無意識日記々

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ヒカルのタイミング

さてさて今年の展望という話になるんだろうけれど、「新譜の発売」。これに尽きるか。

ヒカルの場合、幾ら制作が遅れても“極端な延期”は有り得ない。というのも、制作に取り掛かった楽曲を放棄しないからだ。年単位でのアルバム発売延期は大抵「まるごと作り直し」である。コンセプトの起点からの見直しである。そうなるとそこまで作っていたトラックを全廃棄していちから制作に臨み直す事になり発売が年単位で延びていく。

ヒカルは、一曲々々を作り上げていくだけ、しかもそれを放置や放棄をしないというのであるから、それぞれの楽曲にかかる制作時間は変動するとしてもそんなに極端な誤差は生じない。せいぜい何ヶ月か単位で延期されるだけだろう。そうすると、ほぼ確実に今年中にニューアルバムはリリースされるとみて間違いない。

もっともそれは、今まで通りの制作態度で臨んでいたとして、という前提付きなのだが、今更変えてくる理由もないようにも思えるし、逆に、変えるなら今しかないともいえる。実際、この5年で「作りかけのトラック」のストックが山のように積み上がっている可能性もある。こういう、「音楽家としては暇な時間」が過去20年近くなかった訳だから、これはどうなっているか、これからどうなるか、本人でもよくわかっていないかもしれない。

ただ、一曲毎に完成を目指すスタイルは、技法というより哲学に近い。これを変えるというのは結構な“人格の変換”が必要に思える。従って私は「変化無し」の方に一票を投じておく。

となると恐らく、ヒカルはある程度めどのたつ時期になってきたら自ら〆切を設定してくる可能性が高い。それに伴ってプロモーション体制が整っていくだろう。いつまでも無期限で制作にあたるのは性に合わないようにみえる。

しかし、ひとつ問題がある。ユニバーサルほど巨大な会社になると、目玉商品は四半期毎に分散させて発売してくる。国際的な商品ともなれば尚更だ。影響力の小さいミュージシャンなら比較的自由かもしれないが、大型プロモーションにはそれだけの人員が割かれる。ユニバーサル全体の中で宇多田ヒカルという商品がどれくらいのプライオリティを持っているかで話が変わってくる。

大過ぎれば寧ろレコード会社の方が合わせてくれる。もうユニバーサルのアーティストではないが、例えば往年のBON JOVIがニューアルバムを出すとなると総てがそれに合わせて動き始めていた。ユニバーサルが巨大化していくにつれその傾向は薄まっていったように思うが、或いはそういった事も…ってその話はいいか。

こちらの見立てでは、EMIレーベル、UMG全体ともに「ヒカルの自由にさせよう」という方針で動くように思えている。単純に、市場的なキャラクターからいって、季節感も定番感もない上に動けばそれだけでニュースなので、わざわざクォリティーを犠牲にしてまで発売時期を指定する事はない。余程の大物アーティストとバッティングしない限り、ヒカルのタイミングでアルバムはリリースされるだろう。

ただ、シングル曲は別である。タイアップがあるからね。ではその話はまた次回辺りにでも致しましょうか。