覚え書:「今週の本棚・新刊:『死を笑う うさぎとまさると生と死と』=中村うさぎ、佐藤優・著」、『毎日新聞』2015年02月22日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『死を笑う うさぎとまさると生と死と』=中村うさぎ佐藤優・著
毎日新聞 2015年02月22日 東京朝刊

 (毎日新聞社・1512円)

 一昨年、原因不明の病で死の淵(ふち)をさまよい、現在も闘病中の作家・中村うさぎと、いわゆる「鈴木宗男事件」で社会的に殺されかけた元外務省主任分析官で作家の佐藤優。異色の2人が「死」について語り合った対談だ。

 死を語ることは生を考えることだという佐藤。浪費や美容整形といった「女の業」を体現してきた中村の死生観に対し、博覧強記の佐藤が宗教や社会システムなどさまざまな角度から切り込んでいく。死を通して2人の人生がぶつかり合うのが本書の妙だ。

 「『やっと<私>から解放されて何者でもなくなった』と安堵(あんど)するのだろうか?」(中村)「社会的な死の背後には、『おまえ死ね』という無言の圧力があります」(佐藤)。ときにユーモアを交え「死ぬのがこわくて生きてられるか」とばかりに死を笑い飛ばしながらも、まっすぐ向き合う姿が力強い。ある種の覚悟と「すごみ」を感じさせる。

 人は必ず死ぬ。誰も逃れられないそんなあたりまえの真実を前に、人はどうあるべきか。2人の生き方、そして言葉から、学ぶことは多い。(長)
    −−「今週の本棚・新刊:『死を笑う うさぎとまさると生と死と』=中村うさぎ佐藤優・著」、『毎日新聞』2015年02月22日(日)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20150222ddm015070047000c.html










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死を笑う うさぎとまさると生と死と
中村 うさぎ 佐藤 優
毎日新聞社
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