日記:羊にエサをやるためではなく羊毛から利を得るためだという疑い

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12 寛容A Toleration A

 聖職者は、自分たちの檻(fold)〔教会〕へと人々を強いるように権力行使者にせがむよりむしろ、人々に訴え信服させ納得させて真理に向かわせる努力を、外交官のように行うべきだと思われる。これこそが、キリスト教を受容させ、かつ彼らが信仰するこの宗教を世界の果てまで広めた、唯一の方法だったのだ。ところが聖職者は、自分たちと意見を異にする兄弟たちを週に一度づつ無慈悲に説教で攻撃し、他の週日にも劣らず傲慢にののしるのであって、人々を自分たちの方へ引き寄せる方途として福音の謙虚さや穏やかな不法や愛という柔らかい紐を用いるべく努力するどころか、自分たちの見解を教え込もうと彼らがいま心を砕いており(now take care)かつ彼らの規律を強いられている人々を[判読不明語]させるところだったのである。というのも、せいぜい(at most[?])週に一度の説教では、信仰の知識を人々に教えるにはおそらく[判読不明語]ほとんど役立たない、と言えそうに思うからだ。長年説教を聞いた後でも、人は信仰については依然無知でありうるし、善き生活をするよう人々を説得するうえでは、それはめったに効果的ではない。このことが人々に、こんな方法で彼らが檻を拡大しようと努めるのは、羊にエサをやるためではなく羊毛から利を得るためだという疑いを、抱かせるのである。私が確信するところ、これは、キリスト教をはぐくんだ最初の方法に、まったく反している。
    −−ジョン・ロック、マーク・ゴルディ編(山田園子、吉村伸夫訳)『ロック政治論集』法政大学出版局、2007年、116−117年。

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