは言わないから。「自分は自分で、自分なりの優秀さを目指したい」なんて言うから。しかし、偏差値信仰のモーレツ主義(古っ)が問題なのは、「価値軸が一本しかない」からで、「評価しちゃいけない」ってことじゃないと思う。

先日NHK教育テレビで、上野千鶴子氏が『当事者主権 (岩波新書 新赤版 (860))』について喋ってて、すごい元気もらったんだけど、そこでは「障害者の自立」について触れられてて、それとの関係を考えるとまた微妙なんだけど。「他人に依存しないと生きていけない人の自立」という問題。

この辺は「優勝劣敗」(ネオリベラリズム)や「自立とは何か」などとも結びついて非常に重要かつ複雑なので、イベントルポという今回の場ではなく、また後日あらためて。



トラブル耐性 トラブル耐性を含むブックマーク

上山:「ひきこもりの問題に取り組むことで社会参加の回路ができたのは本当に幸運な出会いでしたが、この4年半ほどの活動は、とにかくトラブルの連続でした。で、トラブルのない仕事はないと思うんです」

玄田:「そう、ない!」

上山:「ひきこもりやニートの人たちは、破格にトラブルに対する耐性が弱くて、元気な人なら『今日は嫌なことあったなぁ・・・』で済むところが、そのまま完全に閉じこもってしまったりする。そういう問題があると思うんです」

トラブル耐性を高める訓練、というのはどうすればいいのか。

具体的に社会参加してトラブルを体験するしかないか・・・・。





斎藤環氏退場と、質問タイム 斎藤環氏退場と、質問タイムを含むブックマーク

イベント予告では4時半終了だったのだが、盛り上がってもいたし、このあと埼玉でこの日3件目のイベントが控えているという(!)斎藤環氏には時間どおりお帰りいただくとして(拍手のなか退場)、そのまま5時まで延長(今度は玄田有史氏が司会)。

そこで玄田氏からの提案で、会場からの質問タイムに移行。



【質問1】:貴乃花と若乃花の違い 【質問1】:貴乃花と若乃花の違いを含むブックマーク

玄田氏の「アソビ」に関して、「貴乃花と若乃花の違いをイメージすればいいのではないか」と会場からご提案。

しかし、申し訳ないのですがよくわかりませんでした。ここで私は、「横綱になったような飛び抜けた人を基準にされても困る」云々と答えたのですが、なんかすれ違ってるような。(すみません)

「仕事をナメている」ということと、「『いっぱい、いっぱい』じゃない」こととは違う。「完全に真剣だが、アソビがある」というようなのが必要なんだと思うが・・・(ちがう?)。



【質問2】:上山さんの活動デビュー時のように、「体験」の機会を増やすことで、どうにかならないか。 【質問2】:上山さんの活動デビュー時のように、「体験」の機会を増やすことで、どうにかならないか。を含むブックマーク

ここで私のほうから、玄田さんの『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』がきっかけになって、日本全国で「14歳のための就労体験学習」が準備されているお話を振る。(玄田さんから「○月から実施」と情報があったような。失念。)

ただ、私はこれについて、一部の議員などが主張する「体験主義」や、ニート批判派に繰り返し回帰する「自衛隊に入れろ」論を紹介し、議論が安易に流れる危惧も口にした。



【質問3】:短期的な就労支援だけではなく、長期的なかかわりも必要ではないか。 【質問3】:短期的な就労支援だけではなく、長期的なかかわりも必要ではないか。を含むブックマーク

貴戸理恵氏*27の通われていたスクール*28のかただという。「1日外出すると3日家にいないとダメ、というぐらいに辛くなっている人たち」など、極めてリアルな、現場の感覚に満ちたご質問だった。

上山:「ある支援団体の代表の方に聞いたのですが、かなりの高確率で、当事者は『ここで雇ってもらえないか』と言うそうです。『ここで生まれて初めて人間関係がうまくいった』と。就労問題にとって、『人間関係』が、最も重大な悩みなわけです*29。 ▼スタッフや仲間との信頼関係がある団体の中でなら、かなりの重労働でも耐えられる。しかし見ず知らずのコンビニのバイトだと、ちょっとした棚整理の仕事すらできない。そういう事情があります。――お返事になってないですが・・・。

玄田:「なってるなってる」

これについては、「中間集団」と「中間人材」のちがい、として説明できないでしょうか・・・・。

「中間集団から中間人材へ」というスローガンとか。



感想・閉会 感想・閉会を含むブックマーク

司会の玄田さんから、経験者の2人に「最後の感想を」。

岩田さんは、ここでも笑いを取ってたような。(すんません、このときも自分のコメントのことを考えてて、ほとんど覚えてない・・・)

