覚え書:「今週の本棚・新刊:『「普天間」を終わらせるために』=橋本晃和・著」、『毎日新聞』2014年10月26日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『「普天間」を終わらせるために』=橋本晃和・著
毎日新聞 2014年10月26日 東京朝刊

 (桜美林学園出版部・756円)

 「普天間」とは「世界一危険な飛行場」といわれる沖縄県の米軍普天間飛行場。国は県内移設を進めるが県民の多くは反対だという。なぜか。無党派層の研究で知られる著者が、問題の発端となった1995年の少女暴行事件以降の世論調査や選挙結果から民意の動向を分析した。

 著者は2004年の沖縄国際大ヘリ墜落事件を機に「国外・県外」を求める民意が生まれ、09年に誕生した鳩山民主党政権が「潜在的な民意のうねりを顕在化させた」と指摘。鳩山政権の挫折を経て、県民は「なぜいつまでも沖縄だけが過重負担を背負って差別を受け継がなければならないのか」と自問自答し、「沖縄アイデンティティ」に目ざめ、“県内移設の拒否”が定着したとする。

 しかし「県民は全て基地反対」なのではない。著者は、日米安保体制を認めて基地の過重負担軽減と経済振興の両立を求める人が増えたとも指摘。日米両国の軍事戦略を踏まえて海兵隊の国外移設を提案する。

 溝が広がる一方の本土と沖縄だが、解決策はある。それは沖縄が突き付けられてきた「問い」を共に考えることから始まる−−。書名にはそんな思いが込められている。(央)
    −−「今週の本棚・新刊:『「普天間」を終わらせるために』=橋本晃和・著」、『毎日新聞』2014年10月26日(日)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20141026ddm015070047000c.html





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