覚え書:「ひと:若松英輔さん=井筒俊彦の本格的評伝を書いた企業家」、『毎日新聞』2011年10月10日(月)付。
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◇若松英輔(わかまつ・えいすけ)さん(43)
「井筒俊彦は読むことが書くことに劣らぬ創造的行為であると教えてくれた人です。誤読を恐れず読むことから、豊かな実践が始まります」
世界的イスラム学者・言語哲学者として知られながら、国内では「つまみ食い的な紹介しかなかった」井筒(1914〜93年)。その著作と生涯を丹念に論じ、知的軌跡を生き生きと描き出した第1作「井筒俊彦 叡知(えいち)の哲学」(慶応義塾大学出版会)を5月に発表、大反響を呼んだ。第2作「神秘の夜の旅」(トランスビュー)の刊行を記念して9月、井筒をはじめ私淑する思想家・文学者をめぐる連続講演会が計4回、紀伊国屋書店など大型書店で催され、一躍出版・読書界の寵児(ちょうじ)に。
本業は数十種類のハーブを調合した健康食品を製造・販売する中小企業経営者。「私にとってビジネスと書くことは不可分。自然が育んだハーブを消費者のもとへ運ぶのと同じように、井筒から預けられたものを、必要とする読者に届けているだけです」。ビジネスマンに対しては、井筒やプラトンなどの精読を真剣に勧める。「持続的な事業展開を望むならば『存在の深み』からの思考が必要です」
「叡知の哲学」のもとになる論文を雑誌連載中、妻を亡くした。「執筆は、目には見えないけれども隣にいる妻との『協同』作業でした。読者には私の本を通じて井筒本人と出会ってほしい」。死者の実在を信じるカトリック教徒でもある。<文・伊藤一博/写真・三浦博之>
新潟県糸魚川市生まれ。慶応大卒。シナジーカンパニージャパン社長。「三田文学」に「吉満義彦」を連載中。
−−「ひと:若松英輔さん=井筒俊彦の本格的評伝を書いた企業家」、『毎日新聞』2011年10月10日(月)付。
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関連情報
書籍*『神秘の夜の旅』若松英輔[著](トランスビュー・2011年8月刊)
⇒ ココログ版 覚え書:「ひと:若松英輔さん=井筒俊彦の本格的評伝を書いた企業家」、『毎日新聞』2011年10月10日(月)付。: Essais d'herméneutique