上山:「今日のイベントでは、笑いがありました。 ▼ひきこもりの重要な問題に、『当事者・親・支援者のそれぞれにとっての、≪継続の難しさ≫』という問題があります。当事者は継続就労がどうしてもできない。親は、精神的・経済的に疲弊してしまって、扶養や支援を続けられない。支援者は、ひきこもりの問題に関わることによってたいへん強いストレスに晒されます(大阪のある施設の初代代表は、40代で亡くなってしまいました)。 ▼つまり、「続けていけること」(sustain-ability)が極めて核心的な課題なのですが(私自身個人的にそうです)、≪笑い≫というのは、その際に重要かもしれない*30。そういうヒントを、今日は皆さんから頂いたように思います。今日は、本当にありがとうございました。」

すみません、今かなり作文しました(笑)。でも言っていたのは、このままの内容だったはずです。

(今日のルポ全体に言えることですが。)


最後に玄田有史氏から、しっかりした閉会挨拶。なんと、この内容をぜんぜん覚えていない・・・・。「自分の役目が終わった」ことで、すでに放心状態だったかも。


盛大な拍手。閉会。





「ひきこもり・ニート」への対応の地域格差について 「ひきこもり・ニート」への対応の地域格差についてを含むブックマーク

一般的には、横浜と神戸は街のイメージが似ている気がしますが、行政による訪問活動の有無など、対応の環境や雰囲気には、かなり差があると感じました。

たとえば社会学をなさっているかたが、日本中の「ニート・ひきこもり支援」の地域格差について、フィールドワーク的(?)に調査・研究発表する、というのはあり得ないんでしょうか。

現場的に、そういう比較情報は極めて重要だと思うのですが、すでに為されているお仕事としては、

などがありますが、いずれも「こういう支援がある」という具体情報だけで*33、地域格差の理由についてまでは踏み込んでいないと思います。

地域独特のメンタリティの問題とか、同じ行政のはずなのにどうして違いが生じるのかとか、興味深い論点はたくさんあると思うのですが、いかがでしょうか・・・・・っていうか、激しく読みたいんですが。



ふぃ〜 ふぃ〜を含むブックマーク

ちょっとしたメモで終わらせるつもりが、書いているうちに記憶がつながってダバダバ出てきて、途中で「この作業はいつ終わるんだ?」と恐くなりました。続けてるとまだ出てきそうな気もしますが、きりがないのでこの辺で。というか、「対談+ディスカッション」の公式記録の発表を待望します。


ともあれ、今回のイベント関係者の皆さん、そして、このルポを読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました!!





*1:まさかこんなに長くなるとは・・・。

*2:敬称略

*3:後日(4月16日)のイベントによると、きっかけは小杉礼子氏のグループにいた、沖田敏恵氏(同志社大学)の論文だったとのこと。 【参照1】、【参照2(PDFファイル)

*4:対談タイトル:≪「ニート」は世間の目が怖い――働くことも学ぶことも放棄した若者四〇万人の実情≫。この対談はぜひ入手して読みたいのだが、私はイベント時には未見。(某氏から、「イベント前に読んどけ」との声。ごもっとも・・・)

*5:4月16日の大阪でのイベント「若年無業者の実情と支援を考えるフォーラム」で、また同席されるらしい。

*6:当BLOGでは、この点に何度か触れた。玄田有史氏に関して言えば、たとえば氏が「東京大学助教授」であるという事実が重要だと思う。 ▼こうしたことは、「権威主義」云々とはまったく別の話。戦略上の要請だ。

*7:大事なところだというのに・・・・すみません。

*8:就労に伴う責任やマナーのことだと思われる

*9:支援団体や支援制度などの「社会資本」と、「当事者」とのつなぎ役を果たす「支援者」のことだと思われる。

*10:高齢化したときなど

*11:すでに何度か触れた話。

*12こちらに全文が引用されています。

*13:これは余談(というか僭越)だが、訪問活動のスタッフのかたからは、「強制」という要因をめぐっての、極めて現場的な、真摯かつデリケートなお話を伺えた。

*14:もちろん、貴戸理恵氏の著作などでも問われている通り、微妙な論点ですし、当BLOGでもずっとこの話は続けてきたつもりです。

*15:この思い込みについては、生田武志氏からも問題を指摘されたが、これについてはまた後日。

*16:今回は行政主催のイベントだったし、この話題にはさすがに触れられなかった。

*17:『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』に登場する、「ニート当事者の口にするキーワード」

