「オペラ座の怪人」

††キャスト††

オペラ座の怪人 佐野正幸
クリスティーヌ 沼尾みゆき
ラウル 中井智彦
カルロッタ 種子島美樹
メグ・ジリー 松田未莉亜
マダム・ジリー 原田真理
M.アンドレ 増田守人
M.フィルマン 平良交一
ピアンジ 橋元聖地
M.レイエ 田代隆秀
M.ルフェーブル 川地啓友
ブケー 佐藤圭一


男性アンサンブル
松永隆志/佐藤季敦/伊藤礼史/野村数幾/見付祐一/根本健一/瀧山久志


女性アンサンブル
河村彩/暁爽子/齋藤さやか/村瀬歩美/籏本千都/松元恵美/中里美喜/清水麻梨紗/山本紗衣/吉村晶子/野田彩恵子/小林貴美子



前日予約で、E列センターブロックを取りました。
しかし京都劇場はF列から傾斜あり。
ちょっと見えにくい部分もありました。
それでも、表情などはすごくよく見えましたし、なにより、舞台自体が充実していたので、よかったです。


今回は、佐野さんファントムの魔力に囚われに行ってきましたので、存分に佐野さんを堪能してきました。
歌に関しては、「MOTN」の「心の赴くままーっ」が絶叫系なことを除けば、声に深みも甘さもあり、とっても素敵でした。
「優しく君を包む」と手を伸ばすときの表情が、本当に優しくていいなあ。


仮面を剥がれた後、クリスティーヌに素顔を見せるところの表情もいい。
すごくいい表情なんですけど、それが非常にゾッとする顔で…。
ファントムの内面の喜びというか…クリスを求める気持ちというか、そういうのがとってもよく出ていて。
それこそ、他の人がそんなふうに心を表してくれたら、ドキドキするかもしれません。
でも、ファントムのその表情は、逆に怖いんですよね…。
(それが可哀想だったりします…)


屋上での登場シーンは、もう、手の表情にドキドキです。
ペガサスの翼をぐっと掴むところ、本当に素敵。
そのあとの、すすり泣くような歌声も。
クリスとラウルの声を聞くまいと必死で耳をふさぐのも。
シャンデリア落下前のロングトーンは、やっぱりラストに一押し声に力が入るのが、好きです。


2幕は、墓場のシーンがいい。
クリスを誘惑しようとしているようには見えなくて、甘く包み込む声が素敵です。
一転、「行くな」が辛そうで、可哀想なんです。


「PONR」は、クリスと見つめ合って、思わずといった風情で顔をそむけるところが好き。
地下室で、仮面を付けてから、クリスに触れようとして触れられなかった、そんな弱気のエリックが見えるから。
クリスと手を絡ませ合うところは、色っぽくて、セクシー。
ぐっと掴むところは、ファントムの情念を感じさせて、怖くて凄い。
クリスを引きずって行くところも、そういう一面を感じさせますよね。


フードを剥がされる直前の、二人の歌い上げるところは、うっとりするほどに見入ってしまいます。
そして、ドン・ファンがファントムとわかったとき。
クリスの表情は苦しげに歪みますが。
この日は、ラウルの表情がよく見える位置で、思わずラウルを見ていました。
いつも、ファントムとクリスしか見ていなくて、目のはしっこでラウルを見ていたので、ラウルが飛び出して何故か戻っていく…としか思っていなかったのですが。
ラウルは、銃を持った警官を制し、他の警官たちも制して袖に引っ込んでいたんですね。
ファントムとわかったのに、何故「そのとき」ではなかったのか。
それは、私が二人に魅了されていたように、ラウルも二人に魅入っていたのかな。


再び、地下室。
「醜さは顔にはないわ」の後の、ファントムの表情、くわっと目を見開くのが、すごく印象的。
そして、ベールをかぶせて、きちんと整えてあげてるところは、お話に関係なく、ついつい見てしまうところ。
すごく丁寧に整えてあげてますよね。
そうしたら、「汚れは心の中よ」とか言われて、うわ、可哀想…。


そのあと、椅子に座るファントムの姿が、やさぐれてます。
なんだか、爪でも噛みそうな勢いの、いらいらっぷり。
神経質そうなファントムです。


そのあとの三重唱は、もう、素敵なのは当然で。
クリスのキスのときの、ラウル、必死で止めようとしているのが見て取れて、そのあと、背を向けるのが、若くて良い感じ。


でもね。
佐野ファントムの一番の見せ所(と勝手に思っているの)は、クリスが去ってから。
本当に、本当に幸せそうに、指輪を撫で、ベールを抱きしめる。
きっと、生まれてきて、今一番ファントムは幸せなんだろうと思う。
幸せの中で、闇に消えていくのだと思う。


ラストで、ファントムは可哀想なんだけど。
それは、こんな状態で、しあわせだと消えていくのが可哀想で。


今回、最後のファントムを見ながら「エレファントマン」という古い映画のラストシーンを思い出していました。
ちゃんとは覚えていないし、記憶違いかも知れないのですが…。
エレファントマンと呼ばれた青年は、奇形で、身体を横たえると死んでしまうので、いつも身体を半ば起こして眠っていたのです。
それが、ラストで、幸せそうに微笑みながら、ベッドに身体を横たえる…。


いい舞台でした。
カテコで、佐野さん一人がでてこられたときは、客席全体の空気がぐわっと盛り上がった感じ。
(自分が盛り上がったから、勝手にそう思ったのかも知れないけど)
カテコでは、最初は無表情だった沼尾さんも、最後にはにこにこになって、嬉しかったです。




おまけ。
佐野ファントム以外で、ちょこっと書いておきたいこと。


まず、ピアンジ。
かわいい、と思ってしまった。
プリマドンナ」でカルロッタを「なだめよう」とか行ってるところもですが、ちょっとカルロッタが機嫌をちょっと直したら「プリ〜マドンナ」と歌うときの満面の笑み。
カルロッタと一緒に怒っているのかと思ったら、そうでもなくて、カルロッタが気持ちよく歌えるように、フォローしてるんだなーと。
完全にカルロッタが機嫌良くなったときのにこにこ具合がホント可愛い。
うんうん、良かったね、カーラvvという感じで。
で、ここで、ラウルとメグと三人で話してるのは、どんなことなんだろう?とちょっと気になりました。


あと、二幕の支配人のオフィスで、クリスが「あたしやりたくない」と歌ったときのピアンジとカルロッタも可愛いです。
「あら、歌わないんですって」「あらあら、じゃあ、カーラが主役?」って感じで、ふたりでニンマリ。
そんな可愛いピアンジなので、殺されちゃうと可哀想に感じてしまいました。



次に、ラウル。
リハ見で佐野さんに指導されていた、マスカレードのターン。
目線はあそこで固定して!って言われてたのを聞いていたせいか…。
「目線は、あそこで…」と一生懸命固定しているように見えてしまった(笑)
ちょっと不自然でしょ?ってくらいに、目線固定です。



田代さんのM.レイエは、気むずかし度up。
扱いにくい音楽監督って感じで良かったです。



あと、マスカレードでいい声のアンサンブルさん。
マダム・ジリーと踊ったり、途中でマントをつけてきて、クリスを脅かしたりする人でした。
(半身男性、半身女性の衣装の人でない方のマントさん)
あの低音の声、かっこいいけど、どの方なんだろう…。


ヘア・ドレッサーと宝石商は、ようやくはっきり見分けられました。



細かいことについては以上です。