無意識日記々

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紙吹雪を片付けて貰いながら

今回のMステは収録ということで一度NGを出した話をしていた。曲の終盤で紙吹雪が舞う演出があったのでやり直しの為にスタッフが一度回収する必要があった訳だがその時ヒカルは小芝居で「面倒臭そうに片付ける人」を演じた。しかし周囲の「そんなことないよ」の空気で軌道修正する事になった。

何気ないどころか全く以てどうでもいい場面だが、これを見てあたしゃ「嗚呼、時代が変わったんだなぁ」と思ったのだ。一昔前、20〜30年前のテレビなら最初の対応でよかったのだ。現場の仕事の空気に合っていた。今はきっと違うんだな。「クォリティの高いテイクを取る為にリテイクは必要なこと」という意識が行き渡っていて、その為に紙吹雪を回収するなんて行程は当たり前に普段からやっているのだろう。そのプロ意識を蔑ろにされかけたから「そんなことないよ」の空気が予想以上にシリアスだった。でヒカルは「あら」と咄嗟に対応した。普段余りテレビの現場で仕事をしていないしスタッフによっても違うから思わず昔ながらの対応をしてしまったんだろうな。

プロ意識とかプロフェッショナリズムとかいう言葉はこの20年で浸透した言葉である。だからNHKも「仕事の流儀」なんて番組を近年になってから手掛けてそれにヒカルも出た。80年代のテレビ業界なんて…いや実際に見た訳じゃないから真相はわからないが、もっとテキトーだった気がする。

お陰で今の若い子達の方が熱心で仕事が出来るのだが今の方が明らかに不景気でお給料もお安い。それがなんだと言われたら特に何もないのだけれど、ヒカルもきっと似たようなことをあの一瞬で感じ取ったのではないかなと勝手に空想している次第です。

二度どころか何度でも考えたい曲

そしてキングダムハーツの方では最新のロングトレーラーが公開された。英語字幕版ではBGMが『Don't Think Twice』になっているが、今回新しく2コーラスめまでが聴けるようになっている。あクマでバックグラウンドなので鮮明に聴ける訳ではないが、前より長く聴ける為パートによっては初めて聴く事になった訳だ。

歌の前でキャラクターたちが喋っているのを聴いていて声優陣の超豪華さに戦く。知ってる人が次から次へと喋りやがる。どれだけキングダムハーツというコンテンツのステータスが高いかを思い知らされる。その中でもヒカルはスペシャルゲスト扱いなのだ。更に別格。ふむ恐ろしい。

そしてその扱いを是とするだけの楽曲と歌唱。『Don't Think Twice』を改めて耳にしてそのサウンドの気品みたいなものを今噛み締めている。『誓い』では、親しみやすい言葉を使ってストレートに言いたいことを言ってきたのに対して、『Don't Think Twice』では、言葉が平易なのは同様だが『誓い』のような迷いのない語調ではない。決め台詞が『I don't wanna know』なのだから当然ではあるが。

『誓い』では『ない』という歌詞を重ねる事でメロディーの強弱を印象づけた。よくいえば親切な、言い換えればくどい繰り返しだった。『Don't Think Twice』の方は、2番まで聴いてますますより繊細な表現力を要求するメロディーの解釈が際立っていると感じられた。要は『誓い』の方が(比較として)声が太く感じられ、『Don't Think Twice』の方は声が細く感じられたのだ。歌詞の選び方と歌い方の乗算である。もっとも、まだバックグラウンドでしか聴いていないので実際に音源を聴いたら異なる感想を持つかもしれないが。

この楽曲のリフレインのフックはやはり過去最高レベル。これだよこれと言わずにいられない。ただ、『誓い』を聴き馴染んでいることもあってか、前ほど英語歌詞の方があからさまにしっくり来ているとは感じなくなったな。なんだか別の曲に近い感触で接するようになってきたからかもしれない。まだまだリリースまでに捉え方は変わっていきそうだ。