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2013-03-02

覚え書:「異論反論 生活保護費が削減されました=雨宮処凛」、『毎日新聞』2013年02月27日(水)付。

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異論反論

生活保護費が削減されました

寄稿 雨宮処凛

「どん底への競争」止めよ

 1月29日、この国の「最後のセーフティーネット」が切り崩されるような決定がなされたことをご存じだろうか? それは生活保護費の削減。過去最大の引き下げで、96%の世帯で減額されるという。「でも、受給者は増えてるし、仕方ないんじゃないの?」。そう思う人いるだろう。が、この引き下げは214万人の当事者だけでなく、「自分には関係ない」と思っている人たちにも大きな影響を与えることがわかってきた。

 まずは最低賃金生活保護よりも最低賃金で働く方が収入が低いことが問題となって久しいが、これに対するもっとも有効な解決策は「最低賃金を上げる」ことだろう。しかし、生活保護基準が引き下げられてしまったら、最低賃金が上がる根拠のひとつがなくなってしまう。「どん底への競争」がますます加速するだけだ。

就学援助の基準も引き下げ

「教育を受ける権利」を侵害

 また、生活保護を基準に定められている制度のひとつに就学援助がある。経済的な理由から給食費や学用品代などが工面できない家庭に対する制度で、11年度にこの制度を利用した子どもは過去最多の156万人。小中学生の6人に1人が就学援助を受けているのだ。この数字だけをみても「子ども貧困」の深刻さがわかるが、生活保護基準が引き下げられれば、就学援助の基準も下がり、対象から外れる子どもが一定数、生み出されてしまう。このことによって修学旅行に参加できなくなったり、学用品がそろえられなくなったりするなど、「教育を受ける権利」そのものが侵害されてしまうのだ。

 影響を受ける制度はそれだけではない。2月19日、衆議院第1議員会館で開催された集会で、民主党長妻昭議員は、今回の引き下げによって低所得層が影響を受ける可能性のある制度が38もあることを指摘した。住民税が非課税の世帯への課税をはじめとして、保育料や国民年金保険料金の減免、障害福祉サービスの利用など、影響は幅広い分野に及ぶ。

 ドサクサに紛れるようにして切り下げられる制度はまだある。それは、中国残留孤児やハンセン病患者らへの給付金。これも、生活保護を基準としているのだ。

 この日の集会には、母子家庭や障害を抱える当事者、また就学援助を利用している親などから発言があった。「もう何を節約すればいいのかわからないくらいです」。自らも子どもも病気を抱えるシングルマザーが訴えると、手足に障害を抱える男性は「これ以上生活が破壊されたら命を絶つしかない」と語る。また、脳性まひで車椅子の女性は「生活保護の引き下げは、命に直結する問題です」と、支援者に文章を代読してもらった。

 弱者の生活を破壊するような決定がなされる一方で、安倍政権物価目標を2%に設定し、アベノミクスともてはやされている。政治は、一番弱い立場にこそ寄り添うべきではないのだろうか? そんな疑問をもつのは、私だけではないはずだ。

あめみや・かりん 作家。反貧困ネットワーク副代表なども務める。「3月6日午後3時からは『STOP! 生活保護基準引き下げデモ』。厚生労働省前での抗議アクションの後、午後4時から日比谷公園出発で国会請願デモ。もちろん私も参加します」

    −−「異論反論 生活保護費が削減されました=雨宮処凛」、『毎日新聞』2013年02月27日(水)付。

 

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