深海魚ってどんな魚−驚きの形態から生態、利用−

深海魚ってどんな魚-驚きの形態から生態、利用―

深海魚ってどんな魚-驚きの形態から生態、利用―

今年5月に初版の本だけど、深海にはまだまだ未知で謎がいっぱいなんだね。
深海の魚は、陸に揚げると気圧の変化のため死んでしまうため、生きた姿にはなかなかお目にかかれない。
だけど、この本には写真がたくさん。イラストではない姿に出会えるよ。
形態や生態での比較も分かりやすくて、海の妖怪のようなそれらの存在が、過酷な環境で、食べることと子孫を残すことに特化した結果(進化中)であることが分かる。
驚きと同じくらい、感動。


口は、食べる時に使う以前に、エサを捉える道具でもある。
ここまでかというほどの工夫が(笑)
ダルマザメは、上あごの歯がスパイク状で下あごの歯がナイフ状。そして、口のまわりは、パッキン状。
エサとなる魚に突進して、皮膚にスパイクを打ち込み、口で吸いつき、舌を後ろにひくとその圧力でナイフが食い込む。
そのまま体を回転させて肉を丸くはぎとって食べる。
本の表現がいい。


まるで、アイスクリームをすくいとるスプーンのようです。



私たちの想像を超える生態を感覚的にうまく伝える表現を駆使してる。
状況によって、闘い系キャラクター並みに体が変貌するのもいるしね。


自分より大きな魚を食べるために、腸を体外に出して表面積をふやし、ゆっくり消化できるようになっていたり。
眼球がなく、うろこで覆われているのに網膜だけが異常に発達していて、光を感じることができたり。
子ども頃だけ、ろくろ首ならぬ、ろくろ目状態の魚もいる。

体の発光器はエサや異性を誘うためだけでなく、暗闇の中で自分の大きさをごまかして敵をやり過ごす役もしていたり。
暗闇で目立ちそうな赤い魚もいる。
実は、海に入った光は深くなるにつれ青くなり、赤は青を吸収して黒くなるという原理にもとづいて、目立つどころかカムフラージュになる色になるとのこと。
形態はすさまじい。
目のまわりが骨になってるカブトウオなんて、まだかわいい部類。
食べ方の説明に出てる画像見ても、まずはどこが口か分からん。


体の数倍も長ーい尾びれを持っていて、ウミヘビなどに擬態して敵から身を守るのもいる。



子孫繁栄のためなら、性もうまく使い分ける。
生まれて数年はオスで、あとはメスに転換とか。
暗い海の中では、オスとメスが出会える可能性も低いので、オスがメスに寄生してたり。
アンコウの中には、オスがメスに寄生した後、目やヒレがなくなり、イボのような存在になるものも。
しかも、メスに寄生できなかったオスは死んでしまう。


音を出して、コミュニケーションをとる魚もいるらしい。
音は、鰾を使うんだって。


深海魚を飼育できている水族館はまだ少ないし、飼育できる種類も限られてるそうだ。
宇宙と同じくらい未知の世界だね。