*18「育て上げネット」理事長

*19:客席からはなぜか笑い

*20:『ビッグイシュー』のインタビューで、滝本竜彦氏が「みんな、ひきこもりを深刻に語りすぎる」と語っていたことが思い出される。

*21:すみません、未読です・・・。

*22:いや、「元気がいい」だったか「雇用を作る」だったか。とにかく肯定的な評価の言葉でした。

*23:単に客席に振っただけかも

*24:後日このかたから、メールを頂きました。千葉で支援活動に関わっておられるそうです。

*25:話を中断して「え、何がおかしいんですか?」とマイクで訊いたのだが、素で謎。

*26:『中央公論』でお書きになっていたこちらの主張です。

*27:『不登校は終わらない―「選択」の物語から“当事者”の語りへ』著者

*28:団体名をおっしゃらなかったのですが、どちらでしょう?

*29:『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』でも、それが強調されていた。

*30:娯楽性と批評性の緊張関係については、あらためて考えてみたい。娯楽性がなく、「継続できない批評性」というのでは、どうしようもない・・・・。

*31:現在のところ、個人的にこのかたの情報を最も信頼しています。

*32:「全国にあるさまざまな援助施設を、第三者が調査し、公開するプロジェクト」とのこと。

*33:そういう具体情報はもちろん絶対に必要で、なのに決定的に欠如しています。やはり、「情報センター」的な事務所機能(データベース+コーディネーター)が、必要だと思います。たしか『淡路プラッツ』塾長の金城隆一氏が、そういうニュアンスの発言をされていたと思います。

2005-03-11

元気のもと 元気のもとを含むブックマーク

なんかつらい時間が続いていたんですが、12日の単独講演イベントの準備をしていたり、あるいは知人とのメールのやり取りで、少し元気回復。

先日の岸さんたちとの面会もそうですが、けっきょく僕は、人やイベントで救われてます・・・・。多謝。


告・・・知? 22:02 告・・・知?を含むブックマーク

ところでその12日のイベントなんですが、この場で告知してませんでした(泣)。ネット上に、主催者側のイベント告知ページも一切なく・・・・。

参加対象者は、いちおう「保護者および学校関係者」なのですが、地域のほかの学校企画と日が重なったりして、まだ人が集まっていないそうですので、もしよければ、ぜひお越しください。どなたがおいでになっても歓迎とのことですし、参加無料です。

翌日早朝からの企画の告知を前の晩10時頃にしている、という事実については、・・・・(泣)。

すみません。

  • 子ども生き生き活動ネットワーク整備事業 → 【参照
    • 日時: 3月12日(土) 午前9:30(開場9:15)〜午前11:25
    • 場所: 滋賀県湖南市 市民学習交流センター(旧・サンヒルズ甲西)
    • 講演者: 上山和樹
    • 演題: 「ひきこもり時に望んだ支援」
    • 連絡先: ふれあい教育相談室(教育委員会)

演題は「ひきこもり時に望んだ支援」と頂いているわけですが、お話は少し変化球的なものにするつもりです。


予告 予告を含むブックマーク

横浜のイベントについては、簡単にルポを書いてみようと思います。



2005-03-10 このエントリーを含むブックマーク

更新できていなくてごめんなさい。

意味不明の極端な抑鬱状態で、大事なメールのお返事すらできない・・・。

2005-03-04  近況

原稿 原稿を含むブックマーク

懸案になっていた「ひきこもり・ニート」BLOG選ですが、なんとかまとめてみました。(栗原さん、遅れてすみませんでした&ありがとうございました。)

苦しみましたが、「当事者ブログをどう考えるか」について自分なりに整理できて、個人的にすごく重要な原稿になりました。

『ユリイカ』4月号ですので、ぜひ。


面会 面会を含むブックマーク

知人の紹介で、ブログでTrackBackさせていただいた岸政彦氏と、「かなりあしょっぷ」の竹内氏に、初めてお会いしてきました。楽しくてあっという間に時間が過ぎましたが、なんというか、「死にたい気持ち」云々とか、相手を引かせてしまうような発言を連発してしまったような・・・・。

「自分に体があるのが耐えられない」とか、「自分の残された人生に性愛があり得ると考えるのがキツイ」とか、自分的にいま一番クリティカルなところを連発してしまって、・・・・皆さんに申し訳なくて、帰ってからすごい反省してたんですが(特に翌日)、岸さんのブログ見たら嫌がるどころか本の紹介までしてくださってて、どれほど救われたことか。(ありがとうございます・・・)


イベント イベントを含むブックマーク

こちらのイベントに向けて、5日から横浜にお邪魔してきます。ブログで出会った方々ともお会いできる予定。楽しみ!